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ちくわと暴力の魔女  作者: 都道府県位置
夢の舞台で、脂肪が燃えた
14/24

4脂肪 誰も開墾した覚えがないのに水田には稲が実った。

前話が

どういうわけか終盤部分が消えていました。

投稿したときはあったのに。


もし良ければ前話を読み直してくれると助かります。

「スリミィナ殿、どうか腹を切るのはやめてくれたまえ」


 そうは行かない。筋肉のつき過ぎによる不可抗力であっても屋敷を破壊したのは事実。辺境伯様と一族郎党の皆さんを殺しかけてただで済むとは、さすがの私も思わない。弾みで筋力がめっちゃ上がりました、なんて言い訳が通るはずない。重罪だ、両親が連座しないように潔く償わなければ。


「わかっているのかね。君の腹筋の硬度はオリハルコンを上回っているのだぞッッッッッ!」


 辺境伯様のお屋敷だった残骸の中から拝借したフェイテバリットオリハルコンブレードが、また折れた。


「剣を惜しんでいるのではないぞ!切腹など乙女のやることではないッッッッッ!」


 私の野球によって鍛え上げられたシックスパックには、傷ひとつ無い。折れたフェイテバリットオリハルコンブレードは、残り3本。


「形ある物はいつか壊れる。我々だって最近壁パンの数が増えてる。確かに君が歩くだけで2階の床にヒビが入ったのだが、それが原因とは限るまい」


 辺境伯様はそう言うけど、世間はそう受け取らない。困った、『ちくわ』で切腹できないかな……


「家なんぞ飾りだッッッッッ!ちょっとアウトレットモールでまとめ買いしてくるから、気にするなッッッッッ!何だったら一族郎党野宿をするともッッッッッ!」


「ですが……」


 辺境伯様個人が許しても王候貴族はそうは行かないだろうに。つうか……アウトレットモールでまとめ買いできるお屋敷ってなんなの?


「どうか私に償いをさせてください。お願いします」


 側に控える執事も、私に加勢する。


「お館様が寛大なのは周知の事実です。ですが、それを歯痒く感じていらっしゃる寄子もおります。ただでさえヒー……」


 ドンッッッッッ!


 辺境伯様は無詠唱でメスガキ属性魔法を遠くの山に向けて放ったわ。八つ当たりね。遠くの山に『わからせ』の形の煙が上がった。多分禁呪よ。あの一帯、数世紀はわからせられ続けるわ……


「失礼しました……()()()()()()()()を受けているのですよ」


 名前を言ってはいけない例の不死鳥は、人間関係も破壊してるんだ。


「その……なんと申しますか寄子たちのネガティブな感情がですね、今回の件でスリミィナ様に向けられる可能性もあるのではないでしょうか?」


 今の私なら邪神とかの牽制までなら耐えられると思うけど。


「ふむ、一理ある。何らかの罰を与えねば、かえってスリミィナ殿が危ないか」


 辺境伯様は崩壊した敷地を歩きながら手を顎に当てて考えた。やっぱ切腹かしら。


「どうであろうスリミィナ殿、ワシの依頼を冒険者として受けてもらえないだろうか?」






 辺境伯領は東、南、西の三方が山に囲まれている。西の山脈を越えるとすぐに海なのだけど、禁呪によって生み出された『わからせ』のせいで特殊な性癖の方々しか通れないみたい。ヒーギャックとエアッゾは特殊過ぎて拒まれたんだって。


 何でわかるんだって?


 ついさっき、黒と青の不死鳥が飛んでいって、恐ろしい勢いでお屋敷の跡地に弾かれて来たのよ。


 目的地は南の山だからどうでもいいけどね。問題はどうやって南の山へ向かうかだったんだけど。






《スリミィナが足の裏に敷いたちくわは、後でヒーギャックとエアッゾが喜んで食べる予定です!》


 ご褒美かよッッッッッ!いや、敷かないからッッッッッ!食べ物を粗末にはしないわ。爆弾としては使うけど。


 それにしても何を言い出すんだろう、精霊。


《(裏声)スリミィナの体重が下がった。後で辻褄合わせにグラウンドをうさぎ飛びで1兆周します!》


 シ ン ボ ル 破 壊 す ん ぞ。


 全く野球英雄神め。今の私がうさぎ飛びしたらこの土地が徹底的に破壊されるわよ。そっと歩いただけで地面にヒビが入ったんだから。筋力だけでここまでなる物かしら。ステータスを見ようとしたけど止めたわ。怖いし。


 ちくわで飛ぼうかと思って乗ったけど、めっちゃ跳ねてどうしようもない。仕方がないから、ヒーギャックがスキルで用意した絨毯に乗って移動してるわ。


 ……………………魔法の絨毯ってヤツ。


 お父様に見せてやれ、真面目に働け、作って売れ、最初の稼ぎでお父様に何か買ってやれ。そう説教したら、顔を赤らめて痙攣して失神して絵面的にヤバい感じになったから諦めた。説教もご褒美らしい。


 まあとにかく、依頼を達成するために南の山に向かったわ。


 途中でエアッゾが何か格好良さげ(あくまでも本人基準と私は判断している)なポーズを取ったり、アデューとかハニーとか月が綺麗ですねとかペラペラくっちゃべって来たので無視したら、顔を赤らめて痙攣して失神して絵面的にヤバい感じになったから放置した。


 その汚物はヒーギャックが担いだ。コイツら息がピッタリ。それと、説教賃と空気賃くれたわ。汚らわしいので恵まれない子供たちのために寄付します。……………………嘘じゃないです。


 そうこうしているうちに、南の山ーー脂肪ヶ岳に到着。3日寝ずに強行軍だった。…………ねえ、黒と青の不死鳥がいるの。野宿よ。安心できると思う?







ーー遠い昔、豊作が続いた時期があった。


ーー偶然か、神の加護か、悪魔の策略か、誰にもわからぬ。


ーーとにかく豊作が続いた。


ーー農民がどんなに手を抜いても、


ーーうっかり雑草と間違って麦を抜いても、


ーー悪意を持って作物に火を放っても、


ーー極端な話……種を蒔かずとも、


ーー畑には麦が実り野菜が実り、


ーー山には果実が実り、


ーー誰も開墾した覚えがないのに水田には稲が実った。


ーーあらゆる階級の民は漏れなく堕落し美食を貪った。


ーーそれで、めでたし……とはならなかった。あらゆる階級の民全ての体重が増えたのだ。


ーーそのまま自らの体重に押し潰される前に、彼らは対策した。


ーーダイエットを始めたのだ。


ーー朝にジョギングをし、


ーー昼にスクワットし、


ーー夕べにシャドーボクシング……もちろん想定敵は電灯の紐。


ーー夜はひたすら腹筋に励み、


ーー伴侶のいる者たちはニャンニャンと励んだ。


ーー世に言う大ダイエット時代であった。


ーー民は恐るべき勢いで脂肪率を下げ、とうとう限界を越えて脂肪率がマイナスに届いた。


ーーその時であった。


ーー限界を越えて喪われた脂肪が、とある場所に集い新たな生命となったのだ。


『その場所とは、南の山なのだよスリミィナ殿』


『セクハラを承知で問おう』


『体重計に【限界突破】と出なかったかね?』


『責めているのではないぞ。急激に痩せた者の脂肪率がマイナスになるのは必然』


『消えた脂肪は脂肪ヶ岳に集まり、魔物となるのだ』


『脂肪由来の魔物はたいして強くない』


『問題は、何をドロップするのかだ』






 目的地に着いたらいきなり魔物が現れたわ。いかにも脂肪って外見の狼なんだけど、あっさりと『ちくわ』の投擲であっさり倒せたわ。


 そしてドロップアイテムが出たのよ……


 ドロップアイテムは魔物を倒すと出てくるお宝なんだけど、滅多に出ないわ。宝くじの3等位の確率らしいそうよ。だいたい武器防具や魔法の巻物が多いみたい。


 でも脂肪の狼が落としたのは……ログハウスだった。アイテムボックスにはなんか余裕で入ったわ。なるほど、アウトレットモールでまとめ買いできるわけだ……家のドロップって何なのッッッッッ!

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