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太陽のような君へ  作者: ひで
小学校編
15/55

初めての出会い

 胡桃と初めて出会ったのは小学六年生の時だった。

 その日は始業式も三日前に終わり通常授業が始まる日だった。

 生徒たちの喧騒の中、青白い肌をした可愛い女の子が先生に連れられて教室に入ってきた。


「みんな静かに。今日はみんなに新しいお友達を紹介します。それじゃあ自己紹介してくれる?」

「は、はい。え、えと東京から引っ越して来ました栗山胡桃です。よ、よろしくお願いしましゅ。あっ、す、すいません」


 クラスから笑い声が起こる。

 栗山の顔が真っ赤になる。


「みんな笑わない!!緊張しなくても大丈夫よ。自己紹介ありがとう。栗山さんの席はあそこの空いているところね」

「は、はい」


 先生が指差した席は左の一番後ろ、俺の後ろの席だった。

 ちなみに維織は俺の隣の席だ。

 指差された席に栗山が座る。


「よ、よろしくお願いします」


 席に座った栗山は丁寧にあいさつしてくれる。


「よろしく、栗山。俺は駒井博人。で、こっちが……」

「白瀬維織です。よろしく、栗山さん」

「よ、よろしくお願いします。駒井君、白瀬さん」

「別に君とか付けなくていいよ。同い年なんだから」

「で、でも私呼び捨てとか出来ないので」

「そうなの?なんで?」

「栗山さんは博人とは違うのよ」


 維織が厳しい言葉をぶつけてくる。


「どこがだよ」

「博人は初対面の人にも呼び捨て、ため口でしょ?そういうところよ」

「しょうがないだろ、癖なんだから。目上の人にはちゃんと敬語だよ」

「常識よ」

「……」


 維織から逃げるために話題を変える。


「栗山は東京から引っ越してきたんだよな。元々京都に住んでたのか?」

「えっ?は、はい。小学校になる前まで住んでいました」

「へえ。じゃあ行って帰ってきたってことか。どうして東京に行ったんだ?」

「え、えっと……。そ、それはその……」


 するとまた横から維織が話してくる。


「答えたくないなら無理に話す必要はないわ。博人も聞きすぎよ」

「……悪かったよ。ごめん、栗山。ちょっと気になったから」

「だ、大丈夫です。気にしないで下さい」

「まったく博人は昔からそうだけれど遠慮がないのよ」

「……好奇心旺盛って言ってくれ。それに維織だって遠慮ないだろ。よく毒吐いてくるじゃないか」

「だって事実じゃない」

「い、いやそんな真顔で言われても困るんだけど……」


 すると栗山がクスクスと笑いだす。


「どうした?」

「どうしたの?」

「す、すいません。二人とも仲がいいなあと思って」

「……生まれた時からの付き合いだから。家も近いし私はよくお世話になっているの」

「まあ、腐れ縁ってやつだな。俺と維織は」

「腐っているのは博人だけだけどね」

「だからなんでお前は一々毒を吐くんだよ」


 すると栗山は不思議そうな顔をして聞いてくる。


「……二人は付き合ってるんですか?」

「はっ?」

「えっ?」

「す、すごく仲がいいからそうなのかなって」


 それはよく周りから言われることだ。


「私は博人みたいな頼りない人はちょっとね」

「俺だって毒を吐かない優しい子がいいな」

「よく言うわね。そもそもあなたが私にそういうことを言わせるようなことばかりしているからでしょ」

「お前だって俺がなんか言ったりしたりするたびに文句ばっかり――」

「け、喧嘩しないでください!!」


 栗山が慌てて止めに入る。


「大丈夫大丈夫、いつもこんな感じだから」

「こんなのは喧嘩にも入らないわ」

「そ、そうなんですか?」

「うん。まあ、付き合ってはないけど仲は良いよ。なっ?」

「……まあ、そうね」


 維織が照れくさそうに答えるのを見て栗山は楽しそうに笑った。

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