【5分で読める短編小説】盲目の蛙【通勤・通学・休憩・寝る前に】
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<@fuyukun_dayo_>
それが全てだと信じ切っていた。
仕事も周囲の人間も、ありとあらゆる環境が、
今生きている目の前にあるそれが全てだと私は信じ切っていた。
とある日の事。
新しくできた友人と他愛もない言葉を交わしていた。
今までの日常の中では出会わない様な少し変わった友人だった。
私は、その友人との会話に幾度となく違和感を覚えた。
具体的には分からない。
それでも、心の根の部分に骨が刺さった様な違和感が、
その友人と居る度にモヤモヤと残った。
「思い切って環境を変えてみなよ」
友人と出会って数か月、突然の一言に私は困惑していた。
友人が言うには、私が会話の中で抱く違和感を、何となく
会話の様子から受け取っていたらしい。
そして友人は続けた。
「きっとその違和感は、自分が全てだと思い込んでいる世界の外側の話を身近に
聞いているからだよ。」
「アニメや漫画の世界で私生きてますって人が
突然現れたら驚くでしょう?」
「でもいま今のアナタはその状態に近いんだと思う。」
私は呆気に取られた。
それでも何故か心の中の違和感はスッキリしていた。
気づけば私は導かれるように動いていた。
職場を辞め、住所を変え、交友関係も見直した。
身の回りが落ち着いてふと周りを見たときに
眼前に現れたのは、以前の私の世界にはあるはずの無かった
【未知の大海】だった。
私は酷く混乱したが、すぐに状況は整理できた。
今まで全てだと思い込んでいた世界は、
【私】を上手く利用しようとする周囲が生み出した
【水槽】でしか無かったのだ。
大海を知らなけば、安全な水槽から出ようとしない。
無知を盲目にし続ける事が、他人を利用しようとする輩から
すれば簡単かつ効率的な事。
大海に出て、今まで居た水槽をふと振り返った私は、
そこで行われる酷く
残酷で残忍な洗脳
宗教的ともいえる囲い込みに
今まで感じたことの無い恐怖を感じた。
あの時友人はこんな気持ちだったのだろうか。
いずれにせよ私はあの水槽から這い出させてくれた友人の言葉の一つ一つを
生涯忘れる事は無いだろう。
---今、アナタが見ている世界は希望ある大海ですか?それとも・・・
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