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白銀の魔王は黒き剣と踊る  作者: Victor
死霊の森
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健闘を祈る

 ディーンとルナティカの家で夕食を食べ終えた頃にどこかに姿を消したアイリスが戻ってきて、ふわふわと宙に浮かびながら明の頭の上に止まる。どこか疲れている彼女に何があったのか、聞きたそうな顔をしていた明にアイリスはちょっとした散歩をしていただけと返した。

 ふあぁとあくびをかます小さな風の精霊王はテーブルの上にある汚れている複数の木皿を目にすると、食べれなかったことを悔やむのか、頬を膨らませた。


「大丈夫だよ、アイリス。まだ君の分は残っているから」

「それなら安心できるね。さっきまで激しい運動していたせいで、もうお腹ぺこぺこになっているからねー」


 タイミングがいいのか、悪いのか。ぐるるっと獣が唸るような音がアイリスのお腹から発せられ、それを聞いた俺と明は苦笑してしまう。

 二人の会話を聞いたルナティカは残っている夕食を持って来て、彼女に差し出すと――食べることを楽しみにしていたはずの笑みは引き攣ってしまい、本当にこれ? と訝し気に何度も瞬いで現実を直視できずにいるアイリス。

 そりゃ、そうだろう。揚げられた百足が串に突き刺さっているのを目にしたら、誰だってそうなる。他にも、いかにも毒が含まれているとしか思われない紫色のスープに動物の足が入っているがこれは意外とうまい。

 葉に包まれた蒸し焼きにされた幼虫とか、アマリリスをのぞく女性陣は食わず、俺と明、レオは勇気を振り絞って口にしてみれば柔らかな食感が広がる。まずくもなければ、うまくもない。けれども食べられる。調味料をかければ美味しい、と気を利かせてくれたルナティカが持って来てくれた赤い粉末をかけてみればピリッとした味を楽しめた。また異なる調味料をかければ、多少の苦味も味わえる。

 もちろん、普通に調理された食べ物もあったが俺たち男性陣は自らルナティカの怪しい料理を味わい、鈴音たちは最後まで口にすることはなかった。ただし、アマリリスだけはルナティカの料理を絶賛していたことを伝えておく。

 ちなみにアイリスにはまずいものだけは食べさせないために、あえて明がこの百足揚げを残していたのだ。


「うぅ……お腹空いているから、食べよ」


 引き攣った笑みのまま、百足揚げを一口かじるアイリス。ゆっくりと咀嚼して、それを味わったアイリスはまた一口かじって、美味しそうに味わう。頬を緩ませて食べる彼女はこれを気に入ったみたいだ。

 アイリスから視線を外して、中断していた巴との会話に戻る。俺と明、それといまここにいない恵美がアースに召喚されてからもう一か月以上経っている。長いようで短い期間だが、命を懸けたやり取りを何度も行い、こうして生きているのは奇跡だ。

 巴とは炎の国フォガレイムであまり話せなかったため、これまで会えなかった時間を埋めるために彼女に遭遇した出来事を伝えていく。

 巴の反対側に座る鈴音も会話に参加し、明とフローラも竜の里での出来事を教え、俺もフォガレイムで起きたことを詳しく語る。

 その間にディーンとレオは魔導具の種類と活用法について語り合い、明とフローラは話しながらもそっと手を重ねていた。アマリリスは疲れているということで、夕食を食べ終えたあとはすぐに宛がわれた部屋に向かい、寝ている。

 レナはルナティカから歌と楽器の組み合わせによってできることに関して意見を交わし合い、お互いに納得のいく答えを出し合い続けていた。

 途中で巴が眠そうにあくびを漏らし、アイリスも残っていた夕食を食べ終える頃には誰もが眠気を感じ始めていたのでお開きとなった。

 部屋に向かう前に鈴音に声をかけられる。


「なぁ、よっしー。うちと巴ちゃんが夜這いをかけてもええやろ?」

「おまえなぁ……」


 おかしなことを言い出す鈴音に呆れていれば、巴は彼女に同意して、何かを思い出してそれを口にしてしまう。


「あ。兄さんはほぼ毎晩自家発電しているから、どこかで抜かしてあげないと誰か襲われるかもしれないよね。ね、兄さん」

「襲わないからなっ。それと、なんでそんなことを知っているっ。あと毎晩もしているわけないだろう」

「ん。秘密」


 小さく微笑む巴は鈴音とともに逃げるように去っていく。この会話を聞いていた明は「僕は毎晩なんてできないのに……すごいな」と尊敬されてしまうことになったが、そうではない、と否定しておく。

 俺と明はくだらないことを語り合いながら、宛がわれた部屋に向かう。二階は図書館になっているから、階段を上るときはあまりの静けさに幽霊が出るかと思ったほどだ。

 三階の空いている部屋にはレナとフローラ、レオとアマリリスと別れて使うことになった。また巴と鈴音、アイリスが同室。俺と明は自然と一緒の部屋になる。

 部屋に着いてもなお、俺と明は男同士だからできることをしゃべり続け、ふと気になったことを相棒に問いかけた。


「なあ、明。この世界を救ったらフローラと結婚でもするつもりか?」

「うーん……そうだね」


 困ったように苦笑する明は寝癖みたいに跳ねる赤い髪をかき、考えがまとまったように紫色の瞳に強い意思を宿して口を開く。


「僕はまだ彼女のことを知らない。でも、時間をかけて彼女とともに歩んで……いつかは、そうしたいね」

「あっちの世界でいろんな女の子にフラグを立てながらも、結局は断り続けたおまえがはっきりとした答えを出すってことは……本気だな」

「うるさいな。そういうおまえはどうなんだよ? 世界を救ったら、最初にしたいことぐらい、一つや二つぐらいあるはずじゃないの?」

「一つ目は「あいつ」と幼馴染に会いに行きたいな。まあ、これはできればの話だけど」


 転校するきっかけとなったあの出来事を思い出す。「あいつ」の弟が言葉巧みに俺を騙し、それが嘘であることをわかっていながらも信じてしまい、最後は助けられた。

 弟の能力のせいで「あいつ」に裏切られた、ということを脳が認識したせいでいまだにまともに「あいつ」の顔さえ見れず、またそのおかげで人のことを信じることなんてできなかった。

 転校した後に出会った鈴音のおかげで何とかなっているけれど、まだ人を信じ切ることができない。

 けれど、「あいつ」は俺と前みたいに話したいと幼なじみが転校してから手紙で教えてくれたから、会わないといけない。いつまでも逃げてはいられないから、世界を救い終えたあとに出会って、アースでの出来事でも語ってやろう。


「そっか。……って、おまえ、幼なじみいたのか?」

「言わなかったからな。一人は男で、もう一人は女だよ」

「へー、じゃあそこで巴ちゃんと出会ったんだ」

「ああ。アイリスに話していないことなんだが……あそこは能力者や妖怪などあふれる場所だからな。到底信じられないかもしれないがあそこは一般人と能力者が入り混じっている地域だ。まるでマンガみたいだろ?」

「信じられないけれど……吉夫の言うこと、信じるよ」

「ありがとう。なあ、明。おまえにはまだ伝えていないことがあるからそれをいまここで話させてもらう」


 世間話をしていた俺の雰囲気が変わったことを察した明は、首を縦に振っていいよと促してくれたので話すことにした。俺が魔王にふさわしいとザックが言っていたこと、本当の御伽噺のことの二つを。

 前者についてはまだ明確なことなどわかっていないが、後者についてはさすがに明も驚いたみたいだ。

 そのことを話し終えてから明はそうか、と納得したようにぼやく。

 きっとハーゼルのことなんだろうな。俺もなんとなくだが、あいつがしたいことに薄々気付いてきている。確証はないがそのことについてはっきりと言えない。


「ところで吉夫。おまえは鈴音とメグさんのどっちが好きなんだい?」


 明からこんなことを言われるなんて想像してもおらず、彼に答えることができずにいた。俺はあの二人の内どっちが好きなのか、自分自身でさえはっきりとしていない。

 情けない話だ。二人に想いを寄せられているのに、どっちも決めていないなんてへたれだな。


「俺ってどうしようもない奴だよな」


 自嘲するようにぼやく俺に明は肯定し、あの二人のことを考える。

 恵美はいつも傍にいて、俺と共に歩みたいから強くなるためにこっそりと修行し、たまに向日葵のような笑みを向けてくれる。彼女を守ると約束したせいか、恵美のことになると必死になってしまう。彼女の傍は心地よく、楽しい。

 鈴音は好きなように振る舞って俺を困らせるくせに、そのひと時だけは楽しくてしょうがない。槍術と体術を俺に教え、時間が空いているときには付き合ってくれた鈴音。彼女には腹を割って本音で話し合え、お互いに嘘をつくことなく語れる。

 必ず一人は報われ、もう一人は悲しむことになり……。どちらかをはっきりと決めることができない自分に対して悪態をついた。


「吉夫、いまは迷っていてもいいからさ。いつかは誰かを選ぶから、後悔のないようにしてくれ」

「明のくせに偉そうに言うな、この野郎」

「褒め言葉として受け取っておくよ。じゃあ、僕はそろそろ寝るよ」

「ああ、おやすみ」


 助言をくれた明は自分のベットに横になって、規則正しい寝息を立てる。俺もそろそろ寝るか。まだ体調がよくなっていないのに、無理してここまで来ているから相当、身体に負担がかかっている。

 一週間後までには戦えるまで回復しないとな。


「……待っていろ、恵美。絶対におまえを取り戻す」


 彼女を迎えに行くと約束した俺は恵美のことを考え、眠りについた。





 死霊の森の奥にある村に夜が訪れ、雲一つない夜空には星と満月が輝いている。住人たちは樹の上に建てられている家の窓、家同士を繋ぐ橋から地上で激しい剣戟を奏でる三人を興味深そうに眺めている。

 地上には俺、鈴音、巴、レナとフローラ、ルナティカとアマリリス。激しい剣戟を奏で続け、火花を散らす明、ディーンとレオがいた。夜空に浮かぶ満月を見上げながらここで過ごしたことを思い返す。

 一週間という時間はあっという間に過ぎた。この一週間の間、俺と明はそれぞれできる限りのことをした。

 踊ることが好きなルナティカと俺はひたすら舞い、武器を交えながら教えられた。俺が舞えるのは戦いの中のみ。それは前世のヨシュアが戦いの中でそうして相手を制してきたからでもある。

 だから、前世のヨシュアの舞いではなく、俺自身のためにルナティカに稽古をつけてもらった。

 また明はこの集落にいる強者たちと手合せをひたすら行い、剣の腕を磨き続けながらも相手の技を盗むことをしていた。そのおかげで集落の人々からは明は強者であることを認められ、男性からは尊敬され、女性からは憧れの眼差しを注がれたりして、フローラはよく妬いていて、その度にあいつはなだめるのに必死だったな。

 レオやディーンと剣を交えながらも、お互いにどこが悪いのか指摘して動き回る明の姿はすごいの一言に尽きる。いまも戦いを控えているにも関わらず、剣を振るい続ける明は……タフよりも熱血かもしれない。


「ただいまー」


 ふわふわと宙に浮かぶアイリスは俺の肩に止まり、おかえりと返してこの辺で採れる果実を渡した。かりかりと小動物みたいに食べるアイリスはある程度食べると頼んでいたことの報告をしてくれた。

 

「あの二人はちゃんといたよ。ヨシオとアキラが来るのを待ちわびているみたいだから、さっさと行ってあげたらどうかな?」


 満月の夜に姿を現すあの二人の姿を確認するために。


「わかった、ありがとうアイリス」

「どういたしましてー」


 彼女にもう一個の果実を渡しながら、明に声をかけた。あいつは今日がどんな日なのか理解していたので、自分を中心に展開される緑色の帯――風の衣で同時に斬りかかってきた二人の武器をやんわりと受け止める。


「まだこんなことできたのか……」

「手を抜いていたのか、兄ちゃん」


 驚愕の表情を浮かべるディーンと呆れるレオに、明は手合わせだからね、と穏やかな笑みをしながら風の衣に受け止められている二人を飛ばす。二人とも明から離れた場所に着地し、剣を鞘に収める。

 明も納刀したのを見計らい、近づく。不安そうに見つめるフローラの視線を感じているはずの明に何かを言わせておかないと、相手も安心して見送れない。


「ほら、なんか言ってこいよ。あんな目をさせているあいつに、悪いと思わないのか」


 相棒を小突いて、さっさと行けと促すと明にしては珍しく口ごもる。


「そうだね。でも……」

「どうした?」

「何言えばいいかな……?」


 フローラに挨拶することなく、戦場に赴こうとしていた明は俺の言葉に困り、眉をしかめていた。こいつにあえて何も言わず、突き放すように強めに背中を押してフローラのもとに足を動かせる。

 彼女のもとに向かい、あいつはただ一言だけ紡いだ。


「――行ってくるよ、フローラさん」

「うぬ」


 そして、フローラの額に口付けを落として、恥ずかしそうに頬を赤らめる彼女を見つめる明はそれに満足したのか、また告げる。


「今度、デートするときに手を繋いで、一緒に歩こうよフローラさん」

「ふんっ。それはか、勝ってからの、ご、ご褒美じゃ、阿呆っ」


 うろたえるフローラに明は口元に笑みを浮かべ、俺のほうに目を向けた。紫色の瞳には、おまえも済ませてこいよ、と語られている。

 俺は鈴音と巴のほうに振り向いて、彼女たちに勝ってくる、と短く伝えて――


「よ、よっしー、恥ずかしんやけど」

「お、お兄ちゃんのば、ばかっ」


 抱擁を交わすと彼女たちは恥ずかしそうに頬をうっすらと赤くさせて、巴には安心させるために頭を撫でて、鈴音にも同じことをしておこうとすればはたかれる。

 さすがに人前で抱擁された上に頭を撫でられたら、羞恥を抱かせてしまうことに気付いて、二人に謝罪しようとした矢先に頬に熱い感触を感じた。それも、二カ所。

 鈴音と巴に、口付けをされていたことに気付くのに少しだけ時間がかかった。


「お返しや、よっしーっ」

「お兄ちゃん、いってらっしゃい」


 その言葉を受けて、俺は彼女たちに背を向けて歩き出す。もう言葉はいらない。あとはさっさと「彼」との決着をつけて、無事に帰って来てから、彼女たちにただいま、と伝えればいい。

 明も俺と同じ気持ちだろう。

 先に集落の入り口で俺を待っていた明と合流し、お互いの決意を口にする。


「勝つぞ、明」

「ああ、絶対に勝とうよ、吉夫」


 明が拳を突き出す。倣うように拳を突き出し、それを合わせてから俺たちはそれぞれの敵がいる場所へと歩み出す。

 俺たちが拳を突き出したのは、最後の一言はいらないと判断したからだ。

 ――健闘を祈る、と。

 


   ♢   ♢   ♢   ♢



 死霊の森のとある樹の上にて。

 高みの見物するかのように、太い樹の枝に座る短髪の男性は魔の国でしか採れないワインをグラスに注ぐ。ほどよく熟したワインは透明なグラスの中で紫色に染まっていき、夜空に浮かぶ満月の光を浴びさせるように高く掲げてから、一口味わう。

 今日は雲一つなく、夜空には地上からでも夜空を美しく見上げられるほど。このような日は滅多にない。満月は主役のように世界を照らし、周りの星々は惹き立てるように輝く。

 グラスに映るのは、右目が紅玉ルビー。左目が紫水晶アメジストの異なる両眼を持つ者――魔王ザック。

 ザックは用意していたもう一つのグラスにワインを注ぎ、樹の枝の上に置くと――まるで最初からそこにいたように座る老人が手に取って、味わうように一口だけ口に含む。

 前触れもなく姿を現す|老人(相棒)に驚くことなどなく、彼の姿を視界に収める。老体とは思えぬほど背筋を伸ばし、威厳を醸し出すために生やした見事な白ひげ。

 前までは彼がこうして前触れもなく姿を現すことで驚いていたけれども、すっかり慣れてしまったザックは苦笑してしまう。毎回のことながら、どこかで視ている、と疑うほどの正確なタイミングで来てくれる彼に声をかける。


「おいおい、ヒガン。まさかよ、オレがワインを取り出すまでずっと待っていたわけじゃねぇよな?」

「戯け。少々、邪魔が入ったものでそちらの対応をしておっただけじゃよ。あと、おぬしの姿をここで探し当てろというのは、いささか無理があると思わぬか」

「そこは気合でなんとかしろよ。ほら、昔のおまえなんて気合さえあればなんでもできるとか、ほざいていたじゃないか」

「昔のことを思い出させるな、ザック。あの頃のワシは青かっただけじゃ」


 過去の自分を思い出したのか、恥ずかしそうに頬をかくヒガンにザックは笑みを浮かべた。

 彼らは軽口を叩きながら、お互いに選んだ者たちの背中を追い求める。吉夫が向かうのは、ヨシュアのもと。明が向かうのは、ガウスのもと。

 ヨシュアとガウスが死してもなお現世で縛られているのは、大切な人を喪った悲しみと彼女たちを助けることができなかった自分に絶望し、闇堕ちしてしまったから。

 だが、千年経ってもなおなぜヨシュアとガウスが闇堕ちしたのか、ザックとヒガンは腑に落ちない。


「のう、ザック。あの二人がどうして闇堕ちしたのか、いまだに納得できておらぬ」

「だな。闇堕ちの条件は――負の感情が最頂点に達したとき、だ。いまはすっかり闇堕ちする奴が減っちまったが、それでも扱いこなす連中がいるから厄介なもんだ。ああ、そういえばヒガン、どうやら闇堕ちさせる条件とか他にもあったぜ」

「……ほう。詳しいことを聞かせてくれぬか」


 隣に座るヒガンから闘気が発せられ、いまにも爆発してしまいそうなそれを抑えるのを肌で感じていくザック。


「最近気付いたことだが、オレもよくわかってねぇんだよ。悪いな」

「そうか」


 ヒガンはそれ以上追及することなく、視線を明の背中に向けて追いかけ続けていく。


「くそったれっ……!」


 あの頃のことを思い出すだけで、ザックの腸が煮えくり返る。ぎりっと歯を食いしばるザックは闇堕ちしてしまったリーンを救う方法があったのに、間に合わなかった。

 わずかに漏れた魔力により持ってきたワインのボトルに罅が生じてしまうが、ヒガンの言葉を聞いて怒りを収める。


「そろそろ始まるようじゃな」

「ああ」


 自分が魔王にふさわしいと選んだ少年――吉夫と闇に囚われてしまった最愛の息子ヨシュアの戦いを眺める。

 またヒガンも「疾風」の二つ名を持つ勇者明と、口が悪いが根がすなおのガウスの戦いが始まるのを目にしていた。

 お互いに最愛の息子の姿を目に焼き付けながら――彼らは剣を交えた。


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