こん太の庭掃除
キツネのこん太が居間でごろごろとしていると、お母さんがやってきて部屋のようすをみて怒りました。こたつの上にはミカンの皮や飲み残したジュースのコップが出しっぱなし。床には本やおもちゃが転がっていて足のふみ場もないくらいだったからです。
「もう、こん太。冬休みだからって、ずっとこたつに入ってぐうたらしてばかりじゃだめじゃない。使ったものも出しっぱなしにして」
「だって寒いんだもん」
「冬なんだから当たり前でしょ。それに、お母さんなんて朝からずっと動きっぱなしで寒いなんて感じてる暇もないわよ」
「はあい・・・」
「分かったらここを片づけてちょうだいね。そうそう、ここが終わったらお庭のそうじもお願いね。また枯葉が散らかっちゃってるから」
「えー、外はさむ・・・」
「なに? 言いたいことははっきり言ってちょうだい」
「なんでもない。分かったよやるよ」
「それじゃお願いね。ああ忙しいいそがしい」
お母さんはいそいそと部屋を出ていきました。こん太はめんどくさそうに起き上がると部屋の片づけを始めます。からだを動かしてみるとだんだんと温まってきたので、こん太はなんだか元気になってきました。そしてあっという間に部屋の片づけを終えると、庭に出て枯葉のそうじを始めました。外の空気は冷たかったけれど、風もなく、お日さまはぽかぽかとしてとってもいい気持ちです。
しばらくすると、お母さんが洗濯物を抱え庭にやってきました。洗い終えた服を干すためです。そこに、こん太の姿はあらず、庭の枯葉はきれいに掃き集められていました。ずいぶん早く終わったのね。お母さんが庭を眺めてみると、すみの一画の枯葉が散らかったままになっていました。
「あの子ったら、また途中で飽きちゃったのね。ほんとうに仕方がないんだから」
お母さんはぶつぶつと言いながらそこに行ってみると、枯葉のうえで二匹のちいさなトカゲが気持ちよさそうに日を浴びながらお昼寝をしているところでした。
「まあ・・・」
お母さんはそっとその場を離れると、こん太はどこへ行ったのかしらときょろきょろと辺りを伺いました。
「おやつにおいしいお汁粉をつくってあげようかな」
そうつぶやきながら洗濯物を干しました。庭はどこもお日さまの明かりでいっぱいで、洗濯物もよく乾きそうです。