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『ノークラスについて』

ペ「ハロー、トラベラーズ! 悪夢の世界の案内板! ペイモン様だぜぇ!」


ア「はろー、とらべらーず! みんなのパスカット! アスタナちゃんだよー!」


ペ「いやいや! パスをカットしてどうするんだよ! もっと役に立つことをしろよ!」


ア「ふふん! おそれおののくがよい! これからアスタナは『あくのあくま』になるのだよー!」


ペ「……まあ、ここにはオレたち二人しかいないから、パスまでは出来てもパスカットなんて出来ないんだけどな」


ア「し、しまったのだよー!」


ペ「だから何だその変な口調。……さて、いつもの戯言が終わった所で、今日のお題は『ノークラス』だ」


ア「はー。『のーくらす』って『えぬぴーしー』のことだよね? そんなのはなす『かち』あるのー?」


ペ「オマエって脈絡なく毒吐くよな。けど、ノークラスってのは結構複雑なんだよ。そもそも、『ノークラスは二種類いる』って知ってるか?」


ア「え、ええと……おとことおんな?」


ペ「ある意味あってるけどそうじゃねえよ!

 ノークラスは『ナイトメアの世界に1から作られた人工的なノークラスと、元は人間だったけど選別の儀式で自分の意思を奪われた後天的なノークラス』に分けられるんだよ!」


ア「な、なるほろー」


ペ「こいつらを見分けるのは簡単だぜ。

 『ナイトメアの世界に1から作られた人工的なノークラスは、ゲームのNPCみたいに一定の行動しか取れないのが普通』なんだ。

 だから、妙に反応が機械っぽかったり、ロボットみたいに決まりきった言動しかしなかったら、そいつは人工的ノークラスだって見ていい」


ア「『たいかんげーむ』のネタでよくあるあれだねー!

 『~~のまちにようこそ』しかいわないってやつだねー」


ペ「まあ、そんなもんだな。

 一方で『元が人間だった後天的なノークラスは、判断力をほとんど残したまま、記憶と行動原理だけをいじられてるから、普通の人間と変わらない反応をする』んだ」


ア「へえー。じゃあそっちに話を聞いた方が色々うまくいきそー」


ペ「しかし、そううまい話でもないんだ。

 ナイトメアの世界が生まれて約一ヶ月。もうこの世界への探訪者トラベラーの数は1000を超えたって言われてるが、そのほとんどがユニークスキルを得てトラベラーとして活躍してるらしい。

 ノークラスにされちゃった奴らは実質100に満たないと思うから、まあ後天的なノークラスはかなりレアだと思ってくれていい」


ア「えー。もっとたくさんの人がナイトメアにひきずりこまれればいいのにー」


ペ「オマエは……。あー、そういや、ノークラスになると何が起こるかってのを説明してなかったな。

 まず、ノークラスになると、クラスの代わりに『ロール』って物が与えられる」


ア「『ろーる』、ってなにー?」


ペ「そいつのステータス画面にも表示されるし、トラベラーで言うクラスみたいなもんだな。

 そのノークラスが演じる役割で、『店の主人』とか『町の神父』、あるいは『山賊の親分』とか、変わった所では『勇者』なんてものもある」


ア「ほわー、『ゆうしゃ』!」


ペ「大体において、『ノークラスの役割はロールで決まる』。

 店の主人ならトラベラーにアイテムを売るのが役割になるし、山賊の親分になったら討伐イベントの対象になったり、勇者だったら共闘イベントでトラベラーたちと一緒に戦ったり、まあある程度の自由意思はあるものの、ナイトメアの都合でそれこそ都合のいいように動かされ、トラベラーたちのイベントに華を添えるのが役目って感じだな」


ア「かんぺき『あやつりにんぎょう』だねー」


ペ「大抵容姿と大まかな性格は変わらないことが多いらしいが、名前と記憶は奪われる。

 明らかに日本人なのに洋風な名前を持ってたらそいつはノークラスの可能性が高いってことだな」


ア「ほうほう」


ペ「まあこんな風に言うとずいぶん悲惨に聞こえるかもしれないが、所詮夢の中の出来事。死んだって現実世界に影響はないし、どうせ現実世界に記憶は残らないんだから、ノークラスの人たちにはちょっと変わったボランティアをやってもらってる、みたいに思えばいいとオレは思うぜ」


ア「ふふふ。ペイモンちゃんも『きちく』ですなぁ」


ペ「いや、鬼じゃなくて悪魔だけどな。

 あ、そうそう。ノークラスはトラベラーよりナイトメアの影響を受けやすいから、人々の話題に上ったりするだけでロールが変化することもあるぜ」


ア「じゃー『けんおー』もわるいうわさをたてられると『ぼーくん』になったり、『どぶねずみ』もいいうわさをたてられると『えいゆー』になったりするってことー?」


ペ「んん、まあ、そういうこと、かな?

 特に『有名なノークラスはトラベラーたちの噂になりやすいから、たとえ元が人工的なノークラスでも、成長して独自の個性を持ったりすることが多い』みたいだな」


ア「ほうほう。にゃるほどー。ほうほう」


ペ「……今日のオマエはいつにも増しておかしいな。まあいいや、今回のまとめな」



『ノークラスは二種類いる』

『ナイトメアの世界に1から作られた人工的なノークラスと、元は人間だったけど選別の儀式で自分の意思を奪われた人間がなる後天的なノークラス』


『ナイトメアの世界に1から作られた人工的なノークラスは、ゲームのNPCみたいに一定の行動しか取れないのが普通』

『元が人間だった後天的なノークラスは、判断力をほとんど残したまま、記憶と行動原理だけをいじられてるから、普通の人間と変わらない反応をする』


『ノークラスの役割はロールで決まる』

『有名なノークラスはトラベラーたちの噂になりやすいから、たとえ元が人工的なノークラスでも、成長して独自の個性を持ったりすることが多い』



ア「ふむん。にゃるほろにゃるほろー」


ペ「さっきからオマエ、本当に分かってるのか?

 とにかく、そろそろ終わりにするぞ?」


ア「もうそんな時間にょろかー?

 それじゃ、みんな、つぎあうときまで……」



ペ・ア「グッナイ、トラベラーズ! 良い悪夢を!!」



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