第4話:絆の証明
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暗い空間——
アレンは、一人で立っていた。
「……ここは」
アレンが呟いた。
周囲は——何も見えない。
ただ、暗闇だけが広がっている。
「ヒナタ! レン!」
アレンは、叫んだ。
だが——返事はない。
「……くそ」
アレンは、拳を握りしめた。
(仲間を信じる試練……)
(一体、何が起こるんだ?)
その瞬間——
前方に、光が現れた。
光が、人の形を作っていく。
やがて——
ヒナタの姿が、現れた。
「……ヒナタ?」
アレンが呟いた。
「アレン……」
ヒナタは、苦しそうな表情で告げた。
「助けて……」
「……!」
アレンが駆け出した。
「ヒナタ! 大丈夫か!?」
だが——
ヒナタに触れようとした瞬間、彼女の姿が消えた。
「……!」
アレンは、立ち止まった。
「幻影……」
次の瞬間——
今度は、レンの姿が現れた。
「アレン……」
レンは、傷だらけの姿で立っていた。
「お前のせいだ……」
「……何?」
アレンが尋ねた。
「お前が——弱いせいで」
レンは告げた。
「俺たちは——こんな目に遭っている」
「お前が——もっと強ければ」
「俺たちは——苦しまずに済んだのに」
「……違う」
アレンは、首を振った。
「それは——違う」
「お前の力では——俺たちを守れない」
レンは告げた。
「お前は——所詮、失敗作だ」
「……」
アレンは、拳を握りしめた。
(これは——幻影だ)
(本物のレンじゃない)
(俺の心が作り出した——恐怖の象徴だ)
「……分かってる」
アレンは告げた。
「お前は——本物のレンじゃない」
「本物のレンは——そんなことは言わない」
「……」
レンの姿が、揺らいだ。
「俺は——仲間を信じる」
アレンは続けた。
「ヒナタも、レンも——今、自分の試練と戦っている」
「だから——俺も、戦う」
「俺の試練と——向き合う」
レンの姿が——消えていった。
暗闇が——晴れていく。
やがて——
新たな景色が現れた。
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そこは——
戦場だった。
炎が燃え上がり、煙が立ち込める。
地面には——無数の倒れた兵士たち。
「……これは」
アレンが呟いた。
前方に——ヒナタとレンが立っていた。
二人とも——傷だらけだった。
「アレン……」
ヒナタが、弱々しい声で呼んだ。
「助けて……」
「……!」
アレンが駆け出そうとした。
だが——
その瞬間、声が聞こえた。
『待って、アレン』
「……エルフェリア?」
『これは——幻影よ』
エルフェリアの声が響いた。
『あなたの心が作り出した、恐怖の景色』
『本物のヒナタとレンは——別の場所で、試練を受けているわ』
「……そうか」
アレンは、立ち止まった。
「分かってる」
「でも——」
アレンは、ヒナタとレンの姿を見つめた。
「もし、本当にこうなったら——」
「俺は、二人を守れるのか?」
『あなたは——強くなったわ』
エルフェリアは告げた。
『でも——一人で全てを背負う必要はない』
『仲間を信じて——共に戦えばいい』
「……ああ」
アレンは頷いた。
「俺は——一人じゃない」
「仲間がいる」
「だから——俺たちは、負けない」
その瞬間——
戦場の景色が、消えていった。
暗闇も——消えた。
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気がつくと——
アレンは、元の広間にいた。
「……」
アレンは、息を吐いた。
周囲を見渡すと——
ヒナタとレンも、戻ってきていた。
「アレン!」
ヒナタが、駆け寄ってきた。
「大丈夫!?」
「……ああ」
アレンは頷いた。
「大丈夫だ」
「よかった……」
ヒナタは、安堵の表情を浮かべた。
「お前たちも——試練を受けたのか?」
アレンが尋ねた。
「うん……」
ヒナタは頷いた。
「私も——幻影を見た」
「アレンとレンが——苦しんでいる姿を」
「でも——あれは幻影だって、分かった」
「だから——信じたの」
「二人は——きっと大丈夫だって」
「……ありがとう」
アレンは、微笑んだ。
「俺も……」
レンが、立ち上がった。
「厳しい試練だったが——乗り越えた」
「何を見たんだ?」
アレンが尋ねた。
「……お前たちが、俺を置いて行く姿だ」
レンは告げた。
「お前たちは——俺より強い」
「だから——いつか、俺を置いて行くんじゃないかって」
「そう思っていた」
「でも——違った」
レンは微笑んだ。
「お前たちは——俺を置いて行かない」
「俺たちは——仲間だ」
「共に戦い、共に強くなる」
「それが——分かった」
「……ああ」
アレンは頷いた。
「俺たちは——仲間だ」
「誰も——置いて行かない」
「ああ」
レンは、アレンの肩を叩いた。
三人は——互いに頷き合った。
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「素晴らしいよ」
テラの声が響いた。
テラが、三人の前に現れた。
「君たちは——全ての試練を乗り越えた」
「戦闘の試練、心の試練、絆の試練——」
「全てをクリアした」
「……本当か?」
アレンが尋ねた。
「うん」
テラは微笑んだ。
「君たちは——本当に強い」
「力だけじゃなく——心も、絆も強い」
「だから——僕は、君と契約するよ」
テラは、アレンを見つめた。
「アレン・アルカディア」
「……!」
アレンの胸が、高鳴った。
「本当に——いいのか?」
アレンが尋ねた。
「うん」
テラは頷いた。
「君は——八属性を統べるに相応しい」
「だから——僕の力を、使ってほしい」
「……ありがとう」
アレンは、深く頭を下げた。
「こちらこそ」
テラは微笑んだ。
「君と共に戦えることを——楽しみにしてるよ」
テラが、手を差し出した。
アレンも、手を差し出した。
二人の手が——重なった。
その瞬間——
緑色の光が、二人を包み込んだ。
「契約成立——」
テラの声が、響いた。
「僕、土のマナの化身・テラは——」
「アレン・アルカディアと、ここに契約する」
光が——強くなった。
アレンの体に——土のマナが流れ込む。
重厚な感覚。
それでいて——安定した感覚。
「……これが」
アレンは呟いた。
「土のマナ……」
やがて——
光が、消えた。
テラが、アレンの前に立っていた。
「契約は——完了だよ」
テラは微笑んだ。
「これで、君は——六属性を統べる者になった」
「六属性……」
アレンは呟いた。
光、炎、風、闇、氷、土——
六つの属性。
あと、残りは——
雷、水。
「……ありがとう、テラ」
アレンは、微笑んだ。
「どういたしまして」
テラは告げた。
「これから——よろしくね、アレン」
「ああ」
アレンは頷いた。
「よろしく、テラ」
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広間を出ると——
外は、もう夕暮れだった。
「長い一日だったな……」
レンが、疲れた様子で呟いた。
「ああ」
アレンも頷いた。
「でも——テラと契約できた」
「それは——大きな成果だ」
「うん」
ヒナタも微笑んだ。
「これで、六属性だね」
「ああ」
アレンは、手を見つめた。
六つの力が——体の中にある。
「次は——雷と水だ」
アレンは告げた。
「あと二つで——八属性が揃う」
「そうだな」
レンは頷いた。
「でも——今日は休もう」
「さすがに——疲れた」
「私も……」
ヒナタが、あくびをした。
「賛成」
「ああ」
アレンは微笑んだ。
「今日は——休もう」
三人は、簡易テントを張り、休息を取った。
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その夜——
アレンは、一人で外に出た。
星空を見上げる。
『アレン』
声が聞こえた。
「エルフェリア……」
『お疲れ様』
エルフェリアの声が、優しく響いた。
『今日も——よく頑張ったわね』
「……ああ」
アレンは頷いた。
「でも——まだ終わりじゃない」
「あと二属性——集めなければ」
『焦らないで』
エルフェリアは告げた。
『あなたは——確実に、前に進んでいるわ』
「……そうか」
アレンは、小さく微笑んだ。
「ありがとう、エルフェリア」
『イグニス、シルフ、ノクスも——応援してるわよ』
「みんな……」
アレンは、胸に手を当てた。
(みんなの声が——聞こえる)
(俺は——一人じゃない)
『そして——グラシアとテラも、あなたと共にいるわ』
エルフェリアは告げた。
『あなたは——もう、六属性を統べる者』
『あと少しで——八属性が揃う』
「……ああ」
アレンは頷いた。
「必ず——八属性を集める」
「そして——世界を救う」
『ええ』
エルフェリアの声が、消えていった。
アレンは、再び星空を見上げた。
(八属性——必ず、集める)
(そして——ヴォイドを倒す)
アレンは、拳を握りしめた。
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翌朝——
三人は、転移魔法陣へと向かった。
テラも、一緒だった。
「それじゃあ——また」
テラは、手を振った。
「また……?」
アレンが尋ねた。
「うん」
テラは微笑んだ。
「僕は——君と契約したけど」
「まだ、この地に留まるんだ」
「どうして?」
ヒナタが尋ねた。
「この遺跡には——まだ、僕の役目があるんだ」
テラは告げた。
「でも——君が呼べば、すぐに駆けつけるよ」
「……そうか」
アレンは頷いた。
「分かった」
「じゃあ——また会おう」
「うん」
テラは微笑んだ。
「また会おうね」
三人は、転移魔法陣に乗った。
光が、三人を包み込む。
「さようなら」
テラの声が、最後に聞こえた。
光が強くなり——
三人の姿は、消えた。
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学院に戻ると——
他のメンバーたちが、出迎えてくれた。
「おかえり!」
トムが手を振った。
「無事だったか?」
「ああ」
アレンは微笑んだ。
「無事だ」
「よかった……」
リサが安堵の息を吐いた。
「で——任務は成功したのか?」
マルクが尋ねた。
「ああ」
アレンは頷いた。
「土のマナの化身——テラと、契約した」
「おお……」
カイルが感嘆の声を上げた。
「すげえな」
「これで——六属性か」
エマが微笑んだ。
「あと二つだね」
「ああ」
アレンは頷いた。
「雷と水が——残っている」
「頑張れよ」
トムが、アレンの肩を叩いた。
「お前なら——きっとできる」
「……ありがとう」
アレンは、微笑んだ。
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その後——
ディルク・グレイソン教師が、アレンを呼んだ。
「アレン」
「何ですか?」
アレンが尋ねた。
「よくやった」
ディルクは微笑んだ。
「六属性——大きな成果だ」
「ありがとうございます」
アレンは頭を下げた。
「だが——」
ディルクは、真剣な表情になった。
「次の任務までは、少し時間がある」
「どれくらいですか?」
アレンが尋ねた。
「一ヶ月だ」
ディルクは告げた。
「その間に——力を蓄えておけ」
「……分かりました」
アレンは頷いた。
「それと——」
ディルクは、一枚の紙を取り出した。
「これを、読んでおけ」
「……これは?」
アレンが尋ねた。
「水のマナの化身についての——情報だ」
ディルクは告げた。
「次の任務で——おそらく、水の化身と出会うことになる」
「……!」
アレンの目が、輝いた。
「本当ですか!?」
「ああ」
ディルクは頷いた。
「場所は——北方の湖だ」
「そこに——水の化身が現れたという報告がある」
「北方の湖……」
アレンが呟いた。
「準備を整えておけ」
ディルクは告げた。
「一ヶ月後——出発する」
「分かりました」
アレンは、紙を受け取った。
ディルクは、教室を後にした。
アレンは、紙を見つめた。
(水のマナの化身……)
(アクア……)
アレンは、心の中で呟いた。
(いや、違う)
(アクアは、第五章で会った)
(今度会うのは——また別の存在かもしれない)
アレンは、紙を丁寧に折りたたんだ。
(一ヶ月——準備する時間がある)
(その間に——六属性をもっと使いこなせるようになろう)
アレンは、決意を新たにした。
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その夜——
アレンは、訓練場にいた。
剣を振る。
六属性の力を、引き出す。
光、炎、風、闇、氷、土——
六つの力が、剣に宿る。
「《六属性統合・ヘキサハーモニー》!」
アレンが、新しい魔法を発動した。
剣が——六色の光を放った。
光、炎、風、闇、氷、土——
六つの力が、一つになった。
剣が——美しい虹色の光を放った。
「……これが」
アレンは呟いた。
「六属性の力……」
『すごいわ、アレン』
エルフェリアの声が聞こえた。
「エルフェリア……」
『あなたは——ここまで来たのね』
「……ああ」
アレンは頷いた。
「でも——まだ足りない」
「あと二属性——集めなければ」
『焦らないで』
エルフェリアは告げた。
『あなたは——確実に、前に進んでいるわ』
『一歩ずつ——進めばいい』
「……ああ」
アレンは微笑んだ。
「ありがとう、エルフェリア」
アレンは、再び剣を構えた。
(一ヶ月後——北方の湖)
(そこで——水の化身と出会う)
(そして——七属性を手に入れる)
アレンは、訓練を続けた。
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一週間後——
アレンは、ヒナタとレンと共に、訓練場にいた。
「今日は——六属性の連携を試してみよう」
アレンは告げた。
「六属性……」
ヒナタが呟いた。
「できるの?」
「分からない」
アレンは正直に答えた。
「でも——試してみる価値はある」
「なら——やってみよう」
レンが告げた。
「俺も、サポートする」
「私も」
ヒナタも頷いた。
「ありがとう」
アレンは、剣を構えた。
「行くぞ」
アレンが、魔法を発動した。
「《六属性統合・ヘキサハーモニー》!」
六つの力が——剣に集まる。
光、炎、風、闇、氷、土——
六つの力が、一つになった。
剣が——虹色の光を放った。
「《虹刃解放・レインボーブレイク》!」
アレンが、剣を振り下ろした。
虹色の斬撃が——訓練場の的に向かって飛んだ。
**ドオオオオンッ!**
的が——粉々に砕けた。
「すごい……」
ヒナタが、驚いた表情で呟いた。
「これが——六属性の力か」
レンも、感嘆の声を上げた。
「……まだ、完璧じゃない」
アレンは呟いた。
体が——軋む。
マナが暴れる。
「くっ……」
アレンは、膝をついた。
「アレン!」
ヒナタが、駆け寄った。
「大丈夫!?」
「……ああ」
アレンは頷いた。
「大丈夫だ」
「でも——六属性を同時に使うのは、まだ難しい」
「無理するな」
レンが告げた。
「お前は——もう十分強い」
「……ありがとう」
アレンは、小さく微笑んだ。
「でも——もっと強くならなければ」
「ヴォイドを倒すためには——もっと力が必要だ」
「……そうか」
レンは頷いた。
「なら——俺たちも、もっと強くなる」
「お前一人に——任せるわけにはいかない」
「私も」
ヒナタも頷いた。
「一緒に——強くなろう」
「……ああ」
アレンは微笑んだ。
「一緒に——強くなろう」
三人は——互いに頷き合った。
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二週間後——
アレンは、シリウス・フレイム教師に呼ばれた。
「アレン」
「何ですか?」
アレンが尋ねた。
「お前の成長——目覚ましいな」
シリウスは微笑んだ。
「六属性を統べるとは」
「……まだまだです」
アレンは謙遜した。
「そうか?」
シリウスは告げた。
「私から見れば——お前は、もう一流の魔導士だ」
「……ありがとうございます」
アレンは頭を下げた。
「だが——」
シリウスは、真剣な表情になった。
「油断するな」
「黒月の牙——特に、ヴォイドは危険だ」
「……分かっています」
アレンは頷いた。
「ヴォイドは——複数の属性を使う」
「おそらく——八属性を狙っている」
「そうだろうな」
シリウスは告げた。
「だから——お前は、急がなければならない」
「ヴォイドより先に——八属性を集めろ」
「……はい」
アレンは、拳を握りしめた。
「必ず——集めます」
「頼んだぞ」
シリウスは、アレンの肩を叩いた。
アレンは、教室を後にした。
(ヴォイド……)
(お前より先に——八属性を集める)
(そして——お前を倒す)
アレンは、決意を新たにした。
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三週間後——
アレンは、姉のリアナと会った。
「アレン」
リアナが、声をかけた。
「姉さん……」
アレンは、驚いた表情で振り返った。
「どうしたんだ?」
「様子を見に来たのよ」
リアナは微笑んだ。
「お前——最近、頑張ってるらしいじゃない」
「……ああ」
アレンは頷いた。
「六属性を——統べるようになった」
「すごいわね」
リアナは、アレンの頭を撫でた。
「私も——誇りに思うわ」
「……ありがとう」
アレンは、少し照れくさそうに微笑んだ。
「でも——」
リアナは、真剣な表情になった。
「無理はしないで」
「お前は——まだ若い」
「焦らなくても——いいのよ」
「……でも」
アレンは告げた。
「俺には——やらなければならないことがある」
「八属性を集めて——世界を救う」
「それが——俺の使命だ」
「……そう」
リアナは、小さく微笑んだ。
「なら——頑張りなさい」
「でも——困ったら、いつでも頼って」
「私は——お前の姉だから」
「……ありがとう、姉さん」
アレンは、深く頭を下げた。
リアナは、アレンの頭を撫でると、去って行った。
アレンは、その背中を見送った。
(姉さん……)
(ありがとう)
アレンは、心の中で呟いた。
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そして——
一ヶ月が経った。
アレンは、再びディルク・グレイソン教師に呼ばれた。
「アレン」
「はい」
アレンが答えた。
「準備はいいか?」
ディルクが尋ねた。
「はい」
アレンは頷いた。
「では——明日、出発する」
ディルクは告げた。
「目的地は——北方の湖だ」
「分かりました」
アレンは頷いた。
(ついに——来た)
(水のマナの化身……)
(会えるだろうか)
アレンは、拳を握りしめた。
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その夜——
アレンは、一人で訓練場にいた。
剣を振る。
六属性の力を、引き出す。
「《六属性統合・ヘキサハーモニー》!」
剣が——六色の光を放った。
「……もう、制御できる」
アレンは呟いた。
一ヶ月の訓練で——六属性を完全に制御できるようになった。
体も——軋まない。
マナも——暴れない。
「これで——準備は整った」
アレンは、剣を鞘に収めた。
(明日——北方の湖へ行く)
(そして——水の化身と出会う)
(七属性を——手に入れる)
アレンは、決意を新たにした。
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**次回予告**
一ヶ月の訓練を経て、六属性を完全に制御したアレン。
次なる目標は——水のマナの化身。
北方の湖で、新たな出会いが待っている。
だが——そこには、予想外の敵も現れる。
アレンの戦いは、続く。
**第5話「水底の邂逅」、近日公開!**




