資産家独居老人の道楽
深夜2時すっかりと寝静まったころにカチャリと音がした。ピッキングで3人の強盗が室内に忍び込む。
3人はあらかじめ決めてあった手はず通りに動く。
1人は金庫のある部屋2人は住人の男性を襲いに行く。
全員暗視スコープをつけていた。
1人が仏間の中で大きな金庫を見つけた。情報通り難易度の高い金庫だった。
予定では残りの2人が住人の男性をここへ連れてきて、金庫の開け方を聞き出す予定だった。
2人の男は寝室を探す。この家は年寄り一人暮らしには大きすぎるのだ。
住人は剛田甚左衛門78歳。
この辺りの地主で付近には多くの不動産を持つ資産家だ。だが高齢になり、ほとんど外を出歩くことも無く趣味といえば美術刀剣のコレクションをするくらいらしい。
これらの情報は情報屋が出入りしている銀行員や保険の外交から極秘に入手したものだった。
世も末である。
2人は手当たり次第にそっと部屋の扉を開け続け、とうとう残り1部屋になった。
ドアのノブにそっと手をかけてドアを開ける。
突然部屋の電気がついた。
暗視スコープを付けていた2人はあまりの眩しさに、身をたじろがせた。
刹那、最初に入った男の首から刀剣が飛び出して来た。
残りの1人が暗視スコープを外し手に持った拳銃で住人の剛田甚左衛門に狙いをつけ銃弾を発射する。
ギャイン!という音と共に刀剣のひとふりで銃弾は2つに切られ左右の壁に穴をあける。
「ひっ!」
拳銃を発射した男が驚愕と恐怖の声をあげる。
先に首を刺された男の身体に剛田が身を隠す。
そして目の前の仲間の身体から刀身が飛び出して来て、あっという間に自分の心臓を貫いていた。
男の意識はそこで途切れるのであった。
剛田甚左衛門は全身に返り血を浴びながら、1階の仏間を目指す。金庫の前には金庫に聴診器をあてている男がいた。
「おい、銃の音がしたけど殺しちゃいないだろうな?」
一閃刀が振られる。
「あれ??」
金庫の前の男は不思議そうな声をあげた。そして頭蓋が右上からズレていき左下にボトリと落ちた。
「もう気配はないな」
剛田甚左衛門はそう呟くと救急車と警察に電話をした。
警察の担当者はあきれた声でこう言った。
「剛田さん、今月これで何件目だと思ってるんですか?そろそろ引っ越した方が良いですよ!何はともあれすぐに向かいます!」
剛田甚左衛門は懐紙で刀剣についた血を拭い刃毀れがないか確認する。
「ほう、どこにも刃毀れがないな。さすが名刀だ。次はどれを試し斬りにつかうか…。よしあれにしよう」
そうつぶやいている間にもサイレンの音が近づいて来ていた。




