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プロローグ
「私、来月沖縄に引っ越すんだ」
7年前の夏、彼女は僕にそう言った。
それを聞いた途端、僕の頭の中は真っ白になった。
3歳の夏頃からずっと一緒だった彼女。
どんな時もそばにいてくれた彼女。
それが当たり前だと思っていた。
でも、その彼女はもうすぐいなくなってしまう。僕はどうしていいか分からず途方に暮れたまま引っ越し当日を迎えた。
「私、陽くんのこと絶対に忘れないよ」
羽田空港で搭乗案内を待つ彼女の目には、一筋の涙が流れていた。
「僕も歩海のこと、忘れないよ」
思わずもらい泣きしそうになったその時、
『全日空 沖縄那覇行き753便をご利用の方は、9番搭乗口へお越しください』
というアナウンスが流れ、
「じゃあ陽くん、元気でね」
彼女はそう言って搭乗ゲートへ消えていった。
初投稿です。
拙い箇所もあると思いますがこれからよろしくお願いします。