夏のパラレルワールド
気難しいあなたがついにわたしに陥落した高温注意報な真昼。
今さら躊躇する汗に濡れた長い腕へ指を絡める。
鳥肌、ちぐはぐ、身震い、蝉の絶叫。
逃避行を誘う夏の空。
でも、あなたとわたしはここで結ばれる。
そして、歓びに勝る恐怖をあなたの言動に感じた。
わたしはわずかな唾を飲み込んで、あなたの狂気を先取り。
きっと受け止めきれないわたしはあなたを苦しめる。
そんな未来がはっきりと見えるの。
あなただけ
あなただけを
あなただけしか……
消えて、何もかも、あなた以外。
わたしの中にあなただけしか入れないで。
あなたを幸せにしたい。
わたしであなたを幸せにしたい。
逃避行を誘う夏の空。
でも、あなたとわたしはここで結ばれた。
どこにも行けないパラレルワールド。
夏の日差しにあなたの鳶色の瞳がきらめいて、わたしはもうどうしようもないから。
死んでもいいから、あなたがしたいようにしてください、なパラレルワールド。