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ひまわり  作者: うっちー
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転校生は幼なじみ?

「またあの夢か…」

そんなことを思いながら、僕・片桐陽也(かたぎりはるや)は今日も目を覚ました。

それにしても今年の夏はあまりにも異常すぎる。僕は毎年夏になると、7年前に沖縄へ引っ越した幼なじみ・上原歩海(うえはらあゆみ)の夢を見る。何故かは分からないけれど、おそらく彼女と最初に会ったのが夏だったからだろう。それに、彼女が引っ越していったのも夏だったし、歩海と僕との思い出はほとんどが夏の出来事だ。ともかく、僕はその夢を毎年1回は見ている。ところが今年はどういうわけか夏休みに入ってから毎日見ているような気がする。今日は8月15日だから歩海の夢を見るのはこれで23回目ということになる。

一体、どういうことなんだろう?と考えていたその時、

「ブーッ」メールの着信音が鳴った。誰からだろうと思ってチェックすると、同級生の矢島暁人(やじまあきと)からだった。

「今日のカラオケの集合場所、1時に川崎でいい?」

そうだ、すっかり忘れていた。今日は午後から暁人とカラオケに行く約束をしていたんだっけ。僕はすかさず「了解」と返信した。

しかも今日は合唱部の美雪さんも来ると言っていた。彼女はどんな歌を歌うんだろう。

そこで僕はふと思い出した。美雪さんは将来大学で夢の研究をしてみたいと言っていた。もしかしたら今朝の僕の夢も分析してくれるかもしれない。今日会ったら聞いてみよう。


「やっぱりカラオケはいいわね。合宿明けてから2週間ぐらい歌ってなかったからすごく気持ちいいわ」

さすが合唱部というだけあって、美雪さんの歌声は透き通っていた。美雪さんは僕たちが生まれた頃に流行ったポップスをよく歌っていた。曰く、最近の曲はよく分からないらしい。

帰りがけ、僕は今朝のことを話した。すると、

「なんか悪いものに取り憑かれんてんじゃねーの?」と暁人が言った。すると美雪さんは、

「いや…予知夢って可能性もあるわね」と冷静に言った。

「予知夢?」

「ええ。好きな人が頻繁に夢に出てくるということは、これから好きな人と良いことがあるかもしれないって本に書いてあったわ」

「そうなんだ…」

「ところで話は変わるけどさ、2学期から転校生が来るって知ってる?」と暁人が切り出した。

「転校生?」

「ああ、そういえば…一昨日職員室に知らない16、7の女の子がいたって友達が言ってたわね。へぇ、転校生なのか」

「噂によれば超美人らしいよ。沖縄から来るって噂もあるらしいぜ」

「えっ?沖縄から?」僕は思わず暁人に聞き返した。

「ん?陽也、どうした?」

「ううん、なんでもない」

「そうか。じゃあ、2人ともまた2学期に!」

「じゃあね」そう言って僕たち3人は川崎駅で別れた。

それにしても気になるのは暁人の言葉だ。「沖縄から転校生が来る」

もしかして、歩海が戻って来るのだろうか?でも普通に考えればそれはあり得ないだろう。転校生はたいてい見知らぬ人なのだから。

そんなことを考えながら、僕は家へ帰った。

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