俳句ポスト
スマホで調べたバスに乗り30
分もすると窓の外は大分、草木の
緑が増えてきました。
海斗くんは景色を見ながら、な
ぜ自分はこんなことをしているん
だろうかと考えました。
海斗くんがミカさんに会ったの
は半年前にお遍路をしていた時に
偶然会っただけです。その程度の
仲なのに、こんな長距離を移動し
て会いに行くとは一体どんな理由
があるのでしょうか。
エッチな写真を送ってもらった
お礼でしょうか。それもあるで
しょうが、やはり、自分も彼女も
性的な問題で苦しんでいるので、
そこに共感を抱いているのだと海
斗くんは考えました。
そんなことを考えていると、バ
スの車内放送が流れてきました。
「次は中島農園前、中島農園前で
ございます」ー海斗くんは急いで
降車ボタンを押しました。この中
島農園というのがミカさん夫婦が
働いているミカン農園なのです。
バスを降りるとそこには俳句ポ
ストという珍しいものが立ってい
ました。
松山市は近代俳句の始祖である
正岡子規の生誕の地であるため、
市をあげて俳句の普及に努めてい
て、下の図のような俳句ポストが
市のあちこちにあるのです。
ー下に挿絵がありますー