ゆきのなか
いつものように雪が降りしきる夕方。
私は私の大好きな人と並んで山道を家へ向けて歩いていた。
この日は二学期の終業式。これから楽しい冬休みがやってくる。
こうして、毎日のように一緒に登下校するようになっておよそ半年。
いつの間にかあなたを好きになっていた。でも、毎日一緒にいるのに、伝えられなくて。
伝えたくても、勇気がなくてずっと言えなかった。
いつもなら、学校の事とか、面白いことを話すのだけれど、今日は登校のときからずっと悩ましそうにしていて、話しかけてもいつものように返事をしてくれなくて。
私は寂しかった。
このまましばらく会えなくなっちゃうから、あなたの声が聞きたいのに。
「あのさ」
「ん?」
突然立ち止まったかと思うと、あなたがやっと口を開いてくれた。
「お前のことが好きなんだ」
「……えっ?」
「ずっと、初めてあったときから、好きでした」
「…………」
「付き合ってください」
飛び出したのは、思いがけない言葉たち。
ずっと私が言いたかった、私も言われたかった言葉たち。
私の頬を涙が伝う。
「はい。私も、好き」
そして私たちはにっこり微笑むと、手を繋いで再び歩きだした。
それから毎日、手を繋いで同じ道を歩き続けた。
数年後、私は同じ日同じ場所でプロポーズを受けた。
その日もまた、雪が降っていた。
今日はクリスマス。
ずっと幸せでいられますように……。