表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちくわと暴力の魔女  作者: 都道府県位置
夢の舞台で、脂肪が燃えた
18/24

8脂肪 【この選手は私が育てました】

前話の後書きに、かぐつち・マナぱ様から頂いたイラストを載せさせていただきました。


ありがとうございます。

 地上の脂肪系魔物は相変わらず炎上中……なので臭い。煙もキツいし熱くなって来たわ。精鋭の皆さんも危機感を強めてるわね。教育ママたちが輝き出したわ。攻撃するつもりよ。


「「「「「小学校で1番になれた子だけが、中学校でも1番になれるのッッッッッ!」」」」」


 精鋭を挟んだまま、教育ママたちがソレに向けて口撃を行う。これはキツい。血反吐が出そう。テスト前に母から寿司を摘まみながら言われた暴言を思い出したわ。私の生命力がごっそり削れた。これならあのキモいのも大ダメージを受けたはず。


「うるさいッッッッッ!俺はアーティストになってビックになるんだッッッッッ!」


 叫びながらソレーーアーティスト志望は頭を抱えた。口撃が結構効いてる……大卒とか言ってたけど大ダメージね。血だって吐いてるし。


「まさか……Fラン?」


 私の何気ない一言でアーティスト志望は腕を爆散させた。思わぬ会心の一撃ッッッッッ!


「「「「「もっと真剣に将来を考えなさいッッッッッ!」」」」」


 更に教育ママから容赦の無い追撃でアーティスト志望の右足が爆散。……私もダメージを受けたわ。


「こう見えても……考えておりますぞ。グハッ」


 執事も効いてる。挟まれている精鋭も効いてる。誰よ、教育ママ属性使ったの?


「クッ、心が折れそうだが……後には引けんぞ!」


 いかにも歴戦の勇士って感じのお年寄りの兵士が、挟まれた状態で杖を握りしめてた。杖の先端には魔方陣が出てるわ。その中に『T大合格率98%』って書かれて……この人かよッッッッッ!母性に甘えて良いビジュアルじゃないわね。自分にもダメージ受けてるし。


「儂の将来は……ハーレムじゃ」


 何言ってんだコイツ。それと……私 の 腹 を 見 る な。【ダイエット無効】食らってるから仕方ないのよ!


「俺の将来もハーレムだッッッッッ!」


 腕を一瞬で再生させたアーティスト志望が、教育ママ属性魔術師に被せて来た。コイツ……笑いを取ろうとするくらい知能が……芽生えているの?


「BBAは黙ってろッッッッッ!」


 激しい一喝。アーティスト志望は禍々しい上にやたら臭いオーラを放ったわ。たくさんいた教育ママと……メスガキまでかき消えた!


「よくも……僕の嫁たちをッッッッッ!」


 メスガキたちがいた場所を見て、アーティスト志望が涙を溢す。いや、お前がやっただろッッッッッ!


「許さんぞ」


 な ぜ 私 を 指 さ す?


「させるかッッッッッ!メスガキと教育ママがダメならッッッッッ!」


 ……辺境伯様が吼えた。……教育ママ、効いてたわよ。


「切り札を切る……【この選手は私が育てました】ッッッッッ!」


 いかにも底辺ってな感じの老害が出て来たわ。見ているだけで不快。辺境伯様の老害属性はとんでもないくらいレベルが高いみたいね。辺境伯様が使ったのは老害属性の防御魔法ーー【この選手は私が育てました】だわ。出した老害にヘイトを集めて囮にするんだけど。


「【貴様は自分1人で生きてきたつもりか★感謝の気持ちは無いのか】ッッッッッ!」


 凄い。囮に補助魔法を被せたわ。【貴様は自分1人で生きてきたつもりか★感謝の気持ちは無いのか】には攻撃して来た相手に【思考停止】を付与する効果があるわ。更に50%の確率で【諦め】を付与するの。囮にした老害に攻撃させてカウンター、このコンボ……伝説の勇者しかできないって歴史の授業で習ったわ!


 そうだわ。こっちには【空前絶後の超最強究極勇者神】ーー辺境伯様がいるッッッッッ!


「そう来たか」


 アーティスト志望はどこからか櫛を取り出して髪をとかし始めたわ。いや、待って。あいつ、さっきまで髪が無かった。いつの間に生えたの?


「老害には天敵がいるのを知っているか?」


 アーティスト志望が髪をとかすと……ソリコミができた。ラリィが言ってたけど、彼女の前世でのファッションだそうよ。


「異世界魔法……ヤンキー属性」


 辺境伯様が出した老害の前に立ついつの間にか立つアーティスト志望。異世界魔法……ですって?


「【飛んでみろや】」


 知らない言霊だ。いいえ、過去に小銭を隠し持った司祭様ーー名前なんだっけ、ああエムド様に言ったことがあった。飛ぶことで小銭がぶつかり合って音を鳴らすんだけど……


 あっ、偉そうにしていた老害が目を逸らした。


「なん……だ…………と?」


 辺境伯様が困惑してるわ。私も、精鋭も。伝説の魔神イケーノメッダカを瞬殺した伝説のコンボが発動せず、目を逸らすだけなんですもの。


「【お前の物は……」


 アーティスト志望が、黙って突っ立っている老害の懐から小銭を取り上げた。嘘、辺境伯様の魔力が生んだ老害の、いったいどこに小銭があるの?


「……俺の物】」


 老害が……私の方を向いた。


《スリミィナよ、今すぐ我が真名を唱えよ》


 なんかヤバい。






 実際にヤバかった。


 今日この日は、この世界に新たな属性の魔法が生まれた瞬間だったわ。


 その属性は【ヤンキー】。いわゆる不良ね。【老害】へ圧倒的な特効を持っているの。


 そして【飛んでみろや】は【老害】を萎縮させ、【お前の物は俺の物】は【老害】を支配するの。






 まだそんなことを知らない私は、メンチを切ってきた老害にメンチを返した。それがまずかった。


「【何を見てるんだ】」


 支配された老害は、術者を無視して魔法を行使。その効果で私は萎縮した。体が動かない。


「【年寄りを敬え】」


 この魔法は術者よりも年少の存在のスキルや能力値その他諸々の中の何か1つを問答無用で奪う効果なの。


 ヤバい、何かを奪われた……えっ、なんか体が軽い。萎縮からも解放されたわ。


「貴様ぁ……」


 老害が太ってく。えっ、何あれ、自力で動けないんじゃ……


「愚かな、よりにもよってデブスから脂肪を奪うとは……」


 アーティスト志望……今 な ん て 言 っ た。


「あのデブスが、ただのブスになった。クックックッ。ある意味進化したな」


「お い こ ら」


 私の中で何かが切れた。


「今 デ ブ ス っ て 言 っ た か」


 激情のままに私はアーティスト志望へ迫り、目一杯ガンを飛ばす。


「やめろスリミィナッッッッッ!()()()()()()()ゴハッ!」


 アーティスト志望は私から目を逸らさずに、私に呼びかけた辺境伯様に向けて小銭を指で弾いた。辺境伯様の額から血が流れる……


「デブスと言ったが、何か問題でも?」


「誰 が デ ブ ス だ」


 この存在は、絶対にあり得ないことを口走った可能性がある。


 この超銀河全次元空前絶後唯我独尊究極絶対完全無欠美少女スリミィナ様に向けて『デブス』などと妄言を吐いた可能性がある。


 確認しなければならない。


「も う 1 度 聞 く 誰 が……」


 アーティスト志望の指が私に向けられた。どうやら折って欲しいみたい。


 えいっ。


「がっ、貴様ッッッッッ!このデ「えいっ」


 正直、悪いことしちゃったと思う。アーティスト志望の彼を、私は失明させてしまったのだから。何のアーティストを目指しているのかは不明だけれど、美術を志す人が視覚を喪えば致命的だし音楽であれば楽譜を読めない。


「あら~ごめんなさ~い。テヘペロ~♥」


「貴様ッッッッッ!未来の某ベル芸術賞候補の某に……」


 あっ、潰した目が再生した。折れた指も。生意気~★


「えいっ」


 正直、悪いことしちゃったと思う。アーティスト志望の彼のシンボルを破壊してしまったのだから。使う機会が永遠に来ないとは言え。


「その……」


 老害が手揉みしながら上目遣いで私を見た。


「さっきはすいませんでした」


 深く深く頭を下げる老害。手のひら返しは嫌いだけど、寛大な私はこう言った。


「いいのいいの。気にしないで。そうだわウフフ。ぜひ教えて欲しいことがあるんだ~♥」


「喜んで答えましょう」


 初めて見るような笑顔を老害は見せたわ。


 きっと彼なら、粉々に砕かれた私のプライドを復活させてくれるはず。


「世界で1番美しいのは、だぁれ?」


「デーロ神国の聖女、エリシア様です」


 正直、悪いことしちゃったと思う。老害を武器として扱って、うずくまるアーティスト志望の脳天を叩き付けてしまったのだから。


「スリミィナ、もうよすのだッッッッッ!怒りによる覚醒をこれ以上使えばお前はッッッッッ!」


 辺境伯様の叫びが夜空に響いた。

補足


スリミィナの魅力の100%は胸です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ