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『能力値について』

ペ「ハロー、トラベラーズ! 今日も絶好調! 魔界の超鬼軍曹こと、ペイモンだぜ!」


ア「はろー、とらべらーず! みんなのマスカット、アスタナちゃんだよー!」


ペ「ブドウになっちゃってるよ!」


ア「??」


ペ「いや、悪かった。オマエがそれでいいならいいんだ。果物にだって幸せはあるさ」


ア「んー? 変なペイモンちゃん」


ペ「さて、気を取り直して、今日オマエらに教えてやるのは、ナイトメアの世界でのオマエらの肉体についてだ!」


ア「えー? げんじつみたいにうごいたりできるんじゃないのー?」


ペ「確かにそうなんだが、ナイトメアでは現実世界の体とはちょっとだけ違う体『アバター』を動かすことになる」


ア「それってなにがちがうのー?」


ペ「一番分かりやすいところでは、『アバターが傷付いても現実の体に影響はない』ことだな。

 ただそのせいで、『アバターに宿っている記憶は現実世界に持っていけない』って言われてる」


ア「でも、げんじつのきおくは『あばたー』にもっていけるんだよね、ふしぎー」


ペ「その辺りのメカニズムは実はあまり解明されていないんだ。

 ただ、一部の魔力操作に優れた人は夢の世界の記憶を現実でも保持している場合もあるから、魔力と何か関係があるとは言われてるな。

 アバターを完全に魔力で形作ることが出来れば、最終的にはアバターと現実の体が一つになる、なんて説もある」


ア「へー。ぜんぜんきょーみないやー」


ペ「じゃあ何で聞いたんだよ!!」


ア「ふいんきー。それより、『あばたー』のすごいとこおしえてー?」


ペ「雰囲気、な? ……もう一つ、『アバターの姿は本人の自己認識や願望、コンプレックスに左右される』んだ」


ア「あれ? ゆにーくすきるとにてる?」


ペ「そうだな。まあこれもユニークスキルと大体同じだ。

 背の低いことがコンプレックスな奴がいたら、アバターは本人の願望が作用して本人よりも背が高くなることもあるし、劣等感から実際以上に強調されて本人よりさらに背が低くなることもある」


ア「うわ、ひっさーん」


ペ「変わった所では猫耳を生やした奴とか、エルフとか竜人になった奴、性別を変えちゃった奴とかもいたな。

 とはいえ、相当自己認識が歪んでないと、あんまり自分とかけ離れた姿にはならない」


ア「でも、ここにくる人ってだいたいゆがんでそうだよねー?」


ペ「オマエたまにさらっと毒吐くよな。

 まあ色々言ったが、そんなのはオマケに過ぎない。

 アバターの一番すごい所は、世界にあふれる魔力『ヒュプノス・パワー』を使って、自分を強化できるところなんだ!」


ア「ひゅ、ひゅふのふ、はわー?」


ペ「ヒュプノス・パワー、略してHPだ! これがないとトラベラーどころか、この世界でやっていけないってくらい大事な要素だぜ?」


ア「んー? でも、すごくつよい人だったら『おのれのみひとつ』できょうてきもばったばったとたおしちゃうんじゃないの?」


ペ「チッ、これだから素人は。あのなぁ。もしお前と体の大きさ以外全部同じで、身長が5倍の奴がいたとしたら、そいつの体重はお前の何倍くらいだと思う?」


ア「えっ? うーんと、うーんと、4倍くらい?」


ペ「なんで減ってるんだよ!!」


ア「だ、だって、アスタナさいきん『だいえっと』してるし……」


ペ「そういう問題じゃねえよ! ……はぁ。答えは125倍だ」


ア「ええー! ペイモンちゃんそれ計算まちがいだよー!!」


ペ「間違ってねえ! いいか? さっきの条件だと質量は体積に比例するから、身長が5倍なら体積は5の3乗で125倍になるんだよ!」


ア「うん! アスタナにはぜったいわからないってわかったよ」


ペ「とにかくそうなるんだよ! で、お前は体重が100倍以上ある相手と戦ったらどうなる?」


ア「そんなのとたたかったら、アスタナふみつぶされておせんべいみたいになっちゃうよー!」


ぺ「そ。つまり、でっかい奴っていうのはそれだけで滅茶苦茶強いってことだよ。

 そしてこのナイトメアの世界には、そういう怪物がごろごろといる」


ア「で、でも、『まんが』とかでは……」


ペ「そりゃーフィクションだからだよ。生身のまま自分の技だけで怪物を倒すような漫画やゲームはたくさんあるけどな。

 でも、現実にはそんなことはありえない。人間はどんなに鍛えたって10メートルもジャンプしたり出来ないし、10トンの怪物を持ち上げたりもできない。

 けど、それを可能にするのがヒュプノス・パワー、この世界に満ちる魔力なんだ!」


ア「そっかわかった! つまり『ごつごうしゅぎ』だね!!」


ペ「……もうそれでいいや。

 とにかくヒュプノス・パワー、つまり『HPは、アバターの攻撃力を強くしたり、攻撃から身を守ってくれたり、素早く動く手助けをしてくれたりする』んだ」


ア「で、でもでも、『まりょく』とか、つかうのむずかしそう……」


ペ「ところがどっこい! なんと魔力による強化は全自動なんだ!

 しかも、『どんな能力が強化されてるかは、ステータス画面を見れば一目瞭然』だぜ?」


ア「すっごーい! じゃあアスタナもさっそく見てみるのー!」


ペ「『ステータスを見るには、データウォッチを起動して、ステータスのボタンを押せばいい』んだけど、大丈夫か?」


ア「あっ、『すてーたす』がでたー。あ、あれ……?」


ペ「どうした?」


ア「アスタナ、『のうりょくち』のいみがわからないよー」


ペ「はぁ。しっかたねーなー。今回だけだぞ?

 能力値の詳しい解説は、これだ!!」



魔力  蓄えられる魔力量の限界。最大HPに影響。

理力  蓄えられる理力量の限界。最大MPに影響。

強化  攻撃を強くする力。物理攻撃力に影響。

耐久  攻撃に耐える力。物理防御力に影響。

俊敏  素早く動く能力。移動速度・反応速度に影響。

器用  スキルを扱う技術。スキルの成功率・成長速度に影響。

理法  理術に対する理解。理術属性スキルの威力・習得に影響。

克己  己を律する心。理術・状態異常への抵抗に影響。

操作  魔力を操作する技術。HP/MPの変換効率、無属性スキルの威力に影響。

信心  世界を受け入れる心。HPの自動回復速度、アイテムドロップ率に影響。



ペ「もちろんこれは全部HPを利用して強化しているから、強い攻撃を放ったり食らったり、速く移動してもHPは減っていくし、当然使いすぎて『HPが0になると全能力値も一時的に0になる』から気をつけろよ」


ア「ペイモンちゃん、ペイモンちゃん」


ペ「おっと、言い忘れてたが『アバターの初期能力値は本人の性格や性質に左右される』ぜ?

 これも詳しくは分からないが、年代的には10代半ばの奴らが一番初期値が高く、その中でも『意志が強いと物理系、想像力が豊かだと魔法系の能力値が高いことが多い』らしいな。

 まあ初期能力値についてはばらつきがあるとしか言えねえなぁ……」


ア「ねーねー。ねーってば!」


ペ「もっと詳しい話を知りたい奴は、『ステータス強化について』を読んで……なんだよ、アスタナ」


ア「あのね、いみとかのまえに、かいてある『のうりょくち』のかんじがよめないの」


ペ「……ダメだこりゃ」


ア「おあとがよろしいようで」


ペ「というところで、今回の復習だ。かなり量が多いから、しっかり覚えろよな!」




『アバターが傷付いても現実の体に影響はない』

『アバターに宿っている記憶は現実世界に持っていけない』

『アバターの姿は本人の自己認識や願望、コンプレックスに左右される』


『HPは、アバターの攻撃力を強くしたり、攻撃から身を守ってくれたり、素早く動く手助けをしてくれたりする』

『どんな能力が強化されてるかは、ステータス画面を見れば一目瞭然』

『ステータスを見るには、データウォッチを起動して、ステータスのボタンを押せばいい』

『アバターの初期能力値は本人の性格や性質に左右される』

『意志が強いと物理系、想像力が豊かだと魔法系の能力値が高いことが多い』




ア「それじゃ、きょーはおわりだね」


ペ「オマエはこれから漢字の書き取りな!」


ア「ひーん! うぅ、とにかく、じかいまで……」



ペ・ア「グッナイ、トラベラーズ! 良い悪夢を!!」

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