プロローグ 第2話
「ここがその研究所?」
「そうね、一応はここだそうよ」
科学都市東京に着いた私たちは迷わずにこの地に足を運んだ。そこには本当に何もないただの空き地となっていてそこに研究所があったとはとても思えない。だがよく見てみると、機材なのか黒い塊のような物が敷地の奥にあるのが分かる。その事から確かに記事に書かれている内容は嘘ではないということが証明され、研究員が語った「火災が起こった」という発言は本当のようだ。
「どうメリー、何か見える?」
それは境界の境目の事を言っているのだろう。私は首を横に振る。
「何も、蓮子と同じ光景が見えてるわ」
「うーん、これで1つ目の仮説が消えたわね…」
「どうする?せっかく入れるし確認してみる?」
「そうね、さて一体何が見つかるかな」
蓮子は早速敷地中に入る。もちろん私も後を追う。
しかし、予想通り何も見つからなかった。
当たり前である。敷地内にはその黒い塊以外何もないのだから。
黒い塊をよく確認すると、どうやらパソコンのデスクトップのようなものだと分かったこと以外収穫はゼロである。
「これじゃここにきた意味がないじゃない」と蓮子は不満そうに隣で呟く。
蓮子には悪いが私は内心ほっとした。何もなければそれで充分だったのだから。
しかし、その瞬間異変が起こる…
帰ろうとしたその時、私はとても嫌な気分と寒気を感じた。
この感じ…、あの時と同じ感覚がする…、間違いない!
「蓮子!何か来る!」
「えっ?」
しかし時すでに遅し、何かに足を引きずられるような感覚を覚え、声を出そうとする前に私たちは異空間に吸い込まれた。
目が覚めたときに気付いたのは、冷たい床の感覚を覚えた。その時の私はまずおかしいと思った。周りを見渡して分かったことはどう見ても研究所の一室なのだ。
さらにモニターに他の部屋の映像が映っていることから、ここは管理室だということが分かり部屋には研究資料など様々な本棚があることも分かった。
蓮子も気が付いたのか体を起こし周りを見回している。そして私に尋ねてきた。
「メリー、ここって」
私にも大体分かっていた。たぶんここは
「ここはおそらく研究所跡地ね、間違いなく」
そして、蓮子にモニターの画面を指差しさらに続けた。
「このモニターを見て分かった。たぶん監視カメラの映像だと思うけど、外の様子がどう考えてもさっきいた場所と同じなの」
「それじゃあ、さっき吸い込まれた空間の中ってこと」
「おそらくね…、たぶんあの事件の前の研究所にきたってことね」
二人は黙りこんだ。絶対に危険はないって分かっていた。
また危険なことが起こる…、そんな恐怖が頭に過る。また、あの時のように怪我をするのではないか…、私は不安の気持ち
だが、蓮子はモニターの前に移動しキーボードを叩き始める。画面を切り替えているようだ。
「蓮子、何してるの」
「決まってるでしょ。帰る方法を探すのよ。だからメリー、一緒に探すわよ。」
きっと蓮子は分かっていたのだろう、こういうことになるということを…
そうじゃないと、たぶんこんな言葉は出てこないだろう。一年の付き合いだからこそ、お互いの事を理解しているからこそ出る素直な思いなのだろう。
思えば、蓮子にこの体質を話した時にも、気味悪く思うどころか羨ましく思っているのを今でも鮮明に覚えている。たぶんそれがあったから、今の私がいるのだろう…
「ありがとう…」
素直にそんな言葉が小さく口から零れた。やっぱり蓮子にはかなわないなと思った。
そしてそんな相棒のもとに歩み寄ろうとした。
とその時、
画面に映し出される「WARNING」の文字と同時に警告音が鳴り出す。
「えっ、一体何が」
と同時にドーンという爆発音が聞こえてくる。まさかこれは
「もしかしてこれ、あの記事に書いていたあの事件が起こっているの?」
「だったらやばいじゃない、早く逃げないと」
私は急いで扉に近づき開けようとした。が、
「嘘、開かない…」
「ちょっと待ってどうにかするから」
蓮子はモニターに向かい扉を開ける作業を始めた。
という感じで今に至る。
警報音が鳴り始めて5分が経ち、火の流れが分からない状況で蓮子は今もモニターと向き合っている。
焦る気持ちを抑えていたが、やはり不安が押し寄せてくる。このままどうなってしまうのか、そんな思いが何回も頭に過る…
その時、こちらに近づく足音が聞こえてきた。
人、助かったと思ったがたぶんその可能性は低い…
火災が起こっているなら普通は逃げ出しているはずだ
じゃあ誰が…
そしてそれと同時に空間が裂ける感覚を感じた。
確証はないが、もしかしてそこから外に出られる!
私は空間の境目を指差し声を張り上げる。
「蓮子!あそこから外に出られるわよ!早く!」
蓮子は私の声で事を察したのか、すぐさま私のもとにやってきた。
そしてすぐに境目に入ろうとした時、部屋の扉が開いた。
そこに立っていたのは一人の少年だった。しかし、どう見てもその姿は人間とは思えなかった。
その姿は記事にあった「悪魔」に近い人間というべきだろう。背中に翼を生やし、手の形が獣に近い形をしており両手共にに血痕のようなものが付いている。
それを見た私は恐怖を感じる前に早く逃げることで頭がいっぱいになった。しかし、その考えはすぐに変わってしまった。
空間が閉じる前、一瞬だが彼と目があった。
彼の表情はまるで私たちが助かって良かったと安堵するような、そんな表情をしていた…
この出来事があってから私たちは、この謎について調べることで同意した。
その謎は3つある。
1.あの研究所で一体何が行われていたのか
2.あの事件が起こった原因とは
3.あの少年はどうしてあの姿になり、なぜ私たちにあの表情をしたのか
この出来事は何かが隠されている。だから私たちはあの研究所に跳ばされ、あの光景を体験させたのだろう。その秘密を暴かなければならない。私たちはその感情で息巻いていた。
そして、私たちはその事件を調べていくうちに大きな異変の渦に巻き込まれ、そして幻想郷と呼ばれる異世界の存在やそこに住む英雄と呼ばれる人物と遭遇することになるが、この話はまた後で話す事にしよう…
第1章へ続く
最後までお読み頂きありがとうございました!
投稿してる時にはクリスマスになっているでしょう。皆さんはクリスマスをどうお過ごしですか?
というわけで、これは私から皆さんへのクリスマスプレゼントとして受け取っていただければ幸いです。何度も書きますがまだまだ勉強中ですので分かりにくい部分はあると思いますが、楽しんで頂ければ私は嬉しいです。
ぜひ、コメントよろしくお願いいたします。
それでは、私は一人寂しくクリスマスを過ごしたいと思いますw
メリークリスマス!