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介護士、目を見張る~聖女の護衛騎士の座は激戦?

10月21日不要な箇所を削除し、何箇所か並べ替えしました。

 オリヴィオ様との朝食の後、セレスさんに伴われて初の勉強に挑んだ。


魔法の基本理論を軽く学んで、試しに使ってみる事に。


そしたらまぁ、驚いたよ?

魔力も体力も半端なくあるのは数値的に見たんだけど、さらっと使えちゃうんだから。


喜んだ先生がやたら張り切ってしまい。

なんと、午前中に用意して頂いた教材本をやりきってしまったんだ。


感激しまくったその方、なんと銀縁眼鏡を外して跪くから驚いてしまう。


“オルトス=アーヴァングと申します。是非とも我らが魔術学校にてご教授願いたく……”


この先生、魔術学校の筆頭教授なんだとか。


あまりに必死こいて懇願してくるから根負けして、シャスティン様に許可が貰えたらと濁しておいた。


もう少し苦労するだろうと思っていたのにこれだから笑えない。




セレスさんや侍女の皆さんが褒め讃えてくれるんだけど、凄い事をしたって実感がない。


「この教本はアーヴァング伯爵の魔術学校のもので、初歩から上級までをあの方が自身で必要な箇所を抜粋した王族教育用なんです。

初日で全部出来てしまうなんて、シャスティン王子でも無理なんですわ」


へえ、オルトス教授って伯爵だったんだ。


「……お恥ずかしながら爵位ってイマイチわからないんだけど」


「ふふっ、おいおいお教えしますわ。オリカ様は聖女様でいらっしゃるのですからその地位は国王や大神官と同等か上でいらっしゃるんです。ご安心下さい」


聞いて冷や汗が出たのは言うまでもない。


「私にお任せ下さい。身分が高い方は侍従に任せるのが普通なんですわ」


「セレスさん、貴族のご令嬢でしょうに」


「ええ。でも栄誉ある聖女様のお付になれたんですもの!ぜひ堪能させて下さいませ」


セレスさんは嬉しそうだし、まあツッコミは入れないでおこうかな。


「オリカ様、此方では名前呼びは親密な関係であるのを示しますので避けた方がよろしいかと。アーヴァング教授とお呼びになっては?」


「わかった。そうしてみるよ」




 昼食はセレスさんやレオ君と頂いて。

夕食はまたオリヴィオ様とシャスティン様が来て下さった。


来て早々、オリヴィオ様の口からとんでもない事が告げられた。


「オリカ殿、護衛騎士の選抜を行いますので明日の午後は予定を入れないで下さいね」


オリヴィオ様が言うと何でもない事みたいに聞こえるから凄い。


「って、オリヴィオ様と私って今朝会ったばかりですよね?

そんな私の為に多忙でいらっしゃるのに手配して下さったんですか?!」


本当に申し訳なくなる。


「ふふっ、悪友とシャスティンが既に話を通してくれていましてね。

騎士団長はかなり乗り気で。騎士達に話した所、希望者が多すぎて決めかねてましてね」


ひとまず私の身の回りをしっかり地固めしたい、というのが国王様の意向のようで。

私は苦笑まじりに頷いた。




「宮廷魔術師には私から話しておく。聖女にではなく、オリカの力になってくれそうな魔術師に心当たりがあるんだ」


魔力が有り過ぎて飽和状態である自分に結構頭が痛くて、どうにかしたい。


そう話した私にシャスティン様は笑顔になって頭を撫でてくれた。


聖女ではなく、私にと考えてくれる。

そんな彼の思い遣りに胸が熱くなった。


「シャスティン様、忙しい中無理なさっていませんか?」


充分よくして貰っているから、気にせずお仕事に向かって欲しいと暗に告げれば。


「オリカと一緒に居たくて詰めた仕事はしたが、後から困るような真似はしない」


と、にこやかにまた頭を撫でてくれた。


どうしよう。

シャスティン様の包容力にくらっとする。




 ふわついた気持ちを抱えていたせいか、時間はあっという間に過ぎ去り。


「なんでこうなった」


今、私は何故か騎士団長に熱い抱擁をされていた。


「ロドリゲス、私の前でその所業……覚悟はいいですね?」


ってあれ?オリヴィオ様の足元の床がなんか盛り上がって……顔もなんか殺気立ってる?


よく見ると土の魔力が集まってて、思わずオリヴィオ様に叫んだ。


「オリヴィオ様落ち着いて!」


これにはっとしたように表情を和らげた。


「……そうでした。先ずはオリカ殿を下ろしなさい。闘技場でいいですね?」


筋骨隆々とした騎士団長が、中肉中背のオリヴィオ様に威圧されているという珍しい絵面に驚きながら、


「行こう、オリカ」


シャスティン様に手を引かれて歩き続けた。




長い廊下を抜けて、開けた場所に着いたと思ったら。

周囲からわっと歓声が降ってきた。


「静かに」


騎士団長は手を上げてそれを制して周囲を見回した。


円形のそこは周囲の何処からでも闘技場の様子が見れるようになっていて。

その中央に居る私達を囲むように騎士達が集まってくれていた。


「あの、騎士団長」


「ロドリゲスです」


って、この人もか!名前呼び好きな人多すぎだよ。

半ばヤケクソで続けた。


「ロドリゲス様、皆様に自己紹介させて下さい」


守る対象になる私という人間を、きっちり見極めて欲しいと思うから。




オリヴィオ様とシャスティン様には少し離れてもらって、周囲を見回した。


注目されるのは慣れてないしちょっと萎縮するけど、意識的に背筋を伸ばす。


「皆様お忙しい中集まって下さって有難うございます。私はオリカ=イズミと申します」


そこで言葉を切って、ぐっと裾に隠れた手を握った。


「どういう説明を受けていらっしゃるかは分かりませんが。

聖女と言っても今、この世界に必要とされても居ない身。その上右も左もわからない異世界人です」


オリヴィオ様が駆け寄って来たけど、頷いて続けた。


「有難い事に陛下が城に住む許可を下さいました。

私はそれに報いるべく動きたい。ですがお恥ずかしながら今の私には自衛手段がありません。

どうか、皆様の力を貸して下さい。お願いします」


言い終えると同時に、シャスティン様やオリヴィオ様の制止を振り切り深々と頭を下げたのだった。




 頭を下げたまま、反応を待つ。


「聖女が頭下げないで下さいよ。肩の力を抜いて、ホラ」


ぽんぽん背中を叩かれた。


「あれ、貴方一番後ろに居ませんでしたか?」


顔を上げて声の主を確かめれば、視界の隅に居た赤金色の髪の青年で驚かされる。


「実は出ないつもりだったんですけど」


苦笑しながら頷くと、私に向き直った。

髪と同じ赤金色の目は優しく見下ろしている。


「聖女様、イイ奴だなあと思って」




「オラトリオ!」


騎士団長が驚いて叫んでる。

あ、よく見たら目元が似てるかな?


「ロドリゲス様のご子息でしたか」


「はい。親父は、まず俺に話をしたんですよ」


「断ったって事ですか?」


なら、何故彼はここに。


「騎士団長の身内だからと思われるのは癪で、一度は断りました。

ですが、守る対象があんたなら悪くない。俺も選抜に加えて下さい」


言って深々と頭を下げる。

勿論、すぐに顔を上げさせた。


「元より守って頂く身、自発的に参加下さるなら否やはありません。申し出、有難うございます」


嬉しそうに頷く彼は、何故か誇らしげに笑った。




 五時間に渡る試合の結果、オラトリオと小山のような青年が勝ち上がった。


「ジオヘルグと申します」


生真面目に名乗り出ると恭しく跪く。


「明日から2人と十番隊の者が護衛に就かせて頂きます。改めてよろしくお願いいたしますオリカ様」


後から選抜試合の参加人数を聞いて、オリカは言葉にならなかった。


「150名ですか……騎士団の精鋭中の精鋭ばかりが挑んだと聞きます。流石オリカ殿ですね」


オリヴィオの含んだ笑みが引っかかり、尋ねる。


「流石ってなんでしょう?」


「彼らはロナウドにかなり引っ掻き回された最たる存在なんですよ。貴女の境遇に同情的で、一種の同族意識さえあるようだ。これからはより強力に後押ししてくれる事でしょう」


二人のやり取りを見ながらセレスティアはまた興奮していた。


"宰相様だけではなく騎士団からも好意的にされるなんて"


有り得ない事ばかりが起こるから、楽しくなる。

これが【聖女】という存在なのかもしれないと内心ひとりごちた。


「さ、オリカ様。お部屋に戻りましょう」


謙虚で優しい主人に、恭しく提案する。


夕食の献立を説明しながら先導を始めたのだった。



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