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白銀の魔王は黒き剣と踊る  作者: Victor
死霊の森
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降臨

 死霊の森の集落で吉夫の帰りを待つ鈴音はただ待っているだけでは暇なので、自分の前世であるリーンが得意としていた数々の闇魔法を思い出しながら時を過ごしていた。

 隣には彼の義妹である巴が眠そうにあくびをかみ殺し、腰に差している刀の柄からは手を放そうとしない。彼女いわく、森が騒めいているとのこと。

 巴だけではなく、ディーンとルナティカも同じことを感じているのか、集落にいる人たちに警戒体勢を取るようにとすでに指示していた。樹の上にある家の中には非力な子供や老人たちが集まり、家同士を繋ぐ橋には弓を背負うダークエルフたちが彼らを守っている。

 地上には獣人たちがそれぞれの武器を手にして、警備していた。

 ディーンとルナティカはたとえ戦場でも離れたくないのか、一緒に地上で警備をしていて、だけどもこの緊張感の中でいちゃいちゃすることはない。いるとすれば――あの二人ぐらいだろう。

 鈴音の視線の先にはお互いの指を絡めて、恥ずかしそうにそっぽを向くアマリリスと呪術によって少年にされていた青年――レオナルドはそんな彼女の様子が愛おしいのか、にんまりと笑みを浮かべている。

 レオナルドが呪術によって少年へと若返ってしまったことに気付いたルナティカは、魔力が高いダークエルフたちと共に彼にかけられていたそれを解除した。おかげで、少年から大人へと身体が成長したと同時に服が破れ、様子を見守っていたアマリリスは涙を流しながら彼に抱き付いた。

 アマリリスと出会ってそれほど経ってない鈴音だけども、どれほど彼女が彼のことを心配していたのか、よくわかる行動だった。

 いまのレオナルド――レオは黒一色の服に身を包み、アマリリスの傍にいる。


「ええな……」 


 いつかよっしーとあんな風になれるかな、と羨ましく思っているとずきっと頭痛が起きて、前触れもなくとある光景が浮かぶ。漆黒の花嫁衣裳を纏ったリーンは、ヨシュアとリーンの結婚式に乗り込んで――親友を槍で貫いた。

 あの時のリーンは彼女を殺すつもりなんて、なかった。日に日に自分が自分じゃなくなるのを感じていて、誰かに頼ればあの悲劇は回避できたかもしれないのに。

 親友のヘンリエッタと最愛の弟が結婚することは、望んでいたはずなのにどうしてこうなったのだろう。一体どこで、間違えたのだろうか。

 前世でリーンがヘンリエッタを貫いた感触、彼女の温もり、血まみれの自分と血の臭い。

 怖い。怖いよ。

 また同じ間違いを繰り返してしまいそうな自分がすごく怖くて、こうして考えているだけで親友の恵美を「殺せ」と脳裏に響く声に支配されていく。恵美と二人きりになったら、心がどんなに拒んでも肉体が勝手に動いて――命を奪いかねない。

 なあ、よっしー。めぐみんのことほっといて、うちとどこかで二人きりで旅に出よう。もう世界のことなんて、勇者のあっきーに任せてしまおう、な? でも、でも……やっぱり、めぐみんも一緒に傍にいて、よっしーを困らせて、笑い合って、愛し合ってもええはずや。

 お願い、よっしー。はよ、帰ってきて。じゃないと、うち――心が壊れそうや。もう、どうすればええんか、わからへん。


「鈴音さん!!」


 珍しく巴が声を張り上げて自分の名前を口にしていて、俯いていた顔を上げると――そこは戦場と化していた。

 いつの間にかに魔物が死霊の森に侵入していて、巴は槍を構えない鈴音をたった一人で守り続けていた。息を荒げる彼女の周囲には切り伏せた魔物の死体が転がり、鈴音はこんなことさえ気付けなくて申し訳なかった。

 深呼吸して気持ちを切り替えた鈴音は漆黒の槍を呼び、巴の死角から額に角を生やした兎を弾く。そのまま槍に伸びろと命じると、連結式へと変化し、鈴音が振るう度に複数の魔物をまとめて吹き飛ばして、巴が息の根を止める。

 巴と背中合わせになって、周囲の様子をうかがえば――地上にいる獣人たちは樹に上ろうとする魔物を倒し、樹の上にある家々を繋ぐはしごの上に立つダークエルフたちは弓矢で彼らのフォローをしながら、時折魔法でまとめて倒していた。

 彼らの邪魔にならないようにしなければ、と感じた鈴音だが混戦はさすがに避けられそうもない。集落の入り口には無数の目が暗闇の中で不気味に光り、まだあれが残っていることを知って背筋が凍る。

 なぜ、ここを襲うのか誰にもわからない。


「ああ、畜生! てめぇら、巻き込まれんじゃねぇぞ!」


 苛立ったレオの怒鳴り声が響き、彼の直線状にいる獣人たちが距離を取る。レオの大剣に闇が集い、片手で鋭い突きを行う。闇の突風が荒れ狂い、次々と切り裂いていくけれども、すぐに新たな魔物が現れていくことできりがない。


「おいおい、どうなってんだよっ」

「だったら、これでもどうよ!」


 アマリリスが闘気によって生み出した炎を宿した拳を前に突き出せば、獅子と化して魔物に牙を剝く。一頭だけではなく、複数の炎の獅子――獅子円舞が魔物に触れると爆発し、まとめて焼き殺しても相手はまったく怯むことなどなかった。

 まるで恐怖を忘れているかのように、それとも何かに恐れているのか。ただただ前進し続ける魔物の群れを前にして、皆恐怖を抱く。


「手を止めるなっ。ヨシオ君とアキラ君たちが帰ってくるまで、持ち応えてくれ! あの二人ならば、僕たちを必ず助けてくれる!」

「いまここで私たちが折れるわけにはいかないわ! あの二人が帰ってくるまで、絶対に持ち応えましょうっ」


 ディーンとルナティカは背中合わせになりながら、大型の虫の魔物に囲まれてもなお、希望を捨てずに剣と魔法を振るう。ディーンの剣が一閃し、虫の魔物が両断されてからルナティカが広範囲の闇魔法を発動させた。

 後方に控える魔物たちは見えない力によって押し潰された。鈴音もよく使う重力グラビティの強化版重力圧縮グラビティプレス。複数ならば、この魔法が効率がいい。

 ルナティカのおかげで一時的に魔物の勢いが弱くなり、鈴音たちはこの好機を見逃さずにできるだけ数を減らしていく。

 そこへ、背中を押すように透き通るような美しい声が戦場に響き渡り、これを聞いた者たちは身体の奥から力が沸き上がるのを感じながら剣と魔法を振るう。

 このようなことができるのは、レナしかいない。

 彼女が戦場で戦うには危険だと判断し、家の中に籠っている。レナと一戦交えたことある鈴音は彼女の召喚魔法と魔法はとても有効だが、この混戦では味方を巻き込みかねない。

 だから、彼女は歌うことを選んだ。

 身体能力向上、魔力増加、武器強化、行動妨害、弱体化――。味方の能力向上と敵の動きを阻害を同時に行うことを、レナからあらかじめ聞かされていた鈴音たち。だけど、彼女に相当の負荷をかけていることは間違いない。

 戦場に響き渡る歌声により、戦士たちは動きが鈍くなった魔物たちを次々と葬り去ることで脅威を退けていく。これならば、吉夫と明が帰って来なくてもレナの歌声と彼女の歌によって力を得た戦士たちだけで――

 と考えていた矢先に周囲を照らしていた満月の光が消えてしまい、怪訝な表情で皆がそこを見上げる。見上げた先にいたのは――不快な音を響かせる三メートルもある虫。ただの虫ならばよかったものの、それは普通ではない。

 遥か昔に竜を喰らい、虫の身でありながらも強靭な肉体は刃も通さず、魔力を得たことで失われた古代魔法で数多の都市を滅ぼし、英雄に滅ぼされるまで生き延びてきた魔物――ドラゴンフライ。

 文献によればドラゴンフライは竜一頭ほどの大きさと書かれているが、ここにいるのはどれも三メートルほど。つまり、まだ生まれて間もない若いドラゴンフライだから十分に勝ち目がある。

 いま、鈴音たちの真上に並ぶ十体のドラゴンフライは複眼で彼女たちを見下ろしながら不快な音を響かせ続ける。最初にそれに気付いたのは、誰だったのか。

 誰かが力が抜ける、と呟いたせいか、徐々にそれが全体に広がっていく。それだけで済めばよかったが、控えていた魔物たちがいっせいに動き出す。


「くっ、なんだよ、こいつら」

「同じ魔物のくせに、なんでこんなに強くなってんだよっ」

「くそっ」


 獣人たちの武器が魔物の肉体を傷つけることなく弾かれ、それでも彼らは闘志を燃やして必死に集落を守るために動き続ける。樹の上のはしごにいるダークエルフは彼らの援護を行おうとしていたが、暗闇からのぞく複眼と多数の脚を持つ蜘蛛を目にして、真っ先に潰しにかかる。

 粘着力のある蜘蛛の巣に引っかかれば、しばらくは身動きは取れずにあっという間に蹂躙されてしまう。


「鈴音さん、先にあれを」

「潰すで、巴ちゃん」


 魔物の勢いが強くなったのは、ドラゴンフライが奏でる羽音のせい。それに気付いていても、宙にいる相手まで手は届かないが鈴音と巴ならば可能だ。

 ルナティカとディーン、アマリリスとレオにドラゴンフライを潰すことを告げた鈴音は軽量化ウエイトを巴にかけた。巴の肉体は一時的に軽くなり、彼女は闘気を足の裏に込めてそれを解き放つ。

 ドラゴンフライに向かうことを察した宙を舞う蝶や蛾の魔物は巴の進行方向に集うのを、鈴音は下から闇の波動で蹴散らしていく。

 鈴音のおかげで巴はドラゴンフライまで接近し、すれ違う瞬間に居合いを行う。少し遅れて、斬られた一体は地へと堕ちた。

 これまで騒音を響かせていた相手たちは翅を動かすのをやめると、巴に目を向けた。

 まずい。完全に巴を敵として認識している。しかも、彼女は宙では身動きさえも取れない。ドラゴンフライが顎をかちかちと威嚇するように鳴らせば、口先に膨大な魔力が集うと同時に魔法陣が展開されていく。


「巴ちゃん! 〈土の欠片〉を解放するんやっ」


 相手は間違いなく、すべてを破壊し尽す竜の一撃であるドラゴンブレスを放とうとしている。竜の因子を得ているとはいえ、そこまで得ているとは予想外だ。

 巴はすでに〈土の欠片〉を解放できる段階にいるため、防げないことはない。問題は巴が〈土の欠片〉を解放し、ドラゴンブレスに耐えれる魔法を発動できる時間があるのか、だ。  

 鈴音が闇の波動で相手の注意を引こうと手を上げる前に、集落の入り口から大きな物音を立てて新たな魔物が現れ、一瞬だけ気を取られてしまう。

 その直後、巴が〈土の欠片〉を解放したと同時にすべてを破壊し尽す九つのドラゴンブレスが解き放たれる。

 間に合わない――


「……っ!」


 はずだった。

 本当ならば、巴を消滅させただけでは済まさずに地面さえも溶かしてしまうはずのドラゴンブレスはどこにも見当たらない。代わりに、宙に浮かぶ銀髪を靡かせる愛しい彼が巴を抱え、片手には黒剣を掲げている。

 憤怒で身を震わせる彼――吉夫はドラゴンフライを睨み付けると、そのまま巴を抱えたまま相手に背を向けて地上へと降りていく。ドラゴンフライたちは敵と認識した巴を逃がさないとばかりにもう一度口内に魔力を集わせ、ドラゴンブレスの準備をしていると――空から轟音を鳴り響かせながら降り注いだ落雷に貫かれた。

 鳴り響く轟音は一瞬だけ場を支配し、敵味方関係なく視線を集めた吉夫は気にすることなく巴を下ろした。

 墜落したドラゴンフライは口先に魔法陣を維持し続け、悪あがきとばかりに最後の一撃を吉夫に食わらせるのを鈴音は目にして、注意しようとしても遅い。それなのに、彼は振り返ることなく放たれた必殺の一撃を黒剣で切り伏せた。


「失せろ。〈雷の欠片〉解放。――雷よ、敵のみに降り注げ」


 そのまま彼は〈雷の欠片〉を解放すると、空から轟音を響かせながら落雷が次々と魔物のみに的確に降り注ぎ、味方を助けていく。それだけでは止まらず、吉夫が黒剣を仕舞うと今度は純白の剣を握り、再度〈欠片〉を解放しながらその剣の能力を発動させる。

 命の剣ビオシフォス――かつてヘンリエッタが扱っていた武器。斬るためではなく、癒すためだけの剣。その治癒の能力をこの場にいる者たちの傷を癒すために範囲を〈欠片〉で増幅させている。

 純白の光が傷ついた者たちの傷を次々と癒し、ドラゴンフライが奏でていた不快な音が消えたことで、戦場に再びレナの声が響く。

 結果からすれば吉夫がしたことはすごいことだ。だが、吉夫は命の剣ビオシフォスの適用者ではない。無理すればどうなるのか、彼はわかっているだろうか。最悪の場合は死に至るかもしれないのに。

 吉夫に近寄って様子を窺えば、〈欠片〉を連続で解放したせいか顔色が悪く、魔力と体力もかなり消費しているのがよくわかる。巴が安全な場所に移動しようと提案し、迅速に樹の下まで運ぶ。

 そこへディーンが駆け寄り、鈴音に手渡してきたのは透明な液体が満ちている小さな瓶。


「この村の秘薬を飲んでくれ、ヨシオ君。少しは楽になるはずだから」

「ありがとう、ディーン」

「どういたしまして。あとは僕たちに任せてくれ」


 秘薬を渡すためだけにこちらに来たディーンは役目を終えると、すぐに恋人のルナティカがいる戦場に戻っていく。彼の後ろ姿を見つめる吉夫は鈴音が開けた小瓶を一気に飲み干し、顔をしかめる。


「ぐぅ、にっげぇ……」

「秘薬が美味しかったらおかしいやろ」


 秘薬を飲み終えた吉夫は巴に問う。

 

「なあ、巴。明はまだ戻ってないのか?」

「まだ戻ってませんよ。ねえ兄さん、私はあなたが守りますからそこでじっとしていてくださいね」

「……わかっているよ」

「本当に?」


 巴がジト目になると吉夫は目を合わせないように顔をそらす。どうやら、彼はある程度よくなったら前線に復帰するのは目に見えているので、鈴音は縄で縛ってから、レナたちがいるほうに連れて行けばいいのかと一瞬だけ考えたがすぐに否定した。

 吉夫のことは巴に任せて、鈴音がここから去ろうとした時に彼に呼び止められ身体が少しだけ止まったのをいいことに、ぐいっと引き寄せられて唇を奪われた。

 数秒そのままの状態で、彼から離れていこうとしたので逃がさないように引き寄せる。


「お、お兄ちゃん……! この状況で何しているの……!?」


 巴は彼がしたことに咎めていても、吉夫は彼女に何も言い返さない。鈴音からすればこの方法が最も効率がいい。なぜなら、この方法がもっとも手早く引き渡すことができるから、吉夫には感謝しないと。

 本来ならば時間をかけて引き渡しを行うが緊急事態ならば仕方がない。

 前世のリーンでさえ思い出すことができなかった記憶さえも甦り、同時に忌々しい声が脳裏に響く。恵美の命を奪い、吉夫を独り占めしてしまえばいい。そうすれば幸せになれる、と。

 やかましい。そんなことは知りたくない。

 それに――うちは九条鈴音。前世のリーンとは違う。過去に縛られたまま生きていくのは、ごめんや。おまえさんもそう思うやろ、リーン。せやから――仕返しせんと腹の虫、収まらんしな。

 唇を放した鈴音は吉夫に感謝して、立ち上がる。


「さぁ、ちぃとうちと遊んでくれへん?」


 獰猛な笑みを浮かべた鈴音は集落の入り口に出現した大型の魔物――人食い樹がいるところまで駆け抜け、味方に離れるように告げて槍を振るう。連結式でもあり伸縮自在の槍は人食い樹まで伸びていき、その巨体を蛇の如く巻き付けた。

 樹がみしりと嫌な音を立てると苦しそうに人食い樹は悶え、抵抗される前にその巨体を絞め殺す。


「すっご。これが邪竜槍の本来の力かぁ」


 漆黒の槍――邪竜槍という名を思い出せた鈴音はその威力に驚き、感心している場合ではないと自分に言い聞かせていまだに進行し続ける魔物の群れへと突撃していく。

 邪竜槍を連結式に切り替えて死角から襲う魔物の攻撃を防ぎ、闇の波動でまとめて薙ぎ払いつつ、鈴音はこうなっている原因まで駆けていく。しかし、魔物の数が多過ぎてろくに進めることができず、暗い森の中で足場も悪い。

 いっそのこと、闇の波動で道を作ってしまえばいいのだろうか、と悩んでいる矢先にここ一週間で見慣れたオレンジ色の炎が目に映る。その炎の持ち主は鈴音の眼前に現れると横から飛び出してきた人の形をした一本角の虫の魔物を切り伏せた。


「怪我してない、鈴音?」

「遅過ぎるで、あっきー。なにしていたんや」

「ちょっとした「掃除」をしていたところだよ。ね、フローラさん」

「ちょっとしたではなかろうに……」


 明の隣に背中から竜の翼を羽ばたかせながら舞い降りたフローラが地面に着地し、彼の「ちょっとした掃除」という発言に呆れている。二人しかいないことに気付いた鈴音は、食いしん坊の精霊王について問いかけた。


「そや。アイリスはどこにおるん?」

「増援を呼んでくるってさ。誰なのかは、知らないけれどね。ちっ、また増えてきたけれど二人とも、どうしよう?」

「決まっておろう。逃亡じゃ」

「逃げればええちゃう?」


 鈴音が提案したことに二人は同意し、取り囲むように展開していた魔物の群れから逃げていく。それでも翼や翅を持つ魔物からは完全に逃げ切ることができずにいたため、フローラが自ら囮となることを鈴音たちに告げると踵を返し、拳を振るう。

 反応できずに一体のキラービーの胴体に炸裂し、鈴音たちを追いかけようとしていた他の魔物はフローラに警戒心を抱き、その場に留まった。

 鈴音は彼女に感謝しながら、目的地までもうすぐであると明に伝え――そうして二人はそこに足を踏み入れた途端、目の前の空間が入れ替わっていく。

 いままでは暗い森の中であったはずなのに、鈴音たちの視界に映るのは干からびた大地と複数の魔法陣がそこに刻まれている。複数の魔法陣は毒々しい色をしており、まるで時計のように針が動いていた。

 鈴音が探し求めていた場所はまさにここ。

 眼前にある魔法陣はどこか欠ければ機能しないが、これは防御特化と攻撃してきた者に反撃を行う、と鈴音は読み取れた。いままでできなかったことをできたのは、邪竜槍を得た影響だろうか。

 どうすればこれを破壊できるだろうか、と悩んでいると明の破壊の炎の効果ならば可能だと思いついた。ほんの少しだけでも、効果はある。


「なあ、あっきー。破壊の炎なら、これぐらいあっさりと終えられないん?」

「僕もそうしたいけれど……知らない間にアイリスに封印を施されているから、できないんだ。ごめん」

「謝らんでもええよ」


 申し訳なさそうに謝罪する明に対し、鈴音はアイリスが彼にそうしていたことに感謝している。リーンの記憶がはっきりと思い出したいま、破壊の炎の危険性を理解しているため、今後、彼が封印を解かなければ身の安全は保障できる。

 リーンの記憶を遡って、対抗策を練ろうとした矢先に異変が起きた。

 地鳴りが発生し、魔法陣が輝き出す。

 そこから――十字架が現れた。そこに磔にされている人物は手足に釘を深く打ち込まれ、背中には一対の漆黒の翼。張り付けにされているのは――青年。彼の目は閉ざされ、肌黒い彼の肉体にはあちこちタトゥーが刻まれており、あふれ出る邪悪な魔力は一般人がいれば即死してしまうほど。

 鈴音と明はその魔力に屈しないために意識を必死で繋ぎ止める。

 そして、鈴音は本能で察した。


「そっかぁ……おまえさんが、うちを……リーンに闇堕ちさせる種を植えこんで、そうなるように仕組んだ張本人なんやな」


 ヨシュアとヘンリエッタの結婚式を台無しにしたのはリーンだけども、彼女を狂わせたのは、眼前にいるこの青年。いつ、どのように、どうやってかは、リーンの記憶にはない。

 だが、敵であることは間違いない。


「ひゃっは」


 愉しそうに笑みを零す青年の目が開かれる。


「リーンなんつー女なんか覚えていねぇがよぉ、黒髪が似合ういい女が少しづつ壊れていく姿はたまんなかったなぁ。ひゃっは――」


 嘲笑う青年に鈴音が邪竜槍を投擲する前に、拳に炎を宿した明が彼を殴り飛ばす。青年は漆黒の翼を羽ばたかせて宙に停滞し、鈴音と明を見下す。


「あぁーん? なんだよ、そのムカつく目はよぉ。オレ様の闇にさえ気付かない間抜けが悪りぃに決まってんだろぉ」

「ふざけんな! おまえのせいで、誰も結ばれなかったんだ!」

「いいじゃねぇかよー。オレ様さえ楽しければいいんだよ。この状況もたまんねー。あー、さっさと誰か死にやがれ。嘆き喚け、怒り狂え、憎しみ合えよぉ」

「この下種め……!」


 拳を強く握り締めている明はいますぐにでも相手に飛びかかりたいだろうが、彼はぎりぎりのところで自制している。彼もわかっているだろう。何をしても、勝ち目はないことを。


「さぁて、おまえみたいな黒髪が似合ういい女は前々から犯してみたかったんだよなぁ。あの御方とあの糞野郎の命令はもう聞かなくてもいいし。おい、オレ様のために奉仕――」

「てめぇかぁ!!」


 漆黒の風が吹き荒れ、青年が地面へと叩きつけられて土煙が舞う。相手を叩きつけた本人は鈴音と明の前に現れ、親し気に声をかけた。


「よっ、生きているか」


 鈴音にとっては異世界へと導いてくれた男性――。明にとってはかつてユグドラシルを襲った因縁――。


「生きておるよ」

「……ありがとう」


 鈴音は彼に感謝し、明はぶっきらぼうに礼を告げる。

 黒い鎧に身を包んだザックは短い髪を掻きながら二人に離れるように忠告すると、青年が倒れた場所から漆黒の雷が意思を持ったかのように放たれた。


「おーい、ヒガン。なんとかしてくれ」

「仕方ない奴じゃのう」


 鈴音たちに放たれた漆黒の雷は突如現れた老人により切り裂かれ、彼は白ひげを撫でながら自分たちのほうに近寄って、明に何かを差し出す。鈴音は老人が明に差し出した物を目にして、驚いた。

 いつもは飛び回っているはずのアイリスが横たわっていて、彼女は力なく明の肩に移る。彼女が探し求めていた増援を呼ぶまで体力と魔力をかなり消費していたのは一目瞭然で、鈴音と明はアイリスを労う。


「もっと下がれ。ワシの相棒は怒り狂う寸前じゃからの」


 警告する老人――ヒガンと共に後ろに下がっていくと、ザックと青年がお互いに同じ属性、しかし色が異なる雷を相殺し合う。


「ひゃはははっ。おいおい、あの御方によって〈闇の眷族〉になったオレ様と互角とか、前よりも弱くなってんじゃねぇの魔王」

「知るかよ。それより、てめぇは誰だよ」

「あん? 忘れたのかよ。オレ様は〈不死身〉のトローヴァだ。〈欠片〉の一人でもあること、忘れたのか。歳じゃねぇの?」


 鈴音の隣に立つ明は青年の正体に驚いていた。


「そんな……あの時、吉夫が倒したはずなのに」


 明の呟きに反応したのはヒガン。


「少年よ、あの〈欠片〉は特別な存在なんじゃよ。邪神が与えた二つ名は〈不死身〉で、本体から分身を生み出し、またそれが意思を持つのじゃ。厄介と思わぬか?」

「そうですね。じゃあ……どうして吉夫に〈雷の欠片〉を渡したんだ……?」

「ふぬ。いまザックと対峙しているのが本体とするならば、あやつは何かの拍子で〈雷の欠片〉を手放してしまい、そして分身がそれを手に入れ、ふさわしい人物が来るまで持っていたとも言えるの。どうやら、分身は本体と違う考えを持っていたらしいな。ぬ、そろそろ本気になる頃合いか」


 ヒガンはいつの間に手にしていた刀を掲げ、鈴音たちを守る結界が展開されていく。同時にザックとトローヴァの均衡がついに崩れた。

 漆黒の剣を手にしたザックは宙を飛び回るトローヴァの懐まで接近し、振り抜く。防御さえできずにトローヴァは大地に叩きつけられ、退屈そうにあくびをするザック。


「オレと互角? はっ、舐めんなよ。てめぇは〈欠片〉の中で最弱のくせになにほざいてんだ」


 土煙が舞う中、トローヴァが浮かび上がろうとしたのを目にしたザックが重力圧力(グラビティプレス)で押し潰す。相手が浮かび上がることさえなければ、このまま楽に勝てると鈴音がそう確信していたがザックの顔を見れば、彼は焦っているように見えた。


「ちっ……そう簡単に死んでくれねぇのかよ」


 轟音を響かせながら雷がトローヴァへと降り注ぎ、けれども相手は屈することなどなく、ザックの重力圧力(グラビティプレス)から抜け出すかのように少しずつ身体を起こす。


「ひゃっはは。やっぱりだ。おまえは前よりも弱くなっている! これならオレ様でも楽に勝てるなぁ。うひひ、あの御方におまえの首を献上してやらねぇとなぁ! まっ、顔を見せるついでだけど」


 トローヴァはザックの落雷をその身に浴びながらも、狂喜にまみれた目で嗤い――全身を光らせていく。


「この姿じゃあ勝ち目なんてねぇからよぉ、こうしてやるよ」


 光に包まれていく〈闇の眷族〉を前にしたザックは漆黒の剣を鞘に収めたのを目にしたヒガンは叱咤を飛ばす。


「何をしておるっ。奴が無防備なうちにさっさと潰せっ」

「なぁ、ヒガン。悪いが……この糞野郎の全力をオレがねじ伏せてやらないと気が済まないんだ」

「おぬし……好きにせい」


 鈴音と明を包む結界をさらに強化するのか、ヒガンは札を四方に飛ばす。


「なぁ、ザックの本気ってそんなに恐ろしいもんなんか?」

「当たり前じゃよ。こうして結界を強めなければ、余波でワシらは命を落としかねん」


 光に包まれたトローヴァの肉体は徐々に巨大化していき、やがて八頭の頭を持つ竜へと変化した。地下都市スビソルで三頭の頭を持つ竜と相手を巴と共に撃退した鈴音は、ザックがどのように勝つのか興味があった。

 地下都市で交えた三頭の竜は巴がいたからこそ、簡単に勝てた。正攻法があるならば、ここで知っておきたい。


『失せろっ』


 八つの声が同じ言葉を発し、水鉄砲を放つトローヴァ。ザックはそれを前にしても、回避する身振りも見せずに右目を魔力で輝かせ――彼に届く前にすべて蒸発した。彼の右目は紅玉ルビー色の瞳で、魔眼でもあると同時に魔剣を宿す。

 左目の紫水晶アメジストの瞳は彼がもともと持つ目。

 その右目に封じられている魔剣を取り出すためには目を抉らないといけない。彼は手をそこまで持っていくと、八つの口元に魔法陣を展開させる竜を前にして嘲る。

 彼は魔剣を握ることなどなく、ただ正面から竜人が竜となった時に放てるすべてを破壊し尽すドラゴンブレスを受けた。

 閃光。激しい地響き。

 ヒガンによって作られ、強化された結界の中にいてもその余波で壁がびりびりと震え、鈴音と明はザックがいた場所から目を逸らすことなく、この戦いを見守っていた。


「おいおい。マネた程度でオレを倒せると思ったら大間違いだ」


 土煙がなくなった先に悪魔の角と思わせるほど大きな角が二つ生えた兜が現れた。背中側に髑髏が浮かび上がったことで禍々しい魔力がザックを中心に渦を巻き、先程までなかった盾にも同じ模様がある。

 漆黒の剣は稲妻状の形をした刀身へと変化し、彼が軽く振るえば風圧が生じて鈴音たちを守る結界が軋む。

 ヒガンが咎めた。


「これ、ザック。手加減せんか」

「おお、悪い。久々に全力でやっているせいで、すっかり力加減忘れちまったよ」

「阿呆が。あれほど常に鍛錬せよ、と何度も申したはずじゃよ。――さっさと終わらせぬか」

「応」


 ザックが歩むと八つの首の竜は――トローヴァはドラゴンブレスが効かないとわかれば、その巨体でしかできない攻撃に出た。

 人を丸呑みできるほど口を開けて噛みつこうとすればザックは蹴り上げ、巻き付いて絞め殺そうとすれば剣で切り伏せ、尻尾で弾き飛ばそうとすれば髑髏が浮かび上がる盾によって衝撃を吸収してしまう。

 このままでは不利と感じたのか、トローヴァが再度光り輝き、今度は無数の足を持つクラーケンへと変化した。これもまた巨体で、クラーケンと化したトローヴァはその足を鋭く尖らせてザックを突き刺そうとする。

 が、彼が髑髏が描かれた盾を前にすればすべて弾かれてしまう。弾かれたのをザックの死角から牙を剝けるトローヴァであるが、これも同じ結果として終える。


「はっ、さすが〈欠片〉の中でまねだけは一流のトローヴァだ。だがな、技術が伴ってないと意味ないぜ?」

「〈闇の眷族〉を舐めるなっ」

「舐めてんのは、そっちだ。阿呆」


 ザックが剣を振り下ろす。

 たったその動作のみで生じた斬撃によって巨体のクラーケンを両断してしまい、それでも敵はまた変身してザックに挑もうと身体を輝かせる。


「はぁ……だから、オレとヒガンが戦った〈闇の眷族〉はこんなに弱くねぇっつんだろうが」


 剣を掲げれば落雷が降り注ぎ、姿を変えようとしたトローヴァは悶え苦しむ。まともに変身できずにトローヴァはもとの姿に変化し、憔悴している相手にザックは盾を向けた。


「あばよ」


 盾に描かれている髑髏の目が輝き、トローヴァの身体に不気味な模様が浮かび上がると足の先から腐敗していく。


「ほう。たとえ不死身であるトローヴァでも肉体と精神を同時に〈死〉を刻めば、回復どころか復活さえ封じるとやりおるの。さすがじゃ、相棒」


 もう危険がないと判断したヒガンが結界を解き、鈴音と明はかつて魔王と呼ばれた男により身体を崩壊させていく者の末路をただ見届けていた。


「くそっ。くそ、くそくそっ。なんでだ、なんで前よりも弱くなっている奴に負けちまうんだよっ!」


 悪態をつきながら、肉体の崩壊を阻止しようとしているトローヴァにザックは問いかけた。


「うるせぇよ。死ぬ前にさっさと答えろ。おまえが口にしていたあの御方はどうでもいいが、あの糞野郎ってどいつだ?」


 すると、さっきまで焦っていたはずのトローヴァは動くのをやめて、高らかに嗤う。


「ひゃっは。ひゃ、ひゃっはははは」

「何がおかしい?」

「だ、だってよ……ひゃっは。ひゃっははは、気付かないなんて、おまえはどんだけ鈍感なんだよ。ひははは」


 胴体まで肉体が崩壊しても、トローヴァはもう見向きさせせずにザックのことを見下す。


「オレ様はなぁ、あの御方の命令で動いたわけじゃねぇんだよ。あの糞野郎の指示に従ったのは、面白そうな結果が見れそうって思ってやったんだぉ。んで、結果はご覧のとぉりだ。封印されていても、よぉくわかったぜ。ま、このオレ様を解いた奴も相当の腕前だが」

「……ほぉ。そういうことか」


 思い当たることがあるのか、ザックは納得していた。鈴音はトローヴァが口にした糞野郎という人物について、前世の記憶を遡ってみれば――一人だけ思い当たる人物がいた。

 それを知った時に腹の底から怒りが沸き上がり、鈴音の表情を見たトローヴァは嗤う。


「そぉだ。そうだぜぇ。おまえのその顔が見たかったんだよ! そういう悔しそうな顔を死ぬ間際に見れるなんて――」

「黙りな」


 この怒りを鎮めるために鈴音は邪竜槍を投擲し、にんまりと嗤うトローヴァの頭部を穿つ。

 これを機に完全にトローヴァの肉体は崩壊し、鈴音たちがいる空間は樹々が並ぶ暗い森の中へと戻っていく。頭上には満月と星が暗い空によく映える。

 遠くで聞こえる喧騒も徐々に静まっていき、生き残ったことに喜ぶ声が聞こえた。

 投擲した邪竜槍を呼び戻し、それを仕舞った鈴音にザックが謝罪した。


「……オレのせいだ」

「気にせんでええよ。遅かれ早かれ、そうなっていたことやし。な、もしも時間があったらよっしーを徹底的に鍛え上げてくれへん?」

「そうだな。あいつはオレが見つけた唯一の魔王候補だし、それにいずれ剣を交えると誓ったからな」

「見つけたなんて嘘やろ。偶然見つけた、の間違いやないの?」

「そうだな、じゃあな。――行くぞ、ヒガン」


 ザックが装備していた兜、剣、盾はどこかに消えてしまい、ヒガンに声をかけると彼らの姿が眼前から掻き消える。恐らく転移を行ったのだろう。

 鈴音は明に問う。


「な、あっきー。フローラさんを迎えにいかんの?」

「行くつもりだよ。でも、鈴音も一緒に行かないか……?」

「ごめんな。ちぃと独りになりたいから」


 明は何も言わず去っていく。

 彼の肩にいたはずのアイリスはいつの間に鈴音のほうにいて、彼女は何も言わずにただ傍に寄り添う。


「ねえ、リンネ。アキラとフローラが合流したから、そろそろ行かないと二人が心配するよ?」

「二人きりの時間にしておいて、いちゃいちゃさせておけばええよ」

「疲れていてもいちゃいちゃできるって……人間って面白いね。いや、待ってよ、リンネ。戦いで昂った男女がナニをしちゃうことってあるの……?」

「んー……たぶんね。あ、そうだ。戻ったら、よっしーの世話でも焼いても文句言われんはず」

「でも、トモエがいるよ……?」

「二人ですれば、さすがのよっしーも文句言わん」


 雑談しつつ、鈴音はアイリスと共に集落へと戻っていく。

 集落へと戻れば、樹の上に建てられた家はいくつか潰れ、死傷者もかなりの数が出ていたが通りすがりの黒い鎧をまとった青年と老人が傷を塞ぐ広範囲の魔法を発動したことで、幸い命を落とした者はいないという。

 間違いなくザックとヒガンの二人である、とすぐに鈴音とアイリスは気付く。

 鈴音は吉夫の姿を探せば、巴に支えながら歩く彼の姿があった。あれからまた〈欠片〉を解放したのか、それとも戦闘に参加したのか前よりも顔色が悪い。

 アマリリスとレオの姿を見かけ、第三者が入り込めない雰囲気を醸し出すほど熱い二人はディーンの住む家のほうへと向かっているのを見た。どうやら今夜は「少々」騒がしくなりそうなので、アイリスに防音の魔法でも頼もうと鈴音は決めた。

 レナを探せば、彼女はディーンとルナティカと共に怪我人の手当てをしていた。歌で支援し続けた彼女は休んでも誰にも文句言われないはずなのに、こうして動いているのは少しでも誰かの役に立ちたいだろう。

 明とフローラに今夜は「少々」騒がしくなることを伝えておくと、彼女は真っ赤にしてしまい、彼は疑問を抱いていた。アイリスが具体的なことを言えば、二人は顔を見合わせてしまい、ここまで繋いできた手を放してしまうほど衝撃的だったらしい。

 巴は吉夫を抱えてディーンの家に向かい、宛がわれた部屋まで運ぶとそこには彼の同意人の明がいない。どうやら、彼は大胆にもフローラと添い寝してしまうらしい。

 巴は吉夫をベットの中心に置いて、そのまま彼女は彼の腕を抱えてしまう。負けずに鈴音も空いている腕を抱え、アイリスは眠そうにあくびをしながら防音をかける。

 先ほどから戦いで昂った二人が激しく愛し合う声が聞こえていたので、彼女たちは耳まで真っ赤にしながら愛しい人と共に眠りに落ちた。

 こうして、長い夜は終わりを迎えた――


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