表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライブダンジョン!  作者: dy冷凍
第九章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

522/548

第522話 バーベンベルク家兄妹とのレベル上げ

 天空階層でのレベル上げは主に156階層で行われている。第六守護者であるオリオリと名の付くそれは、黒門をぺらぺらの紙みたいな体で包むようにして守っている。


 探索者が近づくと自身の一部を瞬く間に折り畳み、紙飛行機や鶴など様々な見かけをしたオリオンという雑魚モンスターを千切り出して迎撃してくる。そしてそれは本体に止めを刺さなければ無限に生成されるため、定番のレベル上げ場となっていた。



「行きます」

「えぇ」



 流石にバーベンベルク貴族の二人相手にノンデリをかますわけにはいけないと気構えているからか、敬語で話すロレーナと共に聖騎士のスオウも前に出た。努はそっと白いフードを被ってマデリンとお揃いのまま杖を構える。



「コンバットクライ」



 透き通るようなスオウの声と共に赤い波動が広がると、紙飛行機型のオリオンが不可視のエンジンを唸らせて彼女の下へと一斉に飛び立つ。



「せい!」



 その途中で蹴り技に特化した戦靴を履いたロレーナが地に手をつけてオリオンを蹴り上げると、紙のように折り畳んで作られた物とは思えない硬質な音と共にその機体は砕けて墜落した。



(この世界のオートアタック、オートアタックの性能じゃないんだよな)



 タンクのスオウと共に前線で戦う気構えのロレーナを前に、努は内心でぼやく。


『ライブダンジョン!』でもスキルを使わない間にはどのジョブでもオートアタックで殴るものだが、精神力を使うスキルの方が当然強く設計されている。


 ただこの世界ではSTR(攻撃力)が物理、スキル共に反映されているため、白魔導士でも武器を装備して殴ること自体は可能だ。それに加えてジョブごとに適正な武器を使えば更に補正がかかる仕組みなのは変わらず、白魔導士の場合はそれが杖に当たる。


 しかし『ライブダンジョン!』ではそもそも装備できなかった武器も白魔導士は扱える。流石に戦靴で武器補正がかかる拳闘士と比べれば一歩劣りはするものの、STRがAを超えていればアタッカーとしての火力は事足りる。



「七色の杖!」

(いや、如意棒じゃん。杖術の範疇じゃなくなーい?)



 基本的に白魔導士の持つ杖はステータスやスキルのバフが主な役割であり、七色の杖で発動する効果も大体が支援か遠距離攻撃だ。だが彼女の持つ杖は自身の動きをサポートするために扱われていた。


 上空で旋回し光弾を放とうとしていた鶴型のオリオン。それをスキルの効果によって伸ばした杖にしがみついて急接近したロレーナは、そのオリオンの首を蹴り折った。


 そのままアクロバットでも披露するように金色の杖を振り回しながら降りてくる彼女と共に、的確に伸びてきた棒で叩き落とされたオリオンも降ってくる。白魔導士の杖補正と兎人のAGI補正も乗った雷撃のような打撃。


 どやぁ……と言わんばかりの顔を努に向けてくるロレーナの横っ面すれすれにメディックを打ち、左手をかざして多数のオリオンたちを障壁で閉じ込めているスオウに当てる。



「ゲールスラッシュ」



 真四角の宝箱のようなオリオンは周囲にバフを撒き散らす厄介な相手のため、近距離アタッカーの剣士であるスミスは早急に黒の波動を纏った長剣で切り捨てる。そしてスオウと同様に左手をかざして空中のオリオンを何体か閉じ込めて時間を稼ぎつつ、前線を張っていた。



(なんだかんだ障壁魔法が唯一無二で強い。あの二人がアタッカータンクだとPTメンバーも安心だろうな)



 聖騎士であるスオウは元々この迷宮都市を守るために対モンスター訓練を受けていたからか、タンクとしての筋もそこまで悪いものではなかった。それは神のダンジョンで更に鍛え上げられたのか、ゼノのような安定感がある。


 スミスも同様ではあるが、灰魔導士ほどではないにせよ剣士というジョブもあまり尖りのない性能はしている。基本的には近距離アタッカーのスキルを使っていくことになるが、いくつか魔法系の遠距離スキルを持っている。そして何より武器補正のかかる幅が広い。



「クロスカッティング」



 短剣から長剣、一刀流二刀流共に適性のあるスミスは、スオウの稼いだヘイトが十分だと判断した時には双剣に持ち替えて更に火力を引き出す。それに最悪ヘイトが向いたとしても障壁魔法でかなり自衛できる方なので、死ぬことは滅多にない。



「ヒール」



 ただ障壁魔法によるダメージが術者に跳ね返ってくる特性は相変わらずなので、ヒビが入ったり割れた際にはヒールが必要だ。しかもよほどの大ダメージを食らわない限りは目に見えない怪我なので、ヒーラーからすれば初見殺しもいいところである。



(出しゃばりが。こっちはまだ進化条件満たしてないってのに)



 無数のオリオンが発射する光弾がスオウに着弾すると同時にロレーナが背中をタッチして治療し、それを確認した努はスミスに着弾先をぺっと変更した。そんなヒールでの回復を彼は不本意そうな顔で受けながらも、回復スキルを使用してくる花型のオリオンなどを率先して倒していく。



憤怒ふんぬ



 ダンジョン産の装備だからか正面から見ても顔が黒いベールで隠れて素顔が見えないマデリンの声は、低くはあるが女性とわかる程度のものだ。そんな彼女はSTRを二段階上昇させる代わりに受けるダメージが全てクリティカル判定となるスキルを発動し、赤い闘気を纏い両鉈を肩に担ぐ。



「邪牙」



 呪い属性を帯びた二撃を浴びせるシンプルな攻撃スキルであるが、憤怒は次のスキルを強化する効果を持つ。マデリンはそれを空撃ちして赤い闘気とヘドロのような呪いが混じる竜巻を巻き起こし、上空を飛ぶオリオンを一掃した。



(呪術師は良くも悪くもピーキーだな。タンク陣が優秀なら何とかなるけど、今の環境はそこまで余裕ないし)



 呪術師の進化ジョブで定番のスキルが先ほどの憤怒であるが、自然解除できるまでは常時クリティカル攻撃を受けるため狙われたら大体は死ぬ。あとは一定の条件を満たすことで全ステータス上昇を得て呪いを解除する『逢魔が時』や、一定時間無敵になるが自然解除時に死ぬ『禍津』などかなり尖った性能をしている。



(実質瀕死アタッカーなのも中々ね。呪い辛そう)



 呪術師のスキルは大抵が呪いのデバフ付きでメディックなどでも解除できない。その代わり多数の呪いを持った状態なら大技も使えるし条件を満たせば逢魔が時で解除もできるため、上手くスキルを回せれば結構な火力は出る。



「黒火球」



 それにマデリンは呪い状態などで辛い状態には慣れているからか、精神力の追い込み方が他の探索者よりも深い。既に身体を蝕む呪いを二つ掛け持ち黒火球の発動条件を満たした彼女は、僅かな精神力消費にしては破格な威力を誇るスキルを乱打する。


 そしてマデリンが数多の呪いを吐き散らかしてヘイトの臨界値を超えそうになったところで、スオウの背中から神聖な翼が具現化した。進化ジョブの演出である。



「エクスヒール、メディスン」

(ただ、この中だと聖騎士がOPだな。進化条件が段階的に厳しくなるとはいえ、タンクで回復しながらヘイトも受け持てるのは強すぎだろ。タンクしてれば満たせる条件だし、パワーしか感じない)



 全ての者を全回復させるエクスヒールに、全ての状態異常を解除するメディスン。白魔導士からすればヘイトを稼ぎすぎて使い物にならない産廃スキルでも、聖騎士からすればいいヘイト稼ぎとなる。


 そしてすぐに進化ジョブを解除して再びタンクへと回ったスオウに、オリオリから新たに生み出されたオリオンが親の敵かのように殺到する。



(寄生装備の火力ひっく。経験値PT共有で良かったよ本当に)



 今日はバーベンベルク家とPTを組むということから経験値UPにLUK運上昇など、思いっきり寄生する気満々の刻印装備を着込んでいた努は、ロレーナと比べるとあまりにも貧弱な火力に笑みを浮かべるしかなかった。


 ただ火山階層のレアモンスターであるゴールデンボムからドロップする欠けた金冠など、努が言うところの寄生装備はあまり堂々と装備できない。特に経験値UPの金冠など被った日にはPTから追放されても文句は言えない。



(これ、絶対後で問題になるだろうな。よっぽど刻印に精通してない限りはバレないし)



 だがこと刻印においてはどの装備にも付与することができるし、尚且つ裏地に仕込めば火力やステUPを積まずに自分だけ経験値やドロップ率UPの刻印をしてもまずバレない。


 流石に手伝ってもらう手前、スミスたちに経験値UPを図る刻印装備については話している。ただそれに四人とも納得したのは欠けた金冠の効果を想像してのことだろう。


 確かに欠けた金冠の効果は経験値UPを図るものだが、そこまで劇的に変わるわけではない。半年単位で見れば効果がわかる程度の倍率であるし、同業者や観衆から王冠ちゃん扱いを受ける弊害の方が大きい。


 だがそんな四人も努が今もステータスカードで確認しているレベルの上がり方を見れば、目の色を変えるだろう。三年かけても現状の限界レベルである170に到達できない粗悪な経験値稼ぎをしている者たちにとって、その上がり幅は120台とはいえ異常なことはすぐにわかる。



(これでもライブダンジョンに比べれば緩い方だけど、この世界の基準じゃ破格の上がり方してるもんな。レベルに見合わない狩り場とはいえ、えげつない。環境壊れちゃう!!)



 努の被ったフードに仕込まれているのは目立たないように見た目を改造され、尚且つ性能が毀損きそんされていない欠けた金冠だ。それにローブの裏地に仕込んでいるのは、刻印士の30、60で覚える経験値UP小と中。


 それらを重複させての経験値効率はもはや『ライブダンジョン!』で課金アイテムでも使っているかのようなものである。



(お、新しいスキル覚えた。……アンチテーゼ。回復を攻撃に変えられるやつか。ゴミって聞いてるけど)



 それから数十分で130を超えた努は新たなスキルについてステータスカードで確認しつつも、せっせとモンスターを倒してくれるスミスマデリンロレーナを支援し続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブログを作りました。よければこちらもよろしくお願いします
『ブログ』
↑クリックで飛べます
― 新着の感想 ―
最低限の筋は通しつつ、手段選ばず目的に邁進してるところ良い
課金の経験値アップは、大抵エグイほどの効果ですよねぇ それと比肩できるほどって凄いなぁ(小並感)
経験値アップはやっぱりあるよなぁ……30で覚える経験値アップもあまり広まってないっぽい??
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ