第2章 第2話
瑛士はその結希という少女に近づき声をかけた
「お前、いったいどうしてここに?」
結希は瑛士を見てこう言った。
「分からない…。気が付いたら…、ここにいた…」
「どこまで記憶があるか分かるか?」
「よく分からないけど…、何かの本に触れたところまでは覚えてる…」
文は何かを察したようだ
「もしかして…、悪魔の書の影響ですよね」
「たぶん間違いないだろうな」
瑛士も想像はついていたがその言葉で核心に変わった。
以前の異変では瑛士が悪魔の書のレプリカを拾ったことにより比較的最小限に収まったが今回は結希が持っていたとすると本物は精神さえも乗っ取り、目的達成まで操るといったところだろうか。ともかく、急いで結希を保護して状況を確認する必要がある。
「結希、一緒に来てくれないか」
瑛士が結希に近づこうとしたその時だった。
「来ないで!!」
結希の言葉に瑛士は静止した。すると彼女の身体から再び冷気が発せられた。
するとどこからか声が聞こえてきた
これ以上彼女には近づくな
突然の声に瑛士は驚いた。それは霊夢たちにも聞こえているようだ。
「お前は誰だ、答えろ!」瑛士は声を上げる。
その発言には答えなかった
「あんたの目的は何なの」今度は霊夢が冷静に聞いた。
すべては…、我々の祈願のためだ…
その発言と同時に結希の身体からは炎が上がる。
氷と炎。絶対に交わることのない二つの力が一つとなり融合している。そして彼女の目の左は元々の青色だが右は今放っている炎と同じ橙色に変わっていた。
彼女は我々の計画の為の礎となる…
悪魔の書は悪魔の契約そのものなのだ
そもそも瑛士、お前がその役を担うはずだったのだがな…
まぁいい。止められるなら止めてみろ…、闇坂亨
それと同時に結希は姿を消した。しかし瑛士は消える彼女を見た。
彼女の左目には涙が溢れていた…。助けてほしいという本心なのだろう。
瑛士は左手を握りしめる。記憶はあまり思い出せないが、少なくとも救わないといけないと感じた。
「あんた、まさか一人で探すつもり?」
彼の気持ちが分かったのか霊夢は声をかけ、そして瑛士の肩に手を置く。
「私たちも探す。あの娘を助けないと」
「そうだぜ、お前一人じゃどうにもならないだろ。協力は惜しまないさ」
「私もこの件に関してはぜひ記事にしたいですからね。取材は足を使わないと」
魔理沙と文も賛同する。
「ありがとな…」
瑛士は静かに呟いた。
しかし、このとき瑛士は知らなかった。
この幻想郷にもう一つの事件が起ころうとしていた。
そして、秘封倶楽部に一つの試練が訪れようとしていた。
今回も読んで頂きありがとうございました!
ついに結希の力が明らかになりましたね。そして、謎の声。そして悪魔の書の効力の一つが明らかになり少し内容に入りこめた気がしますね
次回なんですが、秘封倶楽部に事件が起こります。はたして二人にいったい何が…
というわけで、次回までゆっくり待っていただければ幸いです。