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東方・幻想書紀  作者: 平民
3/9

化物の相手

はい、2年前のストックはまだあるのでもう少し……あと2話くらいかな。投稿されます。でもそれが終わったらもうないです、展開も思いつかないです。

「ん……ぅ……あれ、ここは……?」

 少女は、目が覚めると木の下にもたれかかっていた。側には彼女には少し長いであろう刀が置いてあった。

「あぁ、よかった。刀もある。それに髪飾りも」

 少女は、着ていた服についた少しの土を払い落とし、歩き出した。そこに明確な目的はなく、ただ歩き出しただけだった。



 同日の昼、博麗神社境内にて

「ん?いま何か……」

 神社には今青年が一人。霊夢は買い物に行っていて不在である。そんな時に、彼は何かを感じ取った。

「暇だし、正体探しと行きますか」

 誰にでもなく言うなり、彼は置き手紙を残し、神社から飛び去った。



 同日昼過ぎ、人里外れにて

「……あの子だな」

 青年の視線の先には、黒を基調とした和服を着て、刀を持っていた少女がいた。確信した後、彼は気配と姿を消して近づこうとした。その瞬間、少女は振り向いて、敵意をむきだしにして青年に刀を向けた。彼の姿は見えていないはずなのに、である。

「……どうしたもんかな」

 とりあえず、彼は両手をあげて戦意がないことを示しながら姿を現した。

「姿消して気配も消して女の子についてくるとか、変態なの?」

「いや、違うんだけど……」

 呆れながらそういうと、少女は納刀し、青年に近づいてきた。

「……」

 そして、彼のことをじっと見つめた。

「何さ」

「いや、強そうだなって。だから、さ」

 少女は青年の視界から消え、次に姿を現した時には既に青年を斬ったあとだった。

「私の遊び相手になってよ」

 青年から血が飛び散り、そのまま体は倒れた。しかし、少女は近づかない。それどころか、距離を取り様子を見ていた。

 結果から言うと、その選択は正解だった。青年の周りの空間にいくつもの斬撃が走った。

「……やるね」

「それはどうも」

「でも、あれじゃ俺は殺せない。さっきのが全力か?」

 また、青年の挑発が始まった。そういえば、なぜ挑発するのか。それは、相手のペースを崩し己のペースに乗せることで、なお戦いやすくするためだという。そのままである。

 だが、少女はそれに乗せられなかった。未だ正常を保ったままで、青年に斬りかかってきた。

「……遅いな」

「そう思った? ならあなたの負けだよ」

「何を……がはっ!?」

 青年が避けた斬撃と同時に、彼が避けた先にも斬撃が襲いかかっていた。燕返しのような攻撃、それは見事に急所を捉え、出血量も多かった。

 それを見て流石に死んだだろうと、少女が近づいたその時だった。少女の視界の下から手が伸びてきたと思ったら、彼女の視界は揺らいで直後に激しい痛みを体に感じた。いつの間にか、地に伏せられていた。

「……っ」

「はぁ……はぁ……死んだと思って油断したでしょ?残念でした」

 とは言いながらも、彼の体力は再生に半分近くを持っていかれていた。故に、このまま戦うことはできるのだが、続けるのは得策ではないだろう。しかし、少女にも戦うだけの意識は保てないようで、彼のことを「化物」とだけ言って気絶してしまった。

「……はは、化物か。いまの俺にはピッタリかもな……」

 青年は、どこか自虐的な笑みを浮かべながら一人、そう呟いて、気絶している少女を見つめた。それから間もなく、彼は彼女を抱え、神社へと帰っていった。



 博麗神社にて

「……それで女の子と戦って気絶させちゃったから、そのままにはできなくて連れて帰ってきたと」

「そうそう」

 青年が訝しげな表情の霊夢に何度も弁解しながら説明すること30分。やっと、その説明も終わった。が、霊夢は未だ訝しげな顔のままである。

「……それよりもさ、あの子なんだけど、しばらくここに住まわせてもいいかな?」

 青年にとってはここからが本題なのだが、話題の変え方が割と強引になってしまった。彼だけでは証明できない気まずさがあった故、だろうか。

「……私のお財布事情を知っててそれを言ってる?」

「……わかってるつもりだけど……」

「……あ、じゃああんたも少しは稼いできてくれたらいいわ」

「……仕方ないか。いつまでもタダ飯食らいは嫌だし、そこに一つ目的が増えただけだし」

 なんとスピード解決である。それからすぐ、少女が起きてきた。内心、霊夢と青年はドキリとしたが、少女が口を開いたのは、別の用件だった。

「……あの、さっきはごめんなさい。いきなり戦いを挑んだりして……」

「大丈夫だよ。気にしてないから、ね?」

「良かった……」

 怒られると思っていたのか、少女は気にしてないと言われて、安堵していた。

「あの……今更ですが、ここはどこですか?」

 そういえば知らないな、と気付いたのは言うまでもない。彼は博麗神社だと答えた。しかし

「はくれい神社?」

 少女は知らない様子だった。今度は霊夢が訊いた。

「あなた、知らないの? ここら辺に住んでるなら知ってるはずだけど……」

 少女は一瞬、何かを迷ったように考え、答えた。

「えと……結構遠くから歩いてきたから……」

「え……じゃあご両親は?」

「……」

 霊夢が親のことについて訊ねると、少女は黙って俯いてしまった。何があった、とは今は聞いてはいけないという結論を、霊夢と青年は各々即座に出した。

「無理して言わなくてもいいよ。誰にだって言いたくないことはあるから」

「……ありがとうございます……」

 青年のフォローで、重くなった空気は少し軽くなった。

「あ、そうだ。あなた、しばらくここに住みなさい」

 話題転換のため、霊夢は割と重要なことを言った。

「……え?」

 少女は、突然のことで理解が追いつかないといった様子だった。

「だから、ここに住みなさい。行く場所があるなら強制はしないけど」

「……いえ、無いです。無いですけど、お邪魔になるのは悪いですし……」

 どうやら、理解はできたが少女的には嫌なようだ。

「ないなら拒否権はないわ」

「えぇ……!?」

 こうして強引に住まわせることになったのは、おそらく霊夢も、彼女を放っておくのは気分が悪いからだろう。きっとそうなのだろう。そうだと信じたい。

「うぅ……よ、よろしくお願いします……」

 どうしようもないと、少女も諦めたのだろうか。博麗神社に住むことになった。

「部屋は……青年こいつの隣でいい?」

「え、あ、はい……どこでも良いです」

「襲われたらすぐに私に教えなさいよ?」

 冗談交じりに行った霊夢のその言葉に、少女は苦笑いを浮かべていた。

「……俺は部屋に戻るわ」

 女の子同士だからだろうか。初対面でもこうして話せているのは。しかしそれゆえ空気になっていた青年は、静かに自分に割り当てられた部屋に戻っていった。

 その後も、少しの間少女達は盛り上がりを見せて、いつの間にか仲が良くなったようだ。



 同日、夜

「さて……寝るかな。やることないし」

 青年が布団を敷いて就寝準備を整えていた時、彼の部屋の襖が開かれた。

「……」

 来たのは少女だった。

「どうしたの?」

「……あの……明日、剣の稽古をつけてくれないかな?」

 用件は稽古の指南だった。

「明日か……何も無ければいいよ。でもなんで、昼間に半ば殺しあった人に指南を乞う?」

 青年の責めるような口調になってしまったその疑問に、少女はゆっくりと答え始めた。

「……私がまだ小さかった時、両親は殺された。やったのはたぶん妖怪……」

 それは、少女が起きてから訊かれた、両親についてだった。

「そう言える根拠は?」

「……人の形ではなかったから。色んな妖怪がいたけど、真ん中に4尾の狐がいたのを覚えてる」

 嘘を言っているようではない、そう判断した青年は少女の話を静かに聞いていた。

 どうやら、暴れた妖狐に少女の住んでいた村は壊され、その結果、巻き込まれる形で両親も亡くなったらしい。もし犯人が本当に妖狐、それも4尾ならば簡単に死ぬことはないだろうから、自分の手で殺したい。これが少女の望みだった。それを叶えるために、昼間殺し合い、少女よりも強かった青年に指南を乞うたのだという。

「なるほどね……似てるな……」

 ふと、彼は呟いた。それを少女は聞き逃すことはなく、興味を持ってしまった。

「似てるって、何が?」

「え、あ、なんでもないよ」

 彼は咄嗟にそう答えた。具体的に聞けなかったことが不満なのか、少女は少しムッとしていた。

「さ、もう寝ろ。寝る子は育つというからな」

「なっ、もうそんな年じゃない……!」

 青年に子供扱いされたのが気に食わないのか、少女は反論してきた。がこれも、青年が弄るネタにされるだけである。

「でも寝ろ」

 こうして、無理やりに部屋から押し出された少女は渋々部屋に戻っていった。

「……まさか、な」

 少女がいなくなった後、青年は一人、以前夢に出てきた狐のことを思い出していた。もしも、村を壊し少女の両親を殺したのが青年の中にいる狐なのだとしたら、少女はどういう答えを出すのか。

 青年から言わせてみればただ一択の答えも、断言はできない。今考えても答えの出ない疑問を考えるのをやめ、彼も眠りについた。

前書きでも書いてますけど、あと2話くらいはストックがあるので投稿できます。つたない文章を読んでくれてることに驚きですよ、私。

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