2012年再会:玲
私は、知人に頼まれ、50代のご夫婦を4人連れ、韓国旅行をしていた。
この世代の方々はとにかく知っている人でないと信用ができないという部分がある。
私は韓国でツアーガイドがいるからお金を払って頼んだ方が良いと言ったのに、それでも私をガイドに指定してきた。
ご主人たちは奥様達が楽しんでくれれば良いという。
コースも希望だけざっと聞き、その中でご主人たちは、国境を見てみたいと言った。
板門店ツアーというものがある。
北朝鮮との国境地帯にある会議場。緊張感が漂うそこに行くツアーだ。
奥様達はもちろん興味がない。
この日は奥様達はホテルの8時間コースエステに行き、ご主人たちは板門店へ行くことになった。
私はご主人たちと板門店ツアーへ。
何度も行ったけれど、機会があれば行きたい場所。
バスツアーで途中韓国軍の兵士も乗り合わせてくる。とても危険だからだ。
そして会議場まで行くのだ。
そこでも兵士が私たちを守るために警備をしている。
バスに乗ってきた兵士が私たちのパスポートチェックをしていた。
真っ黒なサングラスをかけ、顔が分からないけれど、おそらくしっかりとした青年なのだろう。
ふと私のパスポートの名前をみて、その兵士が私の顔を見た。
サングラスの後で目があった気がした。
そしてどこかであった気がした。
でも私はこんな若い子の知り合いはいない。