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「とうとう明後日だなあ、陛下と勇者様の御結婚式!なんでも陛下は勇者様にベタ惚れらしいぜ!」



へーえ。2年前は深衣と出会えて幸せの意味がわかったよ…とか言ってたんですけどね。


「今代の勇者様はそれはそれは綺麗な黒髪に黒曜石のような瞳なんだとか。黒髪黒目自体珍しいのに、容姿の美しさと相まって女神の如く神秘的らしいぞ。」



ま、私の髪は色素が薄いから茶色だし、その上癖っ毛。目にしたら何でか濁ったような灰色ですしね。

ちなみに容姿は普通よりはいい方。

姉と並ばなきゃですけど。



「しかも性格も素晴らしいんだと!神官長も騎士団長も魔術師団長も惚れ込んでいるらしく、そんな方々の中皇帝陛下を選ばれたらしい」



…たしかそいつら皆私のこと好きだって言ってた気がしますけど。

まあリューイ以外どうでもよかったからシカトしてたんですけどね。







と、まあ酒屋に入って盗み聞きしてたらこんな感じです。


あの張り紙見たあと、呆然としていたら一緒に旅していた供に声を掛けられ、とりあえず情報を得ねばと城下町で一番大きい酒屋に入った次第です。はい。




「すごいよな、勇者様。陛下との御結婚が決まったのは半年前だっけか?」


店員にビールを3つ持って来させ、三人が座ってる席に酔っ払ったフリをしながらカマを掛けつつ座ります。



「なあに言ってんだよ。さては兄ちゃん田舎もんだな?」


「三ヶ月前くらいだよ。半年前に帰還されてから、全員で猛アプローチだったらしいぜ。」


「兄ちゃんも式を見に来たのか?最近多いんだよな。」



ビールに気をよくしたのか3人とも喋り出す。



「ああ、そうなんだ。どうしても一目みたくてなあ。けど、勇者は茶髪灰目じゃなかったのか?」


「そういや結構前にそんな噂も流れてたな。」


「あー、そいつぁ勇者様の使いの者だよ。なんか魔族を掃除してくれてんだってさ。」


「さすが勇者様!そこまでしてくださってんだなあ。」



……………。



「そうだったのかあ。てっきりその噂が本当だと思ってたよ。しっかし皇帝陛下と勇者様かあ。たしか5歳差だよな?誂えたような歳の近さじゃないか。」



落ち着け私!私と姉の年齢差をどう誤魔化しているのか確かめるんです!





「おっまえ本当なんも知らねえのな。」


男1が呆れたように言う。



「陛下と勇者様は3歳差だぜ?ま、誂えたような歳の差には違いねえか。」



「心配したよなあ。勇者様の歳、中々発表されないからよっぽど年増なのかと思ったぜ。」



3人目の言葉に一斉に笑う。もちろん私も笑います。



少し笑いが収まってから、思い出した様に聞く。



「たしかお歳は20歳だったか。なんで発表されなかったんだろうなあ。」

「ああ、そいつはきっと国民を安心させるためじゃねえか?魔王を倒す前に10代の娘だ、なあんて言われたら誰だって不安になる。」



「さすが皇帝陛下に勇者様だよなあ。」





色々突っ込みたいところはあるが、それは一応置いておきます。


落ち着いて、情報を整理する。



姉が来たのは半年前。


ちょうど私が魔王を倒した後ぐらいですね。


それから三ヶ月くらい、私が必死に魔族と殺し合っている間得意のラブコメ染みたことをしていたと。


そして私が魔族の罠に嵌まって死にそうになっている時、

私の恋人であったはずのリューイと愛を育み婚約していて。



数ある魔族の基地をほとんどの壊滅したことも、人を死ぬほど助けたことも、魔王を倒したことも、国の今後を思って残りの魔族一掃していたことも、全て姉がしたことになっていて。



ましてや茶髪灰目の私は姉の使いだと。


私の主人は姉で、私のしたことは姉のしたことだと。





お、お、落ち着け私ー!




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