第2章 第4話前編
瑛士は状況を中々理解することが出来ない。
その周りには霊夢、魔理沙、文もいる。そこの部屋にいる誰もが無言で重苦しい雰囲気が流れている。
蓮子が倒れたことを聞きつけ、急ぎ永遠亭に向かい診てもらうことになった。
確証はなかったが永琳なら何か分かるのではないか。そういう淡い可能性を信じるしか考えはなかった。メリーは病室で蓮子に付きっきりである。
失礼しますという声に全員振り向いた。
「瑛士さん」
うどんげの呼び出しに瑛士は促されるままについていく。
呼ばれた場所は診察室だった。そこには永琳と紫がいた。
うどんげは出ようとしたが永琳がそれを制し、全員が揃ったようだ。
紫は瑛士に向けて言った。
「まずはお帰りなさい。とりあえずは無事でなによりよ」
「俺は無事でも一人危険な奴がいるけどな、蓮子の状態はどうなんだ?」
永琳は落ち着いた表情で答える。
「ひとまず命に別状はないわね。あと赤い目の件に関しては診察してた時に消えたから問題はないと思うけど」
「先ほどの話は覚えてますよね」
「えぇ、悪魔の書の影響の話ね」
しかし、その顔は曇っていた。
「一言で言うと、分からない…ってことよ」
「その理由は?」
「少なくとも影響している何かを感じることは出来るのよ。でも、その成分がまったく分からないから、治せない。でも抑える手段はなんとなく掴めた」
「本当か」
「少なからず、あなたがやったことと同じよ」
瑛士は考えた。前の異変の事を思い出す。となると思い浮かぶのは…
「分かった。何とかしてみる」
そして、紫はさらに続ける。
「今のこの状況も放置はできないわね」
「どうするんだよ」
「まぁ、手段がないわけではないけど、今危ない橋を渡るのは危険ね。まずはあの子の回復が最優先よ」
うどんげが口を割る
「でもその状況でも異変が進行してしまうんじゃ」
「心配しないで。時がくればこちらから繰り出すから」
紫の笑みはもうすでに敵の弱点を付けていると言っているようだった。
そして部屋に戻る最中だがうどんげが口を開いた。
「大変なことになってるんですね」
「もしかしたら鈴仙にも手伝ってもらうかもな」
「えっ!どうしてですか?」
「たぶん紫は鈴仙も対象に入れて話してるからな。心の準備はした方がいいかもな。」
「また変な事されなきゃいいですけど…」
鈴仙は不安な表情になっている。
そして部屋に戻った瑛士とうどんげは驚いていた。
すでにいた霊夢たちの他に早苗がいた。そしていつの間に紫もその部屋にいた。
「さて、聞かせてもらおうじゃないの。どういうことなの?」
霊夢は明らかに不機嫌な表情をしている。
「とりあえず説明するから落ち着きなさい、霊夢」
紫は落ち着かせる。
「今回の異変は私の予想を大きく外してしまった。まさか異変解決を担う鍵の存在がこのような状況になるなんてね」
あきらかにため息をつく紫に瑛士は答える。
「まさか紫が言ってた鍵の存在って…、蓮子とメリーなのか…」
「そう、彼女達こそがこの異変を解決できる唯一の存在なのよ」
今回も読んで頂きありがとうございました!
秘封倶楽部がこの異変の鍵となる
この発言にはいったい何の意図があるのか、いよいよ秘封倶楽部をここに連れてきた理由が明らかになります。
そして今回、鈴仙・優曇華院・イナバの登場ですが、イメージに合ってるかなと不安ですw
次回は後編ですが、ゆっくり待っていただければ幸いです。