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「カイル、リューイの魔力は封じられる?」


「ええ。俺だけでも十分でしょう。」


「そう。」


姉とリューイは別々に居ます。私とカイルも別行動ですね。


「じゃあ、後でね。」


「はい。何かあれば呼んで下さい。」




カイルと別れて、姉の部屋に向かいます。気配を探ると…姉1人。


私は迷って、…魔力を外に出さない結界を張ったまま、視認だけ出来る様にします。



中に入りますが、姉は気付きません。鏡に向かったままです。


「……お姉ちゃん。」


私が呼び掛けると、姉は驚いた顔で振り向きました。


「深衣?……深衣!」


本当に嬉しそうな顔で、駆け寄ってきます。


「深衣…心配したのよ。もう、本当お姉ちゃんが居なきゃ駄目なんだから…。」

「お祝いに来てくれたの?ありがとう。お姉ちゃんね、知ってると思うけどこの国で一番偉い人と結婚するのよ。」

「深衣も会ったことあるでしょう?リューイって言うの。ああ、どうしてリューイに失礼ばかりして城を出たりしたの?深衣。」

「リューは優しいから、あなたに怒りを感じながらもとっても心配してたのよ。私の妹だからって…いつもの癇癪でも起こしたのでしょうけど…。」

「いつまでも子供じゃないんだから。自分の行動に責任を持ちなさいっていつも言っているでしょう?」

「お姉ちゃん頑張ったわ。深衣が礼儀知らずとか、性根が腐ってるとか、性悪だなんて言われても頑張って否定したわ!」

「だから大丈夫。帰ってきてもいいのよ。気まずいとは思うけど、あなたのした事の責任は持たなくちゃね。」

「深衣、とにかく無事で良かった…。あなたの事だから、死んではないと信じてたの…!」



そこで漸くマシンガントークは終わり、姉は泣き始めました。


「お姉ちゃん…私ね、城を出たりしてないよ。リューイと付き合ってて、リューイの為に勇者になって魔王を倒そうと旅に出てたの。」



本当の事です。姉はなんと言うでしょうか?



「深衣……拗ねないで。お姉ちゃん、あなたを忘れてた訳じゃないのよ。」


は?


「魔王を倒したのは私でしょう?勇者も私。リューイと付き合っているのも私よ。…お姉ちゃんの物を欲しがるのは仕方ないけれど、嘘は駄目よ。そんな話し、誰も言ってないもの。」



「……お姉ちゃんが魔王を倒したって?」


「私が存在するだけで、魔王は弱り死んでいくそうよ。何かを殺す、なんて野蛮で嫌だったけど…世界の為だもの。」



姉は、苦しんだけど皆を想って乗り越えました!って顔をしました。


…は?はああ?


泣きそうになりながら動物狩って捌いて食べて、人を襲う魔族殺して、魔王倒す頃にはもう麻痺してた私に当て付けですか!?



「……魔王は私がこの剣で倒したけど。」


一応言ってみます。通じないと思いますが。


姉は眉をしかめました。


「深衣…いい加減にしなさい。」


ま、当然信じません。私は溜め息を吐いて、分からない様に魔力封じを掛けます。

簡易化したやつじゃないのを。


魔法が完全に掛かったのを確認して、念の為“サーチ”を掛けます。


――――エラー


…え?




「……お姉ちゃん。異世界に来る時、何を願った?何を貰った?」


姉の雰囲気が変わります。長年側に居なければ分からない変化だったでしょう。


「……なんのこと?」



……やっぱり。

私は姉の能力が『魅了』だった事から、考えていました。


私がこちらに渡った時、渡った前。願ったのは“力”です。

何にも蹂躙される事のない、力。

その為私はチートになったのかもしれない。


そして姉が願ったのが“魅力”なのでしょう。

何にも負けない、永遠の魅力。

そしてその事が、自分が魅力を願った事が誰にも知られない様に。


その為姉は全てを手に入れました。

愛と羨望、尊敬に功績。皇妃の地位に勇者の地位。


…私は、姉には敵わないのでしょうか。

結局、全てを手に入れるのは姉なのでしょうか。

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