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ドラゴン倒したぜ

「本物のドラゴンだ」


森の中を彷徨っていると上空にに6メートルはあろう巨大なドラゴンのモンスターが飛行していた。普通の人間だったら大きな羽や鋭い牙、全身から滲み出る凶暴さや見る者を震え上がらせる目などに怯え、腰が抜けるどころか泡を吹き気絶をしてしまうだろう。しかし僕はこの時を待ちわびていた。


「よっしゃー倒してやるぜ」


意味は通じてないと思うががドラゴンがそれに反応し、喉を震わせ相手を威嚇し近づいてくる。それがますます僕をやる気にさせる。

眼を閉じ、左手の手のひらを上に向け集中する。物体が出現したことを第六感で感じ、眼を開け確認する。手のひらには月のように黄色く輝く美しい球体をした手のひらサイズの物体が姿を現していた。

それをしっかり5本の指で掴む。

敵の姿をもう一度確認し、狙いを定める。


「よし」


球体を強く握り気合いを入れ、背中に背負ったラケットの形状をした武器を思っ切り引き抜き、自分の前に突き出す。球体を思っ切り真上に上げ武器の面の中心で強打する。テニスのサーブの要領だ。球体は光のラインを創りモンスターの身体を貫く。そのままモンスターは呻き声を上げ、遠くへ飛んで逃げていった。モンスターの影が見えなくなると鎧を着て鋭く尖った武器を持った人達が森の奥から現れ歓声をあげる。


深く、深く頭を下げる。異世界のため何をいっているのか理解できないが感謝されていると思う。


「そんな感謝されることはしてないので」


意味が通じるわけがなく土下座までされ、困り果ててしまった。


「あ、えーと」


困り果てているとそのうちの一人が僕についてくるようにとジェスチャーする。

どこかに連れていってくれるらしい。ぼくは素直に従うことにした。心の中では豪華な食材や美女達が待っていることを夢見て。


連れて行かれた場所は森の一角でお祭りのように準備がされていて中心に大木を組み、キャンプファイヤーを行っていた。周りでは大人や子供達100名ほどが姿勢良くある方面を向き、地面に正座している。その方向を見ると木の机の上に豪華な食材やフルーツが山積みになっていた。ほんとに夢見たことが起こり胸が踊る。そこの前に座るようにと指示を受けたと感じて座る。何かを言っているがやはり理解できない。しかしそれが正しかったのか僕が座った瞬間その場にいた者全員が頭を下げる。従うべきか悩んだが真似をする。ちらりと何度か起き上がるタイミングを伺う。3秒、5秒と過ぎようやく頭を上げたので僕も上げる。その後よくわからない言葉を数分間聞く。その場の全員が真剣に聞いているようだったので僕も聞いているように装いながらここに飛ばされた時のことを振り返る。


この世界に来たのは3日前。高校の帰り道、地面がいきなり抜け、異世界に飛ばされた。周りを見ると木。木。木。森だった。途方にくれたが何か力が目覚めてないかと思い厨二病の真似事をしてみた。


「我の力をここに示せ!」


と言い、手を天に突き上げたり


「はぁぁぁぁぁ」


と右手を強く握ってみたりと何もなかったら恥ずかしさで死ぬことを何度もやってみた。その結果手に入れたのが光の球体を出現させる能力だった。 その能力を手に入れた瞬間ラケットが天から降って来た。そんなわけで祖国日本をはなれ異世界の森にいる。


そんなことを振り返る僕に理解できない言葉で話しかけて来たのは美しい女性の方。手には煌びやかな装飾を施した飲み物の器があったので多分受け取って飲めばいいのだろう。全員が僕に注目する。


「ありがとう」


通じないことはわかっていたが無言というのはどうかと思い礼を言う。そしてそのまま一口、口をつける。程よい甘さが口に広がる。異世界での味覚の違いは心配なさそうだ。そう思い、何度もその飲み物を口にする。何口目のときだろうか、違和感を感じた。手が震え、力が入らなくなり器を落とす。カランという音が耳に届く。落とした器を見ようと頭をその方向に向けた瞬間、全身の力が抜け倒れた。意識はほとんどなく視野が霞んで見えた。


「生贄にしろ」


「罰当たりに制裁を」


「神に捧げよ」


僕が倒れた瞬間辺りが騒がしくなった。それは歓喜で湧いていたからだった。僕が倒れ喜んでいたのだ。それを不思議に思いながら眠りについた。なぜ言葉が理解出来るようになったか疑問に思う前に。

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