3剛毛 私が鏡の前で屈辱的な作業をしているかたわら
あらすじをなんとなく見てたら、
スリミーヌになってる部分があったので訂正。
私の脳がヤベェ。
毛玉の名前はディードリヒ。名前あったんだ~良かったね~、と適当に言ったら、手の甲にチリ毛が生えたので速攻謝った。ディードリヒは神聖アフロディテのお気に入りらしいわ。
そしてゼファー様は髪が無いとは言え、気品溢れるお姿が素晴らしく素晴らしいわ。何でも神聖アフロディテ教団の現教皇のご長男様なのですわ。そっか~私、次代教皇夫人か~♪ウフフフフフ……
「笑いがキメェ……」
「うっさいわねコr……なんでもありませんわ。オホホホホホ……」
危ない。まつ毛がアフロになりかけた。【アフロヒーラー】を侮辱すると神聖アフロディテが報復するのはあまりにも有名だけど、ここまで過敏に反応するなんて。
《スリミィナよ、この2人は絶対に丁重に扱え。間違いなく神の愛し子だ》
愛が重そう。
《やめろッッッッッ!迂闊にそう言うことを考えるな。グラウンド1兆周は免除してやるから、自分を大事にするのだ》
やらねえ……免除されなくても絶対に走らない。
「君も、何らかの神に愛されているようだね」
ゼファー様は困惑なされているご様子。きっと私が美しいからだわ。
「ええ、野球英雄神から様々なことを学びましたわ」
「野球……英雄、神?聞いたことねえわ」
毛玉が言うように、私も数ヶ月前まで聞いたことが無かった。
《ボロが出る前に話題を替えろ》
「と、ところで……」
私は『ちくわ』を創造して、2人に見せた。
「この『ちくわ』が何なのか、どのように作るのか調べているのですが、お2人に心当たりはございませんか?」
「まるで【運命の棒】だね」
ゼファー様は手のひらを顎に当てながら厳かにおっしゃられました。
「見たことあるなぁ……」
毛玉がなんか言ってる。黙れ。
「確か、俺の故郷で……」
「ゼファー様、【運命の棒】について教えていただけませんか?『ちくわ』の手がかりだと、私は考えておりますの」
「海の魚を……どうすんだったかな~」
うるさい黙れ……フゴッ。
「イヤァァァァァアアアアアッッッッッ!」
鼻の中にアフロがッッッッッ!
「謝れッッッッッ!今すぐアフロディテ様に謝れッッッッッ!」
毛玉が私に鼻毛切りを差し出した。
「お許しください、アフロディテ様ッッッッッ!」
鼻毛がストレートにはなった。今回は抜けなかったので鼻毛切りで地道に切ってく。
「ディー、何か知ってるのかい?」
私が鏡の前で屈辱的な作業をしているかたわら、ゼファー様が毛玉に訊ねる。『ディー』とは愛称らしいわ。生意気ッッッッッ!…………………………ごめんなさいッッッッッ!アフロディテ様、ごめんなさいッッッッッ!
「いや、別に良いさ。【運命の棒】が気になるみてぇだしよ」
毛玉から手が飛び出し、戸棚を開けた。その中にある皿の上には、黄色い円柱状の物体が複数乗っていた。
「雇い主の貴族からいただいた嗜好品だ。コイツがたまらんのさ」
毛玉が皿ごと私に差し出した。全部くれるみたい。毛玉め、気が利くわね。
「ええと、名前なんだっけ。スリッパさん……コーンにアレルギーとかねえよな?」
「スリミィナです。あとアレルギーは無いです」
1本手に取る。黄色く、軽い。穴からゼファー様を覗く……イケメンッッッッッ!
「スリミィナさん、ぜひ食べてみてよ」
イケメンが見てるから、お上品に食べないとね。
「いただきます……ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ」
やっちまったッッッッッ!イケメンに軽蔑されるッッッッッ!
「ずいぶん腹を空かしてたんだな」
毛玉が更に戸棚から干し肉を出し、ストーブの上にあったポットの中身をマグカップに淹れてくれた。ハーブティーだ。何のハーブかは知らないけどパクチーではないのくらいはわかる。
「ふうん……」
イケメンが私をまじまじと見つめる。やだ……プロポーズの言葉を選んでるの?
「オーケー、です……」
「何を言ってるの?まあいいや」
ゼファー様は美しい手のひらを私に向けた。意味がわからない。でも、多分、【アフロヒーラー】流のプロポーズと見たッッッッッ!
「ゼファー、どう見ても違うぞ」
「ディーは判断が速過ぎるよ。……【スキンヘッドアフロヒール】」
音楽家のような細く繊細な手のひらが光った。体がポカポカする。
「オーケー、です……」
「……何を言ってるの?まあでもアンデッドじゃないみたいだね」
アンデッド?
「ほれ、見ろ。名簿にそもそも載ってねーだろ」
名簿?
「どうやら本当に一般の冒険者のようだね」
「スリリングさん、疑って悪かったな」
「スリミィナです。疑うって何ですか?」
「彼女は人間でも、連れの2人はまだわからないさ」
「アンデッドは石化しねーだろ」
「スリミィナさん、ヒーギャックさんとエアッゾさんのところに案内してくれないかな?」
意味が全くわからなかったけど、ある種のプロポーズと判断した私は短めの婚前旅行のつもりで、昨夜泊めてくれたセクハラ3人衆の家にゼファー様とその他1名を連れて来た。
あっ。
マズイわ。
今セクハラされたら私……本性を剥き出しにしちゃう。
《安心しろ。もうバレてる》
うるせえ、シンボル破壊すんぞッッッッッ!
……待って、落ち着くのよスリミィナ。自分を変えなきゃ。たかがセクハラごとき、どうってこと無いじゃない。ゼファー様の見ていないところでレッツパーリィすればいいだけの話よ。
《報復はするのか……》
あるいはやられる前にやる、とか。
そうか、その手があった。ゼファー様が認識できない速度でぶちのめせば……
「この家か。ゼンカアリィとユーザインとジョーシュウハン……薬物売買の罪で処刑された人たちだね」
ゼファー様は家の前でノートをめくっている。何か不穏なことを言ってるけど、イケメン無罪ッッッッッ!




