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マナに選ばれし落ちこぼれ 〜古代魔法を継ぐ者〜 (マナ落ち)  作者: たくわん。
第二章「予選大会編」

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第1話:開幕!学園内大会

第1話:開幕!学園内大会

 

二週間の地獄の特訓が終わった夜。

 炎と汗にまみれた日々の中で、俺はようやく“火”の意味を掴みかけていた。

——燃えるのは、敵じゃない。自分の弱さだ。

 

俺たちFクラスは、クラスルームに集まっていた。

明日から始まる学園内予選大会。その組み合わせ抽選会が、今夜行われるからだ。

「緊張するな……」

トムが小さく呟く。

「大丈夫だって!俺たち、めちゃくちゃ強くなっただろ?」

マルクが明るく笑うが、その声には少し震えが混じっている。

二週間前とは比べ物にならないくらい、俺たちは成長した。

カイルは火の魔法スクロールを習得し、マルクは土の防御魔法を、エマは中級回復魔法を手に入れた。

トムは盾術をさらに磨き上げ、リサは戦術眼を鋭くした。

ヒナタは水と光の複合魔法に目覚めつつある。

そして俺は——

「アレン」

ヒナタが心配そうに俺を見つめる。

「大丈夫? イグニスとの訓練、かなり無理してたよね……」

その優しい声に、胸が温かくなる。

ヒナタは、いつもそうだ。誰よりも先に、俺の疲れや痛みに気づいてくれる。

「ああ、平気だ」

俺は笑って見せた。

「それに、ヒナタがいれば大丈夫だろ? お前の回復魔法、めちゃくちゃ上達したじゃないか」

「そ、そうかな……」

ヒナタが頬を赤らめる。

「でも、まだまだだよ。エマちゃんの方が回復量は上だし……」

「そんなことない」

俺は首を振る。

「ヒナタの魔法は、温かいんだ。傷が治るだけじゃなくて、心まで癒される気がする」

「アレン……」

ヒナタの目が、潤む。

「ありがとう。私……アレンのために、もっと強くなりたい。アレンが戦う時、絶対に守れるように」

「俺も同じだよ」

俺はヒナタの手を握った。

「ヒナタを、みんなを、絶対に守る」

その時——

教室のドアが開いた。

「おいおい、いい雰囲気のとこ悪いな」

ディルク先生が、ニヤニヤしながら入ってくる。その手には、大きな紙の束。

「うわ、先生!」

ヒナタが慌てて手を離す。

「さて、お前たち。覚悟はできてるか?」

「はい!」

全員が声を揃える。

ディルク先生が、ニヤリと笑った。

「よし。じゃあ、組み合わせを発表する」

ディルク先生が、大きな紙を壁に貼り付ける。

そこには、学園内予選大会のトーナメント表が描かれていた。

全6クラス。

各クラスから5名ずつの代表チームが出場する。

Aクラス代表:

•レン・アルディス(隊長)

•シエラ・フロスト(副隊長)

•ユーリ・ブレイズ

•カリン・ウィンド

•ダリウス・ロック

Bクラス代表:

•ガルス・アイアン(隊長)

•アリス・シャドウ(副隊長)

•その他3名

Cクラス代表:

•マリア・グリーン(隊長)

•ジェイク・アース(副隊長)

•リック・フレイム

•ニーナ・ウェーブ

•ケン・ウィンド

Dクラス代表:

•ロイ・サンド(隊長)

•その他4名

Eクラス代表:

•リタ・ストーム(隊長)

•その他4名

Fクラス代表:

•アレン・アルカディア(隊長)

•ヒナタ・ルミエール(副隊長)

•カイル・アッシュ

•マルク・ストーン

•トム・ウッド

「……おい、これ」

カイルが声を震わせる。

「初戦、Cクラスじゃねえか!」

トーナメント表を見ると、俺たちの初戦の相手は——

Cクラス。

300名の中から選ばれた精鋭5名。

決して弱くはない。

「Cクラスか……」

リサが冷静に分析する。

「隊長のマリア・グリーンは、風と水の複合魔法使い。E級スクロールを3つ習得してる。副隊長のジェイクは土属性の防御特化型。残り3名も、全員F級スクロール以上を習得してる」

「……強いじゃん」

エマが不安そうに呟く。

「でも、俺たちだって強くなった!」

マルクが拳を握る。

「二週間、必死に頑張ったんだ。負けるわけにはいかない!」

「そうだ」

俺も頷く。

「俺たちは、Aクラスを倒すために戦う。Cクラスはその通過点だ」

「アレンの言う通りだよ」

ヒナタが、明るく笑う。

「私たち、この二週間で本当に強くなった。Fクラスだからって、諦める必要なんてない!」

ヒナタの言葉に、全員の顔が明るくなる。

ヒナタは、いつもそうだ。

俺たちが不安になった時、前を向かせてくれる。

太陽のような笑顔で、希望を灯してくれる。

だから、俺は——

「ヒナタ、副隊長として、作戦会議を手伝ってくれ」

「え? 私が?」

ヒナタが驚く。

「ああ。お前は、みんなのことをよく見てる。誰が疲れてるか、誰が不安か、いつも気づいてくれる」

俺はヒナタを見つめる。

「だから、お前の意見が聞きたいんだ」

「アレン……」

ヒナタの目が、また潤む。

「うん! 頑張る!」

全員の顔が、引き締まる。

ディルク先生が、俺たちを見て笑った。

「いい目をしてる。じゃあ、作戦会議といこうか」

ディルク先生が、教卓に地図を広げる。

「大会は、学園の地下にある『試合場アリーナ・ドーム』で行われる。観客席もあるから、全校生徒が見に来るぞ」

「全校生徒……」

トムが顔を青くする。

「大丈夫、トム。私がついてる」

ヒナタが、トムの肩に手を置く。

「トムは、この二週間で一番成長したんだよ。自信持って」

「ヒナタ……」

トムの目に、力が戻る。

「試合形式は、5対5のチーム戦。フィールドは直径50メートルの円形。制限時間は30分」

ディルク先生が説明を続ける。

「勝利条件は3つ。①相手チーム全員を戦闘不能にする。②相手隊長を戦闘不能にする。③制限時間終了時、より多くのメンバーが立っている方」

「つまり、隊長を狙うのが最速ってことか」

カイルが呟く。

「ああ。だが、隊長は当然、最も守られる。簡単じゃない」

リサが冷静に返す。

「Cクラスの戦術は、おそらく『持久戦』」

リサが分析を始める。

「隊長のマリアは後衛。副隊長のジェイクが前衛で壁を作り、残り3名が中衛でマリアを守る。マリアの複合魔法で、じわじわと削ってくる戦法だ」

「じゃあ、私たちは?」

ヒナタが尋ねる。

「速攻だ」

俺が答える。

「トムとマルクが前衛で敵の注意を引く。その隙に、俺とカイルが側面から回り込んで、マリアを狙う。ヒナタは後方で回復と支援」

「待って」

ヒナタが手を挙げる。

「それだと、アレンが危険すぎる。敵の集中攻撃を受けたら……」

「大丈夫」

俺は笑った。

「でも——」

ヒナタが不安そうな顔をする。

俺は、ヒナタの手を握った。

「ヒナタ、信じてくれ。俺は、もう弱くない」

「……うん」

ヒナタが、強く頷く。

「わかった。じゃあ、私も作戦を提案していい?」

「もちろん」

ヒナタが、地図を指差す。

「アレンとカイルが側面から回り込む時、私が水の壁で視界を遮る。そうすれば、敵が気づくのが遅れる」

「それ、いいな!」

マルクが目を輝かせる。

「さらに、私が光の閃光を使って、敵の目を眩ませる。その瞬間に、アレンが突入する」

ヒナタの提案に、全員が頷く。

「ヒナタ、お前……」

俺が驚くと、ヒナタが笑った。

「私だって、戦えるんだよ。アレンを守るために、強くなったんだから」

その言葉に、胸が熱くなる。

「よし、作戦決定だ!」

マルクが拳を突き上げる。

「明日、絶対に勝つぞ!」

「おう!」

全員の声が、教室に響き渡った。

翌朝。

学園の地下『試合場アリーナ・ドーム』は、熱気に包まれていた。

全校生徒、約1500名が観客席を埋め尽くしている。

「うわ……すごい人……」

トムが震えている。

「大丈夫、トム」

ヒナタが、トムの手を握る。

「私たち、一緒に戦うんだよ。一人じゃない」

「ヒナタ……」

トムが、少し落ち着く。

フィールドの中央には、6クラスの代表チームが整列していた。

俺たちFクラスは、最も端。

隣には、Eクラス。

そして、中央には——

「……レン」

俺の視線の先に、幼馴染の姿。

レン・アルディスは、Aクラスの隊長として、堂々と立っていた。

その隣には、副隊長のシエラ・フロスト。氷の魔法使いで、冷たい美貌を持つ少女だ。

「アレン」

レンが、こちらを見た。

その目には、複雑な感情が宿っている。

「……お前、強くなったな」

「ああ」

俺は頷く。

「お前を倒すために、必死に頑張った」

「そうか」

レンが、小さく笑う。

「なら、決勝で会おう。そこで、決着をつける」

「ああ、約束だ」

俺たちは、拳を合わせた。

 炎が散ったように見えたのは、気のせいじゃない。

——あの日、交わした約束が、再び燃え始めた。

 

その時——

「静粛に!」

壇上から、校長シリウス・グランベルの声が響く。

全校生徒が、一斉に静まり返る。

「諸君、よく集まった」

校長の声は、威厳に満ちている。

「本日より、学園内予選大会を開催する。この大会は、諸君の成長を測る場であり、未来の冒険者としての資質を見極める場だ」

校長の視線が、全チームを見渡す。

「勝利を目指せ。だが、それ以上に大切なことを忘れるな」

「仲間を信じること。己を信じること。そして——」

校長の目が、一瞬、俺に向けられた気がした。

「運命に立ち向かう勇気を持つこと」

その言葉が、胸に響く。

 まるで——何かを知っているかのように。

 

「それでは——開会を宣言する!」

校長の杖が、宙を叩く。

その瞬間——

フィールド全体が、光に包まれた。

「うおおおお!」

観客席から、歓声が上がる。

大会が、始まった。

第一試合は、Fクラス vs Cクラス。

俺たちは、控室で最後の準備をしていた。

「みんな、聞いて」

ヒナタが、全員を集める。

「私たち、ここまで来たんだよ。誰にも期待されてなかった、落ちこぼれのFクラスが」

ヒナタの声は、優しくて、でも強い。

「でも、私たちには仲間がいる。信じ合える絆がある」

「トムは、誰よりも粘り強い。マルクは、どんな時も笑顔でいてくれる。カイルは、熱い心で引っ張ってくれる」

「そして、アレンは——」

ヒナタが、俺を見る。

「私たちに、希望をくれた」

その言葉に、胸が熱くなる。

「だから、勝とう。みんなで、一緒に!」

「おう!」

全員が、笑顔になる。

その時——

「Fクラス、入場準備!」

アナウンスが響く。

「行くぞ!」

俺が声をかけると、全員が頷いた。

トムは盾を構え、マルクは戦斧を握る。

カイルは魔導グローブを嵌め、ヒナタは短杖を手に取る。

そして俺は、短剣を腰に差した。

「俺たちは、落ちこぼれだ」

俺が言う。

「誰も期待してない。誰も信じてない」

「でも——」

俺は、ヒナタを見る。

ヒナタが、笑顔で頷く。

「俺たちには、仲間がいる。信じ合える絆がある」

「だから、勝つ」

その言葉に、全員が笑顔を見せた。

「絶対に!」

声を揃えて、俺たちは入場口へ向かう。

扉が開く。

轟音のような歓声が、耳を打つ。

「さあ、第一試合!Fクラス代表 vs Cクラス代表!」

実況の声が、アリーナに響き渡る。

「Fクラスは、史上最弱と言われるチーム!果たして、Cクラスに勝てるのか!?」

「期待してねえな、実況」

カイルが苦笑する。

「いいさ。驚かせてやろうぜ」

マルクが笑う。

フィールドの反対側から、Cクラスが入場してくる。

隊長のマリア・グリーン。長い金髪を風になびかせ、冷静な眼差しでこちらを見ている。

副隊長のジェイク・アース。巨漢の青年で、大盾を持っている。

残り3名も、全員が油断のならない雰囲気を纏っている。

「Fクラス、か」

マリアが、こちらを見て微笑む。

「悪いけど、私たちの目標はAクラス。あなたたちに構ってる暇はないの」

「そうか」

俺は短剣を抜く。

「なら、全力で来い。俺たちも、全力で迎え撃つ」

マリアの表情が、僅かに変わる。

「……面白い。じゃあ、本気でいくわ」

審判が、中央に立つ。

「両チーム、準備はいいか!」

「はい!」

双方が答える。

審判の手が、上がる。

「それでは——」

時間が、止まったように感じる。

俺の心臓が、激しく鳴る。

『落ち着け、アレン』

イグニスの声。

『お前は、一人じゃない』

「ああ」

 『火は、闘志そのものだ。恐れるな、燃やせ。迷う心も、弱さも全部燃やせ。』

イグニスの声が、胸の奥で再び響いた。

——そうだ、俺はもう逃げない。

俺は、ヒナタを見る。

ヒナタが、こちらを見て笑顔で頷いている。

その笑顔が、俺に力をくれる。

「試合、開始!!」

審判の声が、轟いた――!

次回予告:

第一試合、Fクラス vs Cクラス!

マリアの複合魔法が、容赦なく襲いかかる。

ジェイクの鉄壁の守りが、立ちはだかる。

「Fクラスなんて、すぐに終わるわ」

だが、Fクラスは――

もう、あの頃の落ちこぼれではない。

ヒナタの水と光の複合魔法が、戦場を支配する!

アレンとイグニスの連携が、火を噴く!

「見せてやる、僕たちの絆を!」

Cクラスを驚愕させる、逆転劇が始まる――!

 

第二章「予選大会編」第2話「Cクラスとの激突」、次回更新!

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