告白ー5。それとミカさん
入口のドアを軽くノックして、
ゴン碁くんは言いました。
「あの、ラジオンくん、ラジ子さ
ん。ゴン碁ですが、あと一つだ
けいいでしょうかンゴ?」
「私、ラジ子ですが、今、着替え
中なので、ドアは開けられない
んです」
本当は変身の術が途切れて、元の
ラジオの姿に戻っていたのです。
「では、ドアは閉めたままにして
聞いて下さいンゴ。僕はまた、
子供囲碁教室のために福知山市
に来るので、その時はどうか、
授業を受けに来て下さいンゴ」
「わかりました。楽しみにしてい
ますわ。」
「では、さようならンゴ」
「さようなら」
駐車場に出てみると、道策先生の
姿はもうありませんでした。
「道策先生。ありがとンゴ。おか
げで初心を思い出すことができ
ましたンゴ」
~一方、こちらは海斗くんです。
(やれやれ。最近は出張ばかりで
疲れたよ。早く帰ろうっと)
そんなことを思いながら、海斗君
は福知山駅行きのバスをバス停で
待っていました。
その時、カバンの中のスマホがプ
ルプルッと鳴りました。
「もしもし、海斗さん。私、ミカ
です」
「あっ、ミカさん。その後、体調
はいかがですか」
「ええ。あのお薬のせいでとても
いいんですよ」
「それは良かったですね。それで
今日はどんなご用件ですか」
「ほら、新大阪駅で約束したこと
があったでしょ?」
「えっ、約束というと?」
「いやだわ。もう、お忘れになる
なんて。冷たい人ね」
ーつづくー