11 王立治安局と事件の終息
王都治安局は、王国の内政に関わるすべての治安維持を任される、いわば王都の守り手だった。
彼らの捜査によって、誘拐された子どもや若い女性たちが救出され、施設内部の全貌が明らかになった。
――被害者たちは、魔力を吸い上げるための媒体とされていた。
施設の奥には、魔力を集めるための巨大な魔法陣の痕跡が残っており、壁や床に埋め込まれた装置にはまだ微かな魔力が漂っていたという。
捕らえられた者たちは王都へ移送され、尋問の末に背後関係の一部が解明されつつあった。
◇◇◇
数日後。
レディアはヨハンとともに、治安局から一連の事件の報告を受けた。
「――以上が捜査の経緯です。犯行組織の一部は壊滅しましたが、まだ調べるべき点は残っています」
ハインリヒ局長が淡々と告げる。その背後に控えていた若い治安局員が、一歩前に出て声を上げた。
「救出された方々の容体は安定しています! 必ずや我々が責任を持って守り抜きます!」
名をオスカー・メルツといった。年は若いが、真っ直ぐな眼差しと力強い言葉には頼もしさがあった。
レディアはその横顔をちらりと見て、印象に強く刻んだ。
――あの夢がなければ、地下に閉じ込められていた人々はどうなっていたのか。
そのとき、窓の外でカタリナが全力で縄跳びをしているのが見えた。
「はっ、はっ、筋肉は裏切らない!」
あまりに元気なその姿に、レディアはふと胸がざわついた。
――もしあの夢が少し違っていたら、カタリナもあの地下にいたのかもしれない。
そんな想像が、肌寒さとなって彼女の背を撫でた。




