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新生女神様の人類お忍び物語ツアー  作者: 上野 たびじ。
第四章 学園バトル、未来日本出張編
59/60

(15) 既視

皆様、大変お久しぶりでございます。ちょくちょく投稿を再開します。


言葉の使い方に変化があるとは思いますがおおめに見ていただければと思います。



「さぁ!!それでは選手の紹介です!!名前を呼ばれた方はどうぞステージへ!!」


正方形のステージに上るのは四人の美少女と一人の少年だった。


「HWA個人戦!!トップバッターはもちろんこの方!!当校随一のツンデ令嬢!!西条鏡花!!」


ワァァアアアアアッッ!!


ここの生徒であれば誰もが知る唯一無二のツンデレ最強お嬢様こと西条鏡花の登場に会場は大盛り上がり。


「な、何がツンデ令嬢よっ!? 恥ずかしいわね…」


一応歓声に応えて手は振り返すがどうやらシャイなご様子であり、顔を紅く染めている。


「No2!! 期待の新人の一人!?金髪縦ロールがトレンドマーク!!勇陽玲奈ーッ!!」


ウォォオオオオッ!!


性癖どストライクな奴らが多いからか、それとも本物の金髪縦ロールを初めてみたからか、妙に男の熱気が感じられる歓声がスタジアムに響いた。


玲奈は私の方を向いて謎にドヤ顔を決める。なんの意味があるのかはよく分からない。


そして三人目が階段に足をかける。


「No3!!無表情の裏には何を隠しているのか!?隠密追跡でブイブイ!!伊達真冬ーッ!!」


ワァァアアアッ!!

キャァアアアッ!!


「今日も真冬はブイ。」


カメラに向かって無表情のままピースサインを決めたことでその歓声がより一層大きなものになる。


今度は女子側の応援が大きかった。きっと真冬のおさなめのルックスに無表情という無口キャラの可愛さによる庇護欲であろう。


そしてピンクのサラサラなロングが揺らめけば登場するのはもちろん悲劇のヒロイン。


「No4!!こちらも超絶期待の新人転校生!!尖った耳からつけられたあだ名は秋葉の残虐姫!!諏訪梨衣奈〜!!」


ゥォォオオオオオッ!!


「が、頑張ります!!」


もう本人も面倒になったのか、耳をエルフの尖ったもののままにして個性を演出していたからか、コスプレイヤーのイメージが定着。


よくオタクに決闘を申し込まれてボッコボコにしていたことから着いたあだ名らしい。


ペコペコと頭を下げる梨衣奈。もはやあの頃の豹変していた頃の面影はひとつも無い。


「そしてラストバッターはまさかの彼!!奇跡の復活を遂げるか!!防人の生きる伝説!!HWAの申し子!!天道大輝〜!!」


ェェエエエエエッ!?


階段をのぼり、まっすぐと相手の出てくる入口を見つめ睨む普段は冴えない少年。


思わぬサプライズに会場が困惑と驚きと喜びを乗せた様々な歓声で木霊する。


その理由は明白。


天道大輝の名前を知らないものはいない。幼い頃からHWAの英才教育を受け、幼少の7歳の頃には日本代表に選出、無配神話を飾った神童であった。


HWAの人道法違反で誹謗中傷を浴びた際も、同情の嵐が押し寄せてきても、立ち向かい、そして勝ち続けた彼の人生はドラマそのものであった。


しかし、そんなある日彼の相棒であった直接続型HWA、彼の専用機であり、今は唯一無二の存在であったHWA-00は突然行方を眩ませた。


それから彼は現在主流の間接続型を使用するも機体と身体の性質上噛み合わず、戦績が急激に悪化。一時は引退まで追い込まれた。


しかしそこで彼の手を離さなかったのが、まさに西条鏡花と伊達真冬、そして姉の存在であった。


現在は姉の持ったGPSから何とか機体を探索しているところであった。


そんな彼がスタジアムに戻ってきた。そのことに会場のみなは喜びと驚きを隠さずにはいられなかったのだ。


「それでは南極国側の選手紹介です。」


アナウンサーのテンション低いわね!?


まるでプロ野球の阪〇戦アウェイゲーム並じゃん。


「一番、ナズル。二番、シールズ。三番、セイル。四番相模原わこ。五番、カルナ。以上になります。」


ゥワアァァアアア!!


以外にも盛り上がる会場。その理由は簡単。HWA日本代表の相模原わこが日本代表側でなく、南極国側にいるのだから。


まぁ、分かってはいたのだけど。


「おいッ!どういうことだわこ!?おいッ!聞けコノヤローッ!」


と、どこか遠くから桜ヶ丘先輩の必死な叫び声が聞こえるが、この歓声の中ではその声も通ることは無い。


にしても……


梨衣奈と玲奈がじーっとこっちを見てきている。


言われなくてもわかってるわよ。目の前にいる敵が見覚えのある奴らばっかりで困惑してるのよね。


リオ少年の時に色々お世話になったナズールにシールズ。


彼らは脚を切ったはずだったけど何故か普通に歩いている。


そして私が魔族になって負けた後に突如行方を眩ませていたセイル。


『『シーナ!!これどういうことですの』か!?』


特に梨衣奈の方は冷汗だくだくである。まだおそらくバレていないとはいえ、リーダーであるカルナをそこまで堕とした原因は自分にあるのだから。


桃色の髪の毛と顔立ちですぐにバレてもおかしくない。


それにカルナの容貌といったら見るに堪えない。ボロボロのスカーフを首に巻いて、頭のあちらこちらで立つ寝癖。傷んだ髪の毛にクマの酷いギョロっとした目。


落ちるところまで落ちたわね。あの頃のイケメン好青年皇子の面影はどこに行ったのやら。


ってかすっっっっっごいこっちを見てるわね。私になにか恨み…というより怨みでもあるのかしら。


その前になんで私の事見えてるのよ。


まぁ、ここにいる異世界人たちを見れば理由は単純。どうやら私の懸念は的中、とまでは行かないけど、ある程度当たっていたみたい。


まさかのカルナが堕神に取り憑かれているようだ。それで変な力まで手に入れちゃって世界を行き来。その際の質量交換であっちの世界に持っていかれてしまったのがHWA-00という訳ね。


国ぐるみで何かしら堕神やら邪神やらとつるんでいたら何かとマズかったけど、国の中でも上の人、その中でもたった四人であれば消されてもそこまで大事にならないわよ…ね?


トップが入れ替わるだけだものね。そんなの独裁国家だとよくある話よね。


「それでは早速第一試合を開始します!!南極国ナズル、日本国鏡花、ステージへ!!」


進行役の指示に従って両サイドから選手がステージに登場する。


相変わらずガラの悪いナズールと、育ちの良さが見てわかる鏡花の試合。あまりの対極な容姿に、ナズールは普段よりさらに薄汚く、鏡花はより一層美しく見える。


「はーん。世間知らずの嬢ちゃんか。俺も前いたところではよく世話になってなぁ……」


「別に聞いてないわよそんな話。」


「ツンツンしてられんのも今のうちだぜ?数分後には…いや、数時間後にはあんたにはいい声で泣いてもらうんだからなぁ……ォホッ。」


「うへぇ……」


相変わらずの生理的に受け付けられないような気持ち悪さを見せつけてくるナズールに鏡花の顔が歪む。


きっと闘うとはいえ触りたくすら無いであろう。それでもこれは親善試合などではなく本当の戦い。国を背負った戦である。


「それでは両者!!起動開始!」


二人は片手に持ったキーを胸にある穴に嵌め込んだ。そして豪華な演出と共に露になる二人の装着後の姿。


なだらかな金髪がふわりと舞って、紅くエアロの多い機体も相まってフェニックスのような美しさが会場の空気を無にかえす。


そして趣味の悪そうな黄金の光が辺りを包み、その光源から姿を現したのは、装甲面積のかなりある探索者鎧のようなナズールの姿。


大きな斧を肩に担いで誇らしげに仁王立ちをする。


良かったわねナズール。まるでAランクシーカーみたいに見えるわ!!夢が形だけでもかなってるみたいで良かったわね。


なんて思ったり思わなかったり。


「速攻で終わらせるわ。」


「ぐふっフヘヘヘヘッ」


対面する二人、鏡花は腰に差した剣を抜いて構える。ナズールは片手で担いだ斧を両手に持ち構える。


そして主審の手が上がる。


「試合開始!!」


この声と同時に二人の姿は目視が難しいほどの戦いに身を投じることとなった。


「ウォォオオオオりぃゃぁあッ!」


「ハァァァアアアッ!」


ギィィンッ…キィンッ…


重い金属と軽い金属の交わる音と、二人の気迫の籠った声だけがこのステージに響き渡る。


見た目通り、全くタイプの異なる二人の戦いがどうなるかは観客にも私にも分からない。


重装備で相手の軽めの斬撃を耐えきり、タイミングを見計らって大きな斧を振り下ろすナズールと、フィールド全体を駆使して、ナズールの死角からどんどん攻撃を当て続ける鏡花という構図。


前までの一直線で終わりなんて言う攻撃からは成長した鏡花の姿に観客は驚きを隠せないでいる。


攻撃は軽くても、確実に同じポイントを狙い続けてダメージを蓄積させている鏡花。


一方で相手の動きが鈍るまで耐え切ろうとするナズール。


壮絶な戦いに思わず皆が無言で見入る。


散る火花と鏡花の靴の摩擦熱による焼けたゴムの匂いが辺りを包む。


大きな図体の後ろから項を掠められて左に振り向くナズール、そして振り向いた先に鏡花はおらず、今度は右脇腹を掠められる。


ナズールの目は鏡花のスピードに追いつくことが出来ず、鏡花の底知れぬ体力はつきる様子もない。


「クッ!?ちょこまかと!!いつになったら体力切れやがる!?」


『そりゃ毎日大輝達とランニングや、玲奈に梨衣奈とのトレーニングで体力を付けてきたんだもの。』


しかし鏡花としては早く終わらせたいことに変わりはない。体力はいつか底を尽きる。しかし相手が相手で重量級のため相性が悪い。


鏡花の軽い一撃では他の選手よりも圧倒的にダメージ蓄積効率が悪い。


外から見れば圧倒的に鏡花有利にも見える戦いではある。


しかし、もちろんこれで終わるナズールでは無い。


自分の向く方向を逆手に取られて攻撃されると分かれば、あえて視線を誘導させて対極に来る位置に、長い事耐えて掴んだ、彼女が襲ってくるタイミングを見計らって斧をすっとかまえる。


「ッ!?」


重い斧の俊敏な反応に、自分から体を突っ込む寸前であった鏡花は地面を蹴り上げて大きく起動をそらし、自らステージ袖へと吹っ飛んだ。


ここで初めて鏡花が距離をとって動きを止めた。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」


『危なかった。あのまま彼の反射に気が付かなかったら私は今頃希望の元に一名様ご案内されているところだったわ。』


トレーニングをしていたとはいえ流石にここまで上下左右に体を反復させていれば相当のGと体力がかかり、一度止まってしまうことで身体が次の一歩を踏み出せなくなっている。


無理に跳ねて体を捻ったことで負担も相当なものになっている。


『でも…』


「原理が分かればこっちのもんよ。体力には自信があるようだが、パワーが足りねぇな。」


「……はぁ……はぁ……」


「さ、夜は楽しみにしてるぜぇ?ウォラッ!!」


ズンズンズンと足音を立てて近づくナズール。振り上げた斧は太陽と重なるところまで持ち上げられ、


ズガァァアアン……という重い斬撃音





……を誰もが予測していたが、そうとはならなかった。


そして…


「第一試合勝者!!日本国代表!!西条鏡花!!」


「なんだとっ!?」


ナズールは既に戦が終わっていたことを知らなかった。ナズールの持ち上げた斧は斧でなくただの空気。


そう。既にナズールの機体は許容ダメージ数を超えて武装を解除させられていたのだ。


「思ったより重くて…大変だったわ……」


息切れが少し落ち着き、鏡花は胸にハマったキーを取り出して武装を解除した。そしてその場に座り込んで片手を上げた。


ワァァァアアアアという大きな歓声が同時にスタジアムの地鳴りとなってステージを襲うのであった。


「クッ……」


納得のいかない様子で自分の陣地へと戻っていくナズール。それもそのはず、自分はほとんど攻撃をさせて貰えず、痛くもない攻撃を受け続けていたら負けたのだ。


力を出さず、いや、出して貰えずに負けたこの感覚はなんとも言えない難しい感情の上に立たされているに違いない。


「なんとも言ったわよね?ナズール。戦うだけじゃないわよって。」


「知らねーよそんなの。最後に生き残ったやつが勝つ。俺は体力まだまだありあまってる。一方あいつは体力がそこを着いていた。傍から見れば俺の勝ちだろうが!!」


と、いつか見た痴話喧嘩のような会話も二人の間では健全だったようだ。


「まぁいいわ。見てなさい。」


シールズは立ち上がり、ステージに登った。


「さぁ、続いて2回戦。南極国側、シールズ。日本国側、勇陽玲奈。ステージへ。」


対面する二人。互いに見覚えのある顔に難しい表情。


「あなた、あの役たたずがいた時の貴族魔法使いね?まさかどうやって異世界まで来て私たちに顔を見せてきたのやら。」


「逆に私が気になるくらいですわ。あなた方はなぜ、どうやって神の力を使用できたのでして?」


「両者静かに!!これより第二回戦を開始する!!はじめ!!」


お互いに試合の始まる前から牽制し合うピリピリした空気に主審が手を上げて早速試合を開始させる。


二人はキーを胸に装着して機体を起動させた。


向こうの騎士団のような、しかしそれよりは軽く動きやすいような鎧を纏い、鋭く細く伸びたレイピアを玲奈は構える。


シールズはと言うと、いかにもなイメージ通りの紫ボディと黒のムチ。夜の女王様と言っても差し支えないであろう。


またまたこちら陣営にとっては相性の悪い相手である。近づくことを許さない長い鞭をどうやって攻略するかが鍵となる。


「手加減はしませんわ!!」


「いらっしゃいお嬢ちゃん。」


玲奈は宙に舞ってシールズの周りを周回する。


そしてシールズのムチが動いたところを見計らって稼働し得ない方向へと急加速、そして懐に潜って蜂の如くレイピアを────


ピシィィッ……


「キャァッ!?」


ドスッ……



甲高い打撃音と同時に悲鳴が上がり、玲奈が地面に落とされた。


「何故懐にまで鞭が届いて……」


鞭は中距離にいる敵に対して絶大な効果を与える一方、懐に入り込まれると、そこに攻撃をすれば自滅する可能性も高く、弱点になりうる。


故に大抵の長い鞭は使用者の懐が安全地帯であり、玲奈も長い一本のムチの軌道を読んでシールズの懐に入り込んだ。


もちろん鞭の軌道を読んで懐に入り込むなど、鞭の先端が音速に達すると言われることからそもそも人間離れしている技な訳だが。


しかしそんな弱点でない弱点はシールズも対策済みであった。


さすがは堕神の元で鍛えただけある。


シールズのもう一方の手には短い、剣程度の長さの鞭が握られていた。


競馬でよく見るヤツだ。


「誰が鞭一本で戦ってるなんて言ったかしら。」


「クッ……」


玲奈は跳ねるようにその場から離れてシールズの動きを見計らった。


彼女の360度はまるで魔獣を拒む聖なる障壁のように近づくことは出来ず、何とか中に入ればそこに来ることを見計らったかのように襲ってくる騎士団のごとく、その要塞は夜に生きる、門がガバなシールズとは思えないほどに守りが固かった。


これは最高に相性が悪い。貫くことに特化し、紐を断ち切る能力に長けてはいないレイピアには尚酷である。


距離を詰めてくるも逃げるしかできない玲奈。レイピアで紐を括らせてダメージを喰らいながらの攻撃など捨て身の動きなど、何とか考えて色々な手を打つが、万事休す。


圧倒的はソニックブームに身体をはたかれ地面に沈む。


それは観客誰もが圧倒的不利に同情した。


「ま、参りましたわ……」


「勝者!!南極国、シールズ!!」


会場はとぼとぼと舞台袖に下がる玲奈を責めることなく、拍手で送り出したのだった。












いかがでしたでしょうか?


今後頻度はまちまちになると思います。少なくとも次話投稿まで二週間は空けないように心がけてまいりますのでよろしくお願いします。

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