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弱小。BL野球部  作者: 一般人凡人
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エピローグ

エピローグ 弱小。BL野球部、始動


 明けて翌日。新野球部が発足して記念すべき初めての練習日。

 ジャージ、ユニフォームに着替えた新野球部員は部室の前に集まっていた。

 メンバーは龍示。沙希。沖田。一男。影人。――以上だ。

「練習来ねぇのかよ!? 人数これだけ!? もう三〇分待ってるけど誰も来ねぇじゃねぇかよ!」

 龍示は頭を抱えて絶叫した。

 結局、あの試合は何だったのか。龍示の約束を守った部員は影人、ただ一人だけだった。

「私、部員に電話かけてみます」

 沙希は携帯電話を取り出し、連絡を試みる。

「オレもかけてみる」

 影人も沙希に協力する。

 最初に繋がったのは影人の電話。

「もしもし? 木原か?」

『おう、影人』

 影人はハンズフリーの機能で通話の内容が他のメンバーにも聞こえるようにした。

「オマエ、今日練習っつっただろうが。どうした?」

『わっり! 親戚死んだ!』

「「ノリが軽すぎだろ!?」」

 通話を聞いていただけの龍示も思わず影人と一緒にツッコんでしまった。

『今、電車の中だから切るな? しばらく練習出れねーから。じゃ』

 プッ。プーッ。プーッ。

「「「「………………」」」」

 やや沈黙があって、沖田がポツリと呟く。

「……さすが自称『悲劇の天才打者』だね……。野球部復帰早々、親戚がお亡くなりになるなんて……」

「マジ……アイツ除霊してもらった方がいいんじゃねぇか……?」

 影人も本気で心配そうだった。

 しかし、いつまでもシンミリとしていられない。早くメンバーに連絡をつけなくてはいけない。

 続いて繋がったのは沙希の電話。

「もしもし、鈴本先輩ですか?」

 電話の相手は鈴本一郎。イチローだ。

『……マネージャーか。一体、我に何用だ?』

「あの、今日から練習が始まるんですけど……その……来れませんか?」

 電話越しから『フン』と芝居がかった口調から始まり、

『人間風情と足並みを揃えて修行なぞできるか。我は我で修業に励む。今は、そのために魔界へと赴いているところだ』

「魔界……ですか……?」

 意味が分からず、沙希は首を傾げる。

『安心しろ。試合にはちゃんと出てやる。されど、下らぬ人間の戯れに我を巻き込むでない。分かったのなら切るぞ』

 プッ。プーッ。プーッ。

 影人が今のイチローの言葉を翻訳する。

「翻訳すると、だな。こっちはこっちで自主練やってるから心配するなってことだと思う」

「まぁ……ちゃんと練習してくれるならいいんでしょうか?」

 少なくとも、イチローは練習自体をサボるわけではないみたいだ。

「いいんじゃないですか? あの人の場合、一人の方が効率よく練習できるかもですし」

 龍示は結構イチローのことを信頼していた。中二病はともかく、野球の実力は本物なのだ。だからといって、キスされたことまで許した覚えは無いが。

 さて、他のメンバーはというと、

「ダメです……。皆繋がりません……」

「こっちもだ」

 電話が繋がらない。明嗣とイチロー以外は全滅だった。

「あの試合は一体何だったんだよ……。俺が極度の緊張状態に陥っただけじゃねぇかよ……。いや、三人の先輩に練習する気があるだけでも喜ぶべきか……」

 龍示は腑に落ちないといった具合にウンウン唸った。

 そろそろ来るか来ないか分からない部員に時間を削るのも無駄になってきたか、という空気が流れたところで、

「あぁああ!」

 影人が携帯の画面を見て、声を上げた。

「「「「?」」」」

 影人はプルプルと手を震わせながら携帯を操作する。

「イッコウのブログだ」

「イッコウっていうと……ガタイのいいオネェの人ですか?」

「あぁ。見てみろ」

 影人から携帯を渡され、龍示は画面をスクロールさせていく。

そこにあった内容はこうだ。

『タイトル:夢の国から』

『本文:今日は皆で昨日の試合の残念会♪ ディズ○ーランドに来てま~す♪ 本当は練習に行かなきゃだけど、今日くらいはいいよね♪ 龍クン達は今頃練習しているのかな? 皆、夢の国からミッ○ーと一緒に応援してるからね♪ ファイトだぞ♪』

 一功のブログには、野球部のメンバーがネズミのマスコットを取り囲んで楽しそうにピースサインをしている画像が添付されていた。

「ふざけんじゃねぇぞコラぁああああ!」

 龍示は地面に思い切り携帯を叩きつけた。

「おい!? それオレの携帯!」

 影人は慌てて携帯を拾い、動作を確認する。ボディに傷こそついたものの、動作は正常だった。携帯の造りが頑丈で助かった、とホッと息をつく。

「『ファイトだぞ♪』じゃねぇよ! おまえらがファイトしろやボケぇえ! なに皆でディズ○ーランド行ってんだよ!? 楽しそうにミッ○ーと写真撮りやがってよぉお! あいつら馬鹿か!?」

 野球部のメンバーがディズ○ーランドへ行っているという言葉を受け、一同は呆れるを通り越して感心した。練習に来れる部員がいないと分かった今、こうしてここに留まっているわけにはいかない。

「だいぶ遅れたけど、そろそろ練習に行こう。藤田君」

「……だな。いくら喚いても誰か来るわけでもないし」

 一同はグラウンドへと向かって、早々に練習の準備を始める。

「…………っ」

 龍示は自分と一緒に準備を進める仲間を目にして、改めて、これから、これまでと違った毎日が続いていくのだという実感が込み上げてくる。

 それは他のメンバーも一緒のようで、それぞれが微かに高揚の笑みをこぼしていた。

 準備は完了。

「よし! 練習始めるか!」

「「「「おっす!」」」」

 龍示の掛け声に、メンバーは威勢よく応える。そこへ、

「ちょっと待ってください!」

 沙希が待ったをかけた。

「「「「?」」」」

「あの……今日は野球部として初めての練習ってことですし……円陣、組みませんか?」

「いいな、それ」

 影人が笑みを浮かべて賛同。他のメンバーも異論は無いようで、皆、笑顔で頷いていた。

「よし。円陣組むぞ!」

 龍示の掛け声でメンバーが一か所に集まる。それぞれが両隣の人の肩に手を置いて、五人は小さな円となった。

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

 集まったメンバーは互いに顔を見合わせ、楽しそうに、気恥ずかしそうに笑みをこぼした。

 ここにいるメンバーこそが、これから共に戦っていく仲間。円陣を組んだことで、それが実感として表れてくる。

 やがて、高揚した沈黙を破って龍示が口を開く。

「…………高校野球の世界に足を突っ込んだからには、お決まりの啖呵を切ってやろうぜ」

「「「「………………」」」」

 言葉にせずとも分かる。一同は笑みを浮かべてコクリと頷く。

 気持ちは一つだ。龍示は全国の高校球児に喧嘩を売るべく、すぅ、と大きく息を吸い込み、叫ぶ。

「甲子園っ! 絶対行くぞぉおおお!」

「「「「おぉおおおおおお!」」」」


 最後まで読んでくれた方はいるでしょうか?

 いたらとても嬉しいです。この長くも下らない話に付きあってくださってありがとうございます。

 これは一年程前に新人賞に応募しようと書いた作品です。規定枚数を大幅に超えてしまったために、結局出せませんでしたが……出さなくて良かったです。

 三人称の視点が終始ブレ続ける、試合の終わらせ方が拙すぎるなど、実力不足がこれでもかというくらいに表れています。賞を取ろうだなんてとんでもない話です。

 ですが、誰かにおもしろいと思ってもらえるかどうかはまた別の話かと思います。

 自分はこの実力不足で拙い作品が大好きです。……たぶん。

 願わくば、誰か一人でもいいので自分と同じように思っていただける方がいたら……。『おもしろい』、『このキャラクターが好き』など、思っていただけたのなら、これに勝る幸せはありません。

 感想、アドバイスなどがありましたら励みになるので是非お願いします。

 それでは。

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