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「みずでっぽうがこわい」

作者: ぱあ

※子供の手紙の部分だけ、わざと誤字をしている部分があります。

物語の進行などに支障はないので安心してお読みください。

これは一ヶ月ほど前、ある子供から届いた手紙の話だ。



「みずでっぽうがこわい」

封筒に大きく書かれたその字を見て、私はいたずらだと思った。

字からして、多分6才ほどの子供に見える。

切手も貼っていなかったので、おそらく直接入れられたのだろう。

それにしても、よく病院にこんな手紙を入れたものだ。

おっと、言い忘れていたが私は心などの異常を治す医師、、いわゆる精神科医というものだ。

数年前までは都会の大きな病院で働いていたが、今はこの美しい自然に囲まれた田舎の村で小さなメンタルクリニックを開いている。

……………がしかし、正直私は後悔している。

確かに自然の風景は美しいが、患者は全くと言っていいほど来ない。

もちろん村全体が元気なことはいいことなのだが、こちら側としては少し困る。

まあこんな状況からしてわかると思うが、私はとても退屈だった。

それは今日も変わらないことであり、一度は捨てようと思ったこの手紙も結局私は読んでしまった。

まあ、単なる暇つぶしのつもりだったのだ。



「みずでっぽうがこわい」

こんにちは。

ぼくのおかあさんとおとおさんはいつもみずでっぽうをもっています。

おかあさんはぼくがいうことをきかないとみずでっぽうをぼくにかけます。

さいしょは、みずがつめたくてもがまんできるけど、だんだんくるしくなる。

みずをかけおわったときのほうがくるしいかもです。

このことをおともだちのあっくんにはなすと、あっくんもみずでっぽうをもっていいて、ぼくにかけた。

でも、あっくんのみずでっぽうはあたかくて、ぼくはそれさえもつらいきがします。

きのうなんだかあたまがずきずきしたので、たいおんけいではかったらねつがありました。

そのあと、ぼく…………………



手紙はそこで終わっていた、、というよりかは消されていた。

うっすらと文字が見えそうだが、読むことはできなかった。

しかし、その時の私は手紙の内容について、深く考えていた。

最初のほうは、おそらく親の虐待?のような感じがするが、、なんだか違和感を感じる。

そもそも水鉄砲で虐待をする親なんているのだろうか?

しかし、世の中には色んな親がいるものだ。

ないとも言い切れない。

だが、この真夏の季節にだ。

ちいさな子供が親から水鉄砲をかけられたらどうだろう、、、

きっと苦しいよりも楽しいが来るような気がする。

でも、、、



結局私は答えは出ることがなく、その手紙を捨ててしまった。

今日でその日からちょうど一ヶ月たつが、最近雨が降るとピチャピチャと足音のような音が聞こえるような気がする。

きっと気のせいだ、私はそう思い続け今日もこの病院で患者を待っている。


この件について、私が深く後悔するのはまた別の話だ。





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