2回目は簡潔に
「2回目の人生を歩む者はごく僅かであり、その者たちは元の世界をに大きな変革を齎した人間である。その者たちのことを転生者と呼称する」
「3回目の君はなんて呼んだらいいのかな?再転生者?2転生者?」
そう言って神サマは開いた本にペンを走らせる。
以前は転生者の情報の確認だと言っていたが、今回は前回よりもペンの走る速度が速いし、とても長い。何をそんなに書いてるのか気になるな
「話が二転三転したね。さて、本題に入ろう。今回君が生まれる世界は「アーセ」。君が最初に生まれた世界だね」
俺が見ていることに気づいたのか、本をパタリと閉じて本題を切り出す。
最初に生まれた…つまり転生する前の世界か。
「今回も意識が目覚めるのは大体3歳くらいのはず。目覚めるまでは、君の幼少期の仮想人格が純真無垢に過ごしてくれるはずだから心配ないよ」
幼少期の仮想人格は1度目の俺の幼少期の人格、つまり何も知らない子供の頃の俺の人格を模倣したモノで、赤子の状態で下手に動いて肉体の成長を妨げないように肉体の基盤ができる3~4歳頃までは人格を目覚めさせないという神の定めたルールに乗っ取ったものであるらしい。
「向こうで意識が戻ったらとりあえず……教会に向かうこと。君のいた頃と少しだけ街並みが変わっているから分からなかったら、向こうの親に連れてってもらうといいわ。意識が戻る時には近くにいるでしょうし。
本当はまだ話したいんだけど時間もないし、詳しい説明は向こうに行ってからしましょ」
神サマが先ほどまで持っていた本はいつの間にか消えていて、新たに見覚えの本を持っていた。以前も使っていた、確か転生に使用する「送転の書」だったか。
「そうそう。君はイレギュラーだからね、ここに長居していたら上に処分されかねないからさっさと行ってきて。手早くいこう」
その言葉と共に本の1ページをゆっくりとなぞる。その動きと共に視界が徐々に白い光に覆われていく。
「じゃあまた、きっとすぐ会えるはずだよ」
という神サマの言葉を最後に意識を落とした。
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そんなこんなで俺は、見渡す限り木、木、木…つまりは森の中で目を覚ましたのだ。
『君のいた頃と少しだけ街並みが変わっているから分からなかったら、向こうの親に連れてってもらうといいわ。意識が戻る時には近くにいるでしょうし。』
『意識が戻る時には近くにいるでしょうし。』
もう一度辺りを見回すが、生き物の気配はない。
人間どころか動物の気配すら感じない。
どうしてこうなった?