だいすきっ! エピローグ
思い出の指輪だけをわたくしたちに残し、お姉様は森と一つになってしまわれた。
わたくしたちは寂しさを感じる暇もなく、裁判にかけられるだろう。
だけどそれは正当なこと。わたくしもくすねも逃げるつもりはない。
「そうは問屋が卸さないってな……」
「リリさん?」
「那波大臣のお目見えだ」
そう言って彼女の後ろから顔をだしたのは、わたくしと同い年くらいの男の子だった。
「えーとテレビとかで見るのとは違うけど、これが那波澄男大臣」
「は?」
「こんにちは。お嬢さん」
娘の仇ともいえるわたくしを冷静な目で見ながら彼はお辞儀をする。
どういうことですの?
リリさんは困った顔で説明する。
「そういう魔女なんだよ。大臣は」
「自己改造ではなく力の制御不能……私は政治家としては有能だが魔女としては最低でね」
「で、自分が魔女だから魔女の不祥事もみ消しには躍起なんだよ」
わたくしはその言葉で自分が裁かれないことを知った。
くすねも同じだったようで、わたくしの横で呆然としている。
わたくしたちの罪は、自分で裁くしかない。
「追い詰めてしまったねお嬢さん。一応私から助け船を出そう」
「大臣?」
リリさんが訝しげにする。後ろにはいつのまにかまるかさんや不死商人がいた。
「君達には今後、私の代わりに国の魔女達のところを回ってほしい」
「えぇーっ」
わたくしの代わりにまるかさんと不死商人が驚く。
「それではマルで国家魔女」
「あたいも一緒な空気じゃないか!どうなってんだ」
「新たな不死商人を国家魔女に育てる……それが今回の恩赦の条件でもあるんだよ」
「じゃあ仕方ないな!」
「力はないですガお手伝いします」
まるかさんと不死商人は二人でにかっと笑った。
「物分かり良すぎですわ!」
「そ、そうですよー」
わたくしたちは割り切れない。だけど割り切らなくてはいけない。
それがお姉様のためでもある。
そんな気がしますの。
「そういえばこの町の魔女は……」
「後任はリリが務める」
リリがペコリとお辞儀した。申し分のない人だった。むしろわたくしよりずっと頼りになるでしょう。
「わかりましたわ……納得はしきれませんけど、貴方が言うのなら」
「わたしも行きますよー行けばいいんでしょうー!」
そして、わたくしたちは町をでることになった。
翌日の旅立ちの日、わたくしとくすねはあの指輪を指に嵌めた。
お姉様。
いつかこの指輪のこと、思い切り怒らせてくださいね?
そんなことを、二人、心に秘めながら。
「いやぁリリ悪いねぇ何もかも」
「いつまで消えてるつもりなんだよ」
「大臣が人魚君達に愛着持つまで?」
「お前、本当にクズだな……」
リリとまほろのその後は別件で書くような書かないような…




