表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽のような君へ  作者: ひで
小学校編
20/55

調査

 家に帰りひとまず維織を落ち着かせる。


「落ち着いたか?」

「……まだ信じられないわ。なぜ栗山さんはあんなことを」

「まあ……何か理由があるんだろうな」

「……なんで博人はそんなに悠長なのよ」

「悠長というか色々と考えてるんだよ」

「こんな時に何をよ」

「どうやって犯人って証拠を見つけるかなって思って」

「証拠ってまだ犯人も分かってないのに……まさか、分かったの?」

「ああ、多分当たってる」

「誰なの?!」

「花園だ。今回はちゃんと考えもある」

「何なの?」

「簡単なことだよ、栗山が俺達から離れるって言ったことだ」


 維織はあまりピンと来ていないらしく首を傾げる。


「言ってただろ栗山が、俺達とは一緒に居れないって。おかしいと思わないか?調べるのを止めて欲しいならそう言うだけでわざわざ俺達から離れる必要はない」

「それはそうだけど、でもそれがどう花園さんに繋がるの?」

「それも栗山が言っていた『花園と一緒に居る』っていうセリフからだよ。栗山は花園達とって言わなかっただろ?何でだ?」

「何でって、それは……」

「花園はクラスの女子の中心人物だ。だから花園と一緒に居るってことは周りの女子とも居るってことだろ?なのに栗山は花園としか言わなかった。まあ栗山は無意識で花園としか言わなかったんだと思うけどな」

「……どうしてなの?」

「ここからは俺の想像なんだけど」


 そう前置きをしてから話し始める。


「多分栗山はやってるのが花園だって気づいたんだ。その現場を見たのか、誰かに聞いたのか、自分で考え付いたのかは分からないけど、まあ多分見たんだろうな」

「どうして?」

「考え付いたなら俺達に相談しに来てるだろ。気づいたからって何も考えずに行動するような奴じゃないから」

「確かにそうね、博人とは違うものね」

「話の腰折るなって。まあそれでその現場を偶然見た栗山は同時に見ていることを花園に気づかれた。多分そこで花園に何か言われたんだろ」

「……私たちに言ったら酷い目に会わせるとか?」

「いや、俺達に何かするって言ったんだろ。そう言われたら何もできなくなるって花園は分かってたんだろうな」

「……最低ね」


 維織の目に怒りの火が灯る。


「だから栗山は俺達から離れることにした。俺達が花園から危害を加えられないように。それでも相談の一つでもしてくれたらよかったのにな……まあそこが栗山らしいと言っちゃらしいけど」

「……そうね」

「まあさっきも言ったけどこれは俺の想像だから。合ってるかは分からないよ」

「分からないなら直接聞けばいいのよ。花園さんにね」


 完璧に臨戦態勢だ。


「待てって。ここではっきりとした証拠もなしに突っ込んでもし違ったら栗山に危害が及ぶかもしれないだろ」

「それは……」

「だから取りあえず証拠を見つけよう。花園の所に行くのはそれからだ」

「……分かったわ。それじゃあ、まずはどうするの?」


 聞かれるだろうと思ってあらかじめプランは考えてある。


「今必要なのは花園が栗山のことをいじめている理由だ。だからまずは高田の所に行く」

「……高田?誰?」


 ……忘れるの早いな。

 維織は記憶力はいいがどうでもいいと思ったことはすぐ忘れる。


「栗山に告白した男子だよ。栗山がいじめられ始めた時期はその後位からだからな。栗山にそれ以外に目立ったことは特になかったと思うから」

「それに関係があるのかしら」

「分からないけど何かしら分かることはあるだろ」

「……そうね。なら明日にでも行きましょうか。何組の人なの?」


 痛いところを突かれた。


「……いや知らない。維織は知らないか?」

「名前も知らなかったのに知ってる訳ないじゃない。というよりこの前呼び出した時に教室まで行ったんじゃないの?」

「その時は栗山一人で行ったから……。明日探すか」


 いきなり前途多難だな。

                   ・

                   ・

                   ・

 次の日、休み時間を使ってクラスを調べた。

 時間がかかるかと思っていたが流石のイケメンとあってすぐに見つかった。

 そして放課後に会う約束をし、話を聞かせてもらった。


「栗山さんのことは聞いてるよ。酷いやつもいるもんだな。僕が出来ることなら何でも協力するよ」

「助かるよ」


 早速、質問に入る。


「まず、栗山に告白した後に何か変わったことはなかったか?」

「変わったこと?う~ん……特に何もなかったよ」

「そうか……」


『花園が何かアクションを起こしてるかもと思ったけど。やっぱりこのことは関係ないのかな?』


「高田君は普段から告白することは多いの?」


 こっちが色々と考えている間に維織は聞きにくいことをずけずけと聞いていく。

 流石の高田も少し苦笑いしている。


「……いや、告白したのは栗山さんが初めてだよ」

「なら、告白されることは多いのか?」


 俺も質問をする。


「自分で言うのは少し変だけど、まあそうかな」

「……ちなみに誰からとか覚えてないか?」

「え~と……あんまり覚えてないな」

「まあそうだよな」


 いまいち良い情報がないため、少し核心に触れてみる。


「高田は花園ってやつ知ってるか?」


 少し考えるかと思っていたが高田はあっさりと答える。


「花園さんって一組の?もちろん知ってるよ」

「あいつってそんなに有名なのか?」

「有名というより友達が多いんだよ。五組にもよく友達と話に来てるから。ああ、そう言えば……」


 高田が何かを思い出したようだ。


「なんだ?」

「こんな事勝手に言ってもいいのか分からないんだけど……実は昔に花園さんにも告白されたことがあるんだよ」

「えっ?」

「えっ?」


 維織と声がハモる。


「そ、それはいつのことだ?」


 思わず高田に詰め寄る。


「え、え~と……一か月前くらいかな?」


 一か月前ということは栗山が告白された少し前ということになる。

 維織もそれに気づいたらしく小さい声で話しかけてくる。


「それが原因?」

「直接的な原因かは分からないけど無関係じゃないとは思う」


 その事が関係している可能性は高い。

 それが聞ければ十分だ。


「ありがとう、話を聞かせてくれて」

「いや、役に立てたなら良かったよ」


 別れを告げて帰ろうとすると高田から呼び止められる。


「……一つ聞いてもいいかな」

「なんだ?」

「君は本当に栗山さんと付き合っているのかい?」

「……なんでそう思う」

「前も言ったけど君は栗山さんのことは栗山と呼ぶのに、その子のことは維織って下の名前で呼ぶ。それにもし彼氏なんだったらこんなチマチマと情報なんか集めてないで突撃すればいいじゃないか。自分の彼女がやられてるにしてはえらく慎重すぎないか?君は本当は栗山さんのことをどう思っているんだい?

「……そういうことか。確かにこの前のことは謝るよ。でも俺がどう思ってるかなんてお前には関係ないだろ?行こう、維織」

「え、ええ」

「誤魔化すのかよ」


 高田の挑発のような言い方に立ち止まり振り返る。


「……好きだよ」

「!! ひ、博人……」

「俺は栗山も維織も同じくらい好きだ」

「二人とも?随分と自分勝手だな」

「……そうかもな。じゃあな」


 足早にその場から立ち去る。

 すると後ろから維織が追いかけてくる。


「博人待って」

「あ、悪い。早く歩きすぎた」


 維織は戸惑いながら聞いてくる。


「ひ、博人さっきのは……」

「そのままの意味だよ。二人は大切な友達だからな」

「……友達?……そういうことね」


 維織は安心したようながっかりしたような顔をしている。


「そうそう。さっ、家に帰って色々考えようぜ」

「そうね。……博人」

「ん?」

「私も……好きよ」

「……ありがと」

「と、友達としてだけどね」

「分かってるよ」


 その後、家に帰り維織と話し合った。

 結局、今日色々と聞きまわったが高田の意見以外はいいものがなかった。

 その結果、好きだった高田が栗山のことが好きだということが分かり、その恨みからいじめているのではないかという結論に達したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ