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紅緋にかすむ目の前に

作者: 椎堂鳴流

 新政府軍からの追撃を受け、旧幕府軍には圧倒的な敗北が目の前に広がっていた。


最新の銃や大砲を持つ奴らには到底かなわねえ…

わかっていた。

だが、引き下がっちゃいけねぇんだ、俺たちは。

共に戦ってきた藤堂も、沖田も、原田も永倉も斉藤も、源さんも、山崎も…

それから…

近藤さんも、皆いなくなっちまった…


志を同じくして浪士組に参加して、あの人をもっと高いところまで押し上げてやろうと思ってた。


あの人のためなら、何だってできる。


でも……結局俺は、あの人を見捨てて海を渡ってこんなところまで走ってきちまった。

もう俺たちみてえな人斬り集団じゃあ歯が立たねえ。


数だって…。


これ以上、戦を続ける事に意味はねえ。


だけど俺はあの人が連れて行かれて、四条河原で斬首されてからずっと、死に場所を求めていた。


新撰組の奴らはもう、ほとんど様変りしていた。

ここには守りたかったものも、戦い続けてきた仲間ももういない。


そんなところまで、俺は腐っていた。


だが大鳥と手を組んで、もしかしたらこの現状を打破できるかもしれねえと少しだけ希望を持った。

まだ若い市村に、俺の形見を故郷の日野へ届けるように、この戦場の場から逃げ出すように仕向けて。


俺にはまだ、やらなきゃならねえことがある。

コイツ等の指揮をとって、死んでいったやつらの分まで戦う。


大鳥のやろうに言われなくたってわかってんだよそんなことは!


「我この柵にありて、退く者を斬る!」


俺の仕事は、この一本木関門を守りきること。



<ドォオオンッ>

弾が腹を貫通した。


「ぐぁっっ!」


これが…最後か、俺の。

新撰組副長、土方歳三の…。


誰に撃たれたかはわからねえ。

だが、結構やばそうだ…。

目がかすんできやがった…。


「なあ…近藤さん……もうすぐそっちに行くからよ…」


あんたは、怒鳴りつけるんだろうな…俺の事。

なにやってんだ、バカやろうって…



沖田は……笑うだろうな…。


最後に見えたのは…




紅緋に染まった誠の旗。



あぁ…懐かしいな…

京の市中を必死に駆けずりまわってたあの頃が…



よしや身は…

蝦夷が島辺に朽ちぬとも魂は東の君やまもらむ…か…


なあ近藤さん…あんたは、後悔したか?殺されるとき。


…俺は、後悔なんて…








してねよ———。




http://lotus.kuchinawa.com/index.htmlの【lotus-eater】というお題サイトさんから、和の色で5題の中の「紅緋にかすむ目の前に」というお題をお借りしました。

土方さんをシリアスに描きたかっんです…ハイ。


誰か文才を私に!!!!!

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