2人で一緒に朝食
「……もう朝か……顔でも洗うか……」
スマホ特有の独特のアラームで目を覚ました翔は、いつもの様に洗面台で顔を洗い鏡に写った自分を見て顔色がいつもより良い事に気付いた。
シリカの料理を食べ、いつもより早く寝たからだろうか、全体的に体が楽だった。やっぱりちゃんとした食生活をして睡眠をすると、こんなにも変化が有るんだな。と翔は、驚く。
「おはようございます。翔さん、タオルです」
そんな事を一人顔を見ながら思っていると、ドアの方から夏の風鈴も遥かに越す、美しい透き通る声で呼ばれた。
「おはようシリカ」
「ご飯食べましょうか。」
「朝からシリカのご飯は、楽しみだ」
シリカは、昨日言った通り朝から、朝食を作ってくれていた。朝からワクワク感が有るとこうもテンションが上がるのか。自分でもびっくりだな、こんなにも向上心が上がるのは。
リビングに向かうと机には、味噌汁、魚、ご飯の和食が置かれていた。こんなに最高な健康食を食べるのは、久しぶりだ。朝。昼。晩、いつもカップ麺とコンビニ弁当で済ませていた翔には、嬉しすぎる。料理は出来ないわけでは、無いが、面倒くさいのでいつもやってない。
席に着くと鼻にスゥーと匂いが入ってくるいい匂い。和食は、日本の定番食なので、いつ見ても美しい。しかも手作りを食べられのだ。それだけでも翔にとっては、最高だ。
「じゃあ食べるか」
「はい。食べましょうか」
「「頂きます」」
二人で「頂きます」と言って一口食べると――目から涙が出そうな程に美味だった。出汁が効いてて、魚の塩が絶妙なバランスで効いていて、ご飯に最高にマッチングして朝飯には最高すぎる。
こんなにも絶品を食べれるなんて夢みたいだ。これなら店を出せるレベルじゃないのか。そこら辺のファーストフード店やレストランに勝らない美味しさだ。いやもしかしたら越してる可能性の方が高いな。それ程美味しい料理だ。
「これめちゃくちゃ美味いぞ!? 和食!」
「ホントですか? 良かったです、お口にあって」
「ああ、ホントだ! 胃袋が掴まれるよ」
「やっぱり翔くんに、作ると素直に喜んでくれて嬉しいです」
シリカがそんな事を呟いて微笑んでいた。
その微笑みは、どこが、儚く遠くを見てる感じがした。
「シリカ、料理で前、」
「どうしましたか?」
途中で、言いかけた言葉を止めるとシリカは、キョトンとした顔で見ていた。
「いや、シリカの料理は昨日食べた料理と同じで美味いなって」
「そうですか、それは良かったです」
翔は、シリカに言おうとした言葉を飲み込んだ。シリカに言えば、更に辛い思い出を引き出してしまう可能性が少なからずある。シリカの前に住んでた家に無関係の自分がここで聞くのは、シリカを傷付ける行為だ。そんな行為を助けを求めてた彼女にして良い行為では絶対に無いから。
「翔くんお皿片付けて良いですか?」
「いいよ……っていつの間にか食べ終わってたのか」
「食べてた時の顔は幸せそうでしたよ」
(恥ずかしいな……でも俺、本当にいつの間にか食い終わってたのか、やっぱり無意識に食べてるって事は素直に胃袋掴まれてる事認めるしかないな)
「食べ終わった事だし、着替えて学校行くか」
「そうですね」
朝食を食べ終え、翔とシリカは、お互いに、制服に着替えて玄関に向かった。
「じゃあシリカ先に行ってくれ、もし一緒に行ってる事が見られたら厄介になるから」
「そうですか、じゃあお先に行きますね」
「うん」
玄関のドアノブに手を掛け、こちらを振り向いて手を振るシリカに手を振り返し翔は、十分程経った後学校に向かった。