第2章 第1話前編
「お前が…、俺を救ってくれるのか……」
全てに絶望し、闇に満ちていた少年はかつてこう言っていた
全ての気力をなくし、生きていく資格さえもなくした少年
建物は今も激しく燃え続けている。ここからでは見えないが多くの野次馬が辺りに集まりつつある。
そして何より少年の容姿すべてが闇に満ちていた。
目は赤く、どういうことが原因か分からないが少年の背中から生えている漆黒の翼
服は赤黒い血痕が散らばり、目と同じように真っ赤に染まっている…
何故このような状況になったのか少年には一切分からない…
そんな少年の目の前には一人の女がいた
その彼女は一言発し、少年に手を差し伸べた。
少年は一瞬躊躇う素振りを見せたが、すぐにその手を取った
何でもいい。何かを変えられる力が欲しい…
それでその抱えている心の闇に微かな光が入れるように…
少年は彼女に賭けることにした。自分の運命を
スキマから出た先に広がっていたのは森林だった。
360度見渡しても木しかない。蓮子とメリーはいきなりの事で戸惑っている様子だ
しかし瑛士はこの景色を知っている。二人を先導し歩いて行った先にあったのは…
「まさか俺の家の近くにこんなものが出来ていたなんてな…」
瑛士の家、つまりここは妖怪の山の山奥にある辺境の土地だった。
「ここが瑛士の家?」
蓮子もまさかこんな所に家があるなんて想像もしてない様子だったようで驚いていた
「あぁ、でも何でここに…」
「遅かったですね~、もう少し早く帰ってくると思っていたのですが…」
家の玄関の戸に背を預け、腕を組んでいる射名丸文がいた。
「もしかして待っていたのか」
「いいえ、確証はありませんがもうすぐ帰ってくるのではと思ってついさっきここに来たばかりですよ。ところで、後ろにいるお二人は?」
「紹介したいところだけど…。そうも言ってられない状況だろ」
「えぇ、できればすぐにでも」
文の真剣な口調に嫌な予感は感じるが、瑛士は後ろの二人に言った。
「とりあえず、中に入って待っててくれよ。たぶん夜には戻ってくるから」
「でも、何かあったりしたら」メリーは心配そうに言う
「外に出なければ大丈夫さ。一通りいるものはあるし」
蓮子とメリーはお互い顔を合わせ合意した。そして二人が中に入ったのと同時に瑛士と文は走り始めた。
しばらくして空を飛ぶ道中文から詳しい内容を聞いた。
霊夢たちが妖怪の山から出てきた謎の少女を探した後、しばらくは哨戒天狗たちがその人影を探す事になり、文もそれに加わった。しかし一向に見当たらず半ばあきらめの雰囲気まで出始める始末だった。
文は霊夢に報告しに神社に赴いた時に事件が起こった。
突如感じた冷気
そして空中に浮かぶ白銀の輝き
形相を変えた霊夢は急いでその場所へ向かう。その場にいた魔理沙も霊夢の後を追う。
瑛士がいない間についに動き始めた異変
白銀の少女
氷獄の堕天使の別名をもつ彼女は微かに笑った
その手には本、そしてその目は彼女には合わない赤い目をしていた…
今回も読んで頂きありがとうございました!
前回から投稿を滞ってしまって申し訳ありません。時間が出来ずにここまで延びてしまいました。
今回から第2章ということで、いよいよ物語が動き始めます
「氷獄の少女」という名前で進めていきますが、彼女はいったい何者なのでしょうか?いずれ明らかになりますが楽しみにしておいてください
次回は分かりません。出来るだけ早く書きたいと思います
それまでゆっくり待っていただければ幸いです。