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だいすきっ! 提案!

 人魚君がどうなったか、僕には簡単に想像がついた。

 鰐たちに連れていかれたのだ。きっとくすねは自分では手を下せなかったんだろう。だから……。

 でもくすねが手引きしたことには違いない。そのことを思うと僕は自分が今までしたことに対して後悔しかなかった。


「家族を自分で壊してしまった」

「あ?あぁ、確かにあんたたちは家族って言えるかもな……」


 家族だけど家族じゃない。それは僕が二人をいたずらに弄んだせいだ。

 素直に一緒に魔女として頑張れていればきっと違う未来があったはずだ。

 僕はきっと暗い顔をしていたのだろう、リリが励ますような声で言った。


「壊れたかもしれないけどさ、謝ることはできるんじゃないか?お互いに」

「謝る……」

「悪い思い出ばかりじゃないんだろ?だったら少しでもマシになるよう今でもまだ努力できるはずだ」


 リリの言うことはもっともだった。

 僕は首から下げた指輪のことを考える。悪い気持ちだけであげた物ではない。悪い繫がりだけではない。


「まほろ、鰐の目的はわかるか?」

「たぶん人魚君を使って森の力を手に入れたいんだと思う。人魚君は僕の次に森に適応している魔女だから」


 僕の弟子であり、この町で暮らしてきた人魚君は森との相性がいい。森の力が欲しかったら彼女を狙うのが一番だろう。


「そんな簡単にいくのか?」

「……いかない。僕ならともかく人魚君を使って森をどうこうしようとしてもただ術者と人魚君が死ぬだけだ」


 言っていて自分で頭がおかしくなりそうだった。

 あの森は普通じゃない。不死商人のランドセルと同等のこの世界の異物だ。

 いや、実際はこの世界が異物なんだけれど。


「どうする。鰐たちを殺すか、殺さないか。俺は……今回有事の際に鰐を殺す許可は得ている」

「殺害許可……那波大臣も把握済みってことか」


 どうやらあすみの父親に全て報告済みのようだ。

 リリの告白に人魚君がどちらにしろこの町で魔女を続けることは不可能なのだと僕は悟った。

 ならば僕はどうするべきだろう。

 もういっそ自棄になるか。

 大切な人達さえ残せればそれでいい。どうせ僕は壊れかけているのだから。

 不死商人のように誰かに力を譲って回復できることもある。でも相手が僕にはいない。そもそも僕が強力すぎて代償や適性が思いつかない。


「なぁ、まほろ……あんたの体、もうダメなのか」

「自分に対する記憶の改ざんをやり過ぎたからね。いくら僕でももう無理だよ」

「そこで考えたんだけどさ」

「なんだい」


 僕が尋ねると、リリは言いにくそうにその提案を話し始めたのだった。

 

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