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ドラゴン(1)

この章には、人体への残酷な表現が含まれています

ご了承の上で読んで下さい

ジュノ国が存在する遥か昔

とある森の奥に、ドラゴンが存在していた

ドラゴンの加護により

その森で動物が実や草木を食べると、不思議と傷が癒え、長命となる程だった


時が経ち、森の近くに人の村が出来た

村人達は狩りをしに森に入った

捕まえ損なった怪我をした動物を追い掛けた村人達は、驚愕した

怪我で動けなくなった動物の前に、白い光で覆われた…大きなモノがいた

ソレが与えた果実を動物が食べると、瞬く間に傷が治っていった

ソレは白い光で覆われていたが、確かに村人達は見た

体の全てが白く輝く、ドラゴンの姿を…


それから村人達は傷を治す為に、森の果物を取る様になった

だが、村人達が取り過ぎた所為で動物が食べれなくなり、ドラゴンは怒った

それからというものの…

村人達が取ろうとすれば、触れた途端に果実が腐ってしまう様になった


ある時、1人の村人が傷を治してほしいと森の中で願った

ドラゴンは姿を現し、加護の力が宿る水晶を渡した


〔果実は与えぬが、コレに触れれば治る〕


村人が水晶に触れると、瞬く間に傷は治った

その事が村中で知れ渡り


《果実じゃない、ドラゴンが傷を治せる》


そうして村人達はドラゴンを崇めるようになったが

1人がある事を考えた


ドラゴンの加護を受けた者は、不死にもなるんじゃないか?


村人達はそれを信じ、不死になりたいと願ったが

そんな事は出来ないとドラゴンは応じなかった


何故加護を授けてくれないっ!?

何故不死となるのがいけないんだっ!?


そんな欲望に駆られた結果…


ドラゴンを殺して、その血肉を食べれば不死になるのでは?と考えた


そして

ドラゴンが飲み水とする池から離れた場に足を縛った動物を囮にした

動物の叫び声にドラゴンが反応し、池を離れた隙に薬草で作った猛毒を入れ

ドラゴンは…、死に絶えた


だが、ドラゴンは光の粒となって1つの水晶に

村人達は歓喜し、水晶を持ち帰ろうとしたが…


森から出てきたのは

血塗れになった、たったの1人


『水晶には…っ!絶対に近付くな!』


他の者が森に入ると、果実が腐らず触れれる様になり

ドラゴンが死に絶えた所には、大きな祠が出来ていた

誰にも読めない字で書かれた札で扉が封じられており

隙間から中を覗けば、白く輝く水晶のみが鎮座していた



数年の時が経ち…

森は、決して実が枯れない不思議な森となっていた

そして…

《水晶には近付くな》と途切れる事無く、言い伝えられていた


ある時

畑が飢饉に陥った為、果実を取りに村人達が森へ入った

奥へ奥へと進んでいき、1人が祠の地に着いた


『(言い伝えは、水晶に近付くなとだけ…)』


好奇心に駆られた村人は扉に貼られている札を乱暴に剥がし、扉を開けた

瞬間


「うぁあああああああああああっ!?」


森に叫び声が響き渡った

駆け付けた村人達は驚愕し、恐怖を抱いた

その者の姿…表情は、口に出すのも恐ろしい程の状態になっていたのだ

祠の扉は誰も触れる事無く…、ひとりでに閉まり再び札が貼られた

それ以来、祠…森の奥まで立ち入る者は誰一人いなくなった


ある時

幼い子供が鳥を追い掛け、祠の地まで入っていった

村人や親が駆け付けた時には、子供は祠の中にまで入っていた

…だが


「坊や!?」

「! お母さん!」


子供は祠から出てきて、母親に抱きつく

皆が驚いた

過去に、扉を開けただけで恐ろしい死に方をした者がいた

なのに…


「坊や!?どこか痛いところは無い!?」

「お母さん?どうしたの?」


子供には、一切の傷が無い


「無事ならいいわ。さあ、お家に帰りましょう」


村人は茫然と親子が帰っていくのを見送る


『(何故だ、何故あの子は死ななかった?)』


1人の男が、開きっぱなしの祠を見ると白く輝く水晶が

男は一瞬でその水晶に目を奪われた


『(…欲しい)』


そう思い、祠に一歩踏み入れた瞬間


「! うわぁああああああああああああっ!?」


男が頭を抱えると、手足からブシュッ!と血が噴き出す

服が内側から血で赤く染まっていく

続け様にガンッ!と硬いモノ同士がぶつかった音が

男が後ろによろめき、祠から少し離れたところでバタンッ!と倒れる

男の姿を見た村人は戦慄した

頭は何かに殴られた様に大きく凹み、目を見開いている

服では吸い取りきれない程の血が、地面に広がっていく

村人が恐怖で震える中


「あ…が…う…」


男は、まだ生きている

指先だけを動かして助けを求めるが、誰1人動かない


「(もし近付いて同じ事になったらっ…!)」

「(子供は無傷だったのに、どうして…っ!?)」


そんな考えが村人達に駆け巡る

すると

ブチッ…、ミチッ…

何かが千切れる音が


「…あっ!?…ぁ…っ!」


男が掠れた声を発しながら、のたうち回る

その音は鳴り止まず

見開いている目や耳からも血が流れ、男の周りには致死量以上の血溜まりが

そして

男の首に赤い線が走ると、ボトッ…ボトッ…ボトッ…

首と四肢が体から取れた


やはり、祠には…っ!

ここには来ては行けないっ!!


「「「う…っ、うわぁああああああああああっ!!!」」」」


村人達は縺れる足で必死に森から逃げていった

そして再び、《祠には近付くな》と言い伝えられる様になった


しかし、何故あの子供は無傷で帰れたのかと考えた後

その子供には不思議な力があるとされ、村人達は崇める様になった

大事に育てられ、時が経って大人になり、子供が出来た

最初に崇められていた男が死んでも、不思議な力はきっと受け継がれていると

村人達はその一族を崇め続けた


それから数百年の時が流れ、村は発展し国となった

その一族は王族となり、国を治めている

建国する為に周囲の森を伐採したが、唯一…祠のある森には一切手出しはしなかった


そして、数千年経った頃

言い伝えはもはや、御伽噺と言われ

その森は度胸試しの場となっていた…

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