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追放された最強賢者、自分だけ使える『家事魔法』で異世界最強のメイド喫茶を開いたら、なぜか伝説のドラゴンが常連になりました  作者: 無響室の告白


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第1話 『家事魔法』は掃除だけじゃないんです

「ルクス、お前はクビだ。今日限りでパーティーから出ていってくれ」


王都の酒場で、勇者アレクの声が冷たく響いた。


周囲の冒険者たちがざわめく中、僕は持っていた紅茶のカップを静かにソーサーに置く。


「理由を伺っても?」


「決まっているだろう! お前のスキル『家事魔法』が役に立たないからだ! 俺たちは魔王を倒す最強のパーティーだぞ? 『洗濯』や『料理』しかできない奴に構っている暇はないんだよ!」


アレクはテーブルを叩き、僕を指差した。


彼の後ろでは、賢者や聖女といった他の仲間たちも気まずそうに目を逸らしている。


「攻撃魔法の一つも使えない賢者なんて、ただの荷物持ち以下だ。さっさと出ていけ!」


「……そうですか。分かりました」


僕は深く頭を下げ、席を立った。


怒り? いや、そんな感情はない。


むしろ胸の奥から湧き上がってくるのは――歓喜だった。


(やった……! これでやっと、夢が叶えられる!)


僕はずっとこの時を待っていたのだ。


勇者パーティーという激務から解放され、自分の店を持つこの時を。


数週間後。


僕は魔境に隣接する『辺境都市シルヴァ』にいた。


ここは強力なモンスターが徘徊する危険地帯だが、土地代が安いのが魅力だ。


僕は全財産をはたいて、街外れにある廃墟のような洋館を購入した。


「ふふ、ここが僕の城……メイド喫茶『サンクチュアリ』になる場所ですね」


目の前の建物はツタに覆われ、窓ガラスは割れ、幽霊が出そうな雰囲気を漂わせている。


だが、僕には『家事魔法』がある。


「さて、まずは大掃除といきましょうか。汚れ(モンスター)も住み着いているようですし」


僕は懐から愛用の杖……ではなく、ミスリル製のフライパンを取り出し、軽く振った。


「しつこい油汚れにはこれです。『超高圧洗浄ハイドロ・ブラスト』」


ドォォォォォン!!


僕の指先から放たれた極細の水流は、レーザービームのごとく洋館を貫通し、絡みついたツタを一瞬で消滅させた。


その余波は建物の裏手に広がっていた森まで突き抜け、潜んでいた魔物ごと木々をなぎ倒し、地平線の彼方まで更地にしてしまった。


「ふぅ、綺麗になりました。水圧調整が少し難しかったですね」


ピカピカになった外壁に満足していると、近くの茂みから


「にゃあぁぁぁッ!」


という悲鳴が聞こえた。


見れば、猫の耳と尻尾を持つ少女が、巨大な『赤熊レッドベア』に襲われている。


「おや、またゴミ(モンスター)ですか。


開店前の店先で暴れるなんてマナー違反ですね」


僕は瞬時に間合いを詰めると、赤熊の前に立ちはだかった。


「グルルァァァ!」


赤熊が巨大な爪を振り下ろす。


しかし、僕はそれをフライパンで


「カァン!」


と軽快に弾き返した。


「お客様、当店はまだ準備中です。……それに、あなたは少し汚れていますね」


赤熊の剛毛には泥と血がこびりついている。


実に不潔だ。


漂白ホワイトニング)


眩い光が迸る。


それは対象の汚れを落とす魔法――だが、僕レベルになると


「対象の存在そのものを世界からシミとして消し去る」


概念干渉に至る。


光が収まると、そこには塵一つ残っていなかった。


「……え?」


腰を抜かしていた猫耳の少女が、ぽかんと口を開けて僕を見上げている。


「怪我はありませんか? 随分お腹が空いているようですね」


「あ、あの……今、クマさんを……?」


「ただの掃除ですよ。それより、オムライスでもいかがですか? ちょうど試作をしようと思っていたんです」


こうして、僕のメイド喫茶計画は、最初の一人(メイド候補)との出会いによって大きく動き出すのだった。



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【登場人物】

- ルクス・アークライト: 主人公 / メイド喫茶店長(予定) / 元賢者


- アレク: 勇者 / ルクスを追放した張本人


- ミナ: 猫人族の少女 / 最初のメイド候補


【場所】

- 辺境都市シルヴァ: 魔境に隣接する危険な街。ルクスが店を開く場所。


- メイド喫茶『サンクチュアリ』: ルクスが購入した洋館。現在は改装中(大掃除直後)。


【アイテム・用語】

- 家事魔法: ルクスのスキル。一般的には生活魔法だが、ルクスにかかれば戦略級魔法となる。


- ミスリル製のフライパン: ルクスの調理器具兼武器。ドラゴンのブレスも防ぐ強度を持つ。


- 赤熊レッドベア: ミナを襲っていたモンスター。ルクスの『漂白』で消滅した。

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