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守るべきもの:玲
失意のまま過ごした私は、仕事に熱意を注ぐことにした。
そして会社を独立し、自分の会社を作った。
そんな時、ふと、あの時の小学生のことが頭に浮かんだ。
あの子、今頃日本語の勉強しているのかなぁ。2002年のワールドカップの時だったからもう中学生なんだろうなぁ。会って見たいなぁ。
中学生に会って見たい。そんな感情が沸くことがとても不思議だった。
2005年私は結婚した。
私のことを好きだと言ってプロポーズされたから。
実は付き合ったことがなかった、ただの友達。
それでも私は幸せにしてくれるという言葉を信じて、結婚をした。
仕事に忙しい私との結婚。
普通の専業主婦を求める男性には厳しいものがある。
すれ違い生活が多くなった。
私は家庭より仕事。
それでも結婚を止めようとまで踏み切ることができなかった。
そして度重なる流産に、死産まで。
もうこの世は私を拒絶しているとしか思えないほど、辛く、落ち込んだ。
それから娘が生まれた。
可愛い小さな命。
産まれた瞬間に守るべきものが、「2つ」と感じた。
1つは娘。1つは誰?