急行列車
はじめまして、新成成之と申します。拙い作品ですが、少しでも多くの方が読んで下されば幸いです。
それでは、出発進行。
「降ろしてくれ」
そう叫んだところで降ろしてくれる訳もなく。無理に降りようとしても、無事でいられる訳もなく。俺しかいない車内を、ただ駆け回ることしか出来ない。
他の人が見たら笑うのかな。滑稽だって指を指すのだろうか。
「当然の報いだよ」
そう言われるのかな。何も分からない。分からないんじゃない。分かりたくないんだ。考えたくないんだ。もしそれを考えてしまったら、俺のこれまでが、全て無駄だったと認めてしまうことになる。俺の全てが否定されることになる。こんな状況でそんなの耐えられるわけがない。だから俺は無駄に駆け回っているんだ。
何年前だろうか、俺は夢を追うと急行列車の切符を握り締め、独りで乗車したあの日。あの日から俺の全てが狂い出したんだ。止まることのないその列車は、俺の想像を遥かに超える速度で景色を遠ざけていった。いつからだろう、それが怖くなったのは。いつだっただろう、その列車の終着点が無いのことを知ったのは。間違ってない。何も間違ってはいなかった。乗った列車も、駅も、時間も、それが一番順調にたどり着けるはずのルートだった。だからだろう、そんなものに頼ってしまったが故の今なのだろう。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
至らない点が多々あると思います。感想や評価を頂けると次に繋げることが出来ますので、是非ともよろしくお願いします。