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誰が私を殺したの?3

二人ひと組の、4グループを決めることになった。


「俺と祥子は一緒な」


付き合っている二人なだけあって、誰も反対の声をあげない。


「じゃぁ、私は龍弥といっしょ~」


美樹は龍弥の腕をとり宣言する。

全員が白い目を向ける中、美樹は全く気がつかない振りをしている。


「いいでしょう?」


美樹がずっと龍弥に好意を抱いているのを知っているメンバーは肩をすくめただけで終わった。

不満なのは龍弥くらいだったが、面倒なのか反対の意を唱えない。


「じゃぁ、残りはグーパーしよう」


そうして決まったメンバー。


一階を探すのが、祥子と浩太のグループと雪夏と春樹グループ。

二階を探すのが、璃紅と真里グループと美樹と龍弥グループだ。


「今三時だから、一時間後に集合しよう」

「は~い」


各々のグループに別れて歩き出した。

二階を担当することになった、二組は左右に別れて捜索することになった。


右側の階段を上ったのは璃紅と真里のグループだ。

登りきると長い廊下が続いており、ヨーロッパ風のウォールライトが温かみを帯びて等間隔に点灯している。

明るすぎず暗すぎないを廊下を歩く。


「広いね」

「そうだな」


1番手近な扉を開ける。


「うわ~」


一歩踏み入れた真里は感嘆の声を上げてしまう。


「真里、口が空いてるぞ」


璃紅の言葉に慌てて口を閉じる。

呆然としてしまうほど部屋が豪華なのだ。

入ってすぐ扉があり、そこは広い洗面所とトイレがある。

リビングと思われる空間には重厚感のあるテーブルに、ソファ。壁には落ち着いた色の木製チェストやキャビネットが置かれている。

デザインは全て西欧風だ。

続き間になっており、そちら側にはキングサイズのベットが置かれ、その奥にはクローゼットや、浴室というのが備わっていた。

ソファなどには埃を避けるためか元は白だったのだろうが、長い年月を経て黄ばんでしまった布がかけられていた。


「一流ホテルのスイート並だな」


思わずという感じで呟いた璃紅の言葉に真里は頷くことで同意した。

その後、多少の家具の違いや、ベットがツインだったりという違いはあるが、ほとんどの部屋は似たような作りになっていた。




左側の階段を登った美樹と龍弥が一番初めに訪れたのは広い室内だった。

学校の教室がまるまる収まってしまいそうな室内。

壁には、肖像画がかけられている。


「綺麗な人だよね~」


美樹が肖像画に近づいていく。

ドレスを着て着飾った婦人がこちらに向かって微笑んでいる。

龍弥は興味なさそうに室内を見渡す。

大きな暖炉と、グランドピアノ。

中央に丸いテーブルと四脚の椅子。

ピアノの近くにはソファが2つ並べてられている。

こちらもやはり、布がかけられている。

近寄った龍弥は、ピアノにかかっていた布を捲る。

STEINWAYと書かれたロゴに感心したように頷いた。


「ねぇ、どうしたの?」


絵を見ることに飽きたのか物珍しそうに室内を美樹は見渡した。


「おそらく、サロンだな」

「へ~」

「居室用の空間・・か」

「よく知ってるね」


感心したよう美樹につまらなそうに答える。


「まぁな」

「そっか、龍弥も家も似たようなもんだもんね。むしろ龍弥の家の方が凄いとか!?」

「どうかな」


興味をなくしたように布から手を離した龍弥は続き間になっている方に足を進める。


「ちょっ!龍弥おいてかないでしょ!」


必死に走ってきた幹が、龍弥の腕に自分の腕を絡める。

眉を顰めた龍弥が振り解こうと、するが美樹は強く掴んでいて離れない。


「美樹!」


少し強めの声でかけるが、美樹は聞こえないふりをしている。


「だって、迷子になったら怖いし、それに、この屋敷入ってから異様に寒いんだもん」


諦めの息を吐いた龍弥とは対照的に美樹は鼻歌を歌うほど楽しんでいる。

左右に5つの部屋があり、右側には2つ。左側には3つついている。

右側の手前の扉に手をかける。

中央に特注だろうか大きねベットがあり、ドレッサーや小さなテーブルと二脚の椅子がある。


「主寝室か」


この家の主人が使っていたのだおる、ドレッサーがあることから夫婦二人の寝室と思われた。

その隣は、少し小さめの部屋だが、ほぼ同じ作りだ。

右側は、子供用のへだろうか、8畳程の広さでベットや勉強机などが置かれている。

女の子がいただろう部屋には、アンティーク調のに西洋人形が数多く並べてある。

その次の部屋は、プラモデルや超合金が床などに乱雑に散らばっていた。

そして、最後の部屋は、ベットに勉強机が置いてあるシンプルな部屋だった。

本棚には所狭し様々な種類の本が並んでおり、龍弥は背表紙にないも書かれていないB5サイズの本を取り出した。

パラパラとめくると。

日付と文書が書かれている。

裏を見ると、かすれて読めないが名前らしき後が残されていた。


「なにこれ?文字なの?」


横から覗き込むが達筆すぎて美樹には読めない。


「ミミズがのたくった感じ」

「いや、ちょんと文になってるよ」

「じゃぁ、龍弥は読めるの?」

「璃紅なら読めるんじゃないか?」


美樹の問いかけをはぐらかした龍弥は本を片手に部屋を出て行った。




一階を探すことになっていた二組は、いざ探索へと思ったところで階段脇に扉を見つけた。


「なんでしょう?」


疑問におもった春樹が扉を開くと、下へと続く階段がある。


「地下があるみたいですね」

「へ~、凄い!地下もあるんだ」

「では、僕と雪夏さんが地下を回ります。祥子さんと浩太さんは一階をたのめますか?」

「は~い」


地下はと続く階段は薄く明かりがついており、足元が危ないということはなかった。

しかし、下に行くとひんやりと空気が冷たい。

春樹を先頭に美樹が続く。


「足元気をつけてくださいね」

「ありがとう」


地下に着くと廊下の幅は広く作られており使用人が荷物を運んですれ違うにしても危なくない。

降りてすぐ脇には部屋があり、リネン室になっているようだ。シーツなどが綺麗にたたまれてしまわれている。

階段下は、掃除用具などが取り出しやすいように順番に並べてあった。

また厨房もまるでホテルのレストランのような厨房で、大きめのキッチン台に業務用のガス台や本格的な調理道具が綺麗に並べてある。

壁いっぱいの食器棚には、家紋の書いてあるだろう食器や、ブランド物の食器が数多く並んでいる。


「すご~い。同じお皿が何十枚もあるね」

「これだけ大きい屋敷ですから晩餐会とかあったんじゃないでしょうか?」

「そうだね。ここの人たちはどんな暮らしをしてるんだろう」

「本当ですね。これだけの質を保ちながら暮らしている人たちもいるんですね」


感心したように春樹が言った。


「でも、誰もいないね」

「えぇ、僕も思ってたんですか、誰とも合わないですよね」


厨房を出た二人は廊下を進む。

厨房の横は貯蔵庫になっているのか肌寒さを感じるくらいで中は空っぽだった。

その隣はワインセラーなのか、こちらにはかなりの数のワインが貯蔵されている。


「浩太や龍弥だったら喜びそうですね」


春樹は年数を見ながらこの場にいない二人を思う。

廊下を進むといくつかの部屋が見つかった。

中は二段ベットになっており、クローゼットと簡易な机が二つづつ配置されている。

他の部屋も同様だった。

突き当たりには、それまでのドアと違いスライド式になっている。

そこを開けると、五人くらい一緒に入れそうな脱衣所と長方形のタイル張りのお風呂があった。


「従業員専用ですかね」

「住み込みなのかな?」

「おそらく、でも今は誰も住んでなさそうですよね」


先程見た部屋では現在使われている様子は見られなかった。


「通いなのかな?」

「不思議ですね。とりあえず戻りましょうか」

「そうだね」


二人は一通り地下を確認すると一階へと元来た道を戻り始めた。



一階を担当した浩太と祥子は道なりに赤い絨毯の敷かれた廊下を歩く。


左右にはドアがなく誰でも入れるようになっているサロンがあった。

右には沢山のテーブルと椅子が置かれており、お茶や軽食をとりながら休めるようになっているようだ。

左には大きな暖炉と隅にはグランドピアノがひっそりと置かれ、物はなく空間が広がっていた。

その隣りの部屋には物凄く長いテーブルが置かれて椅子もかなり数が並べられている。


「これ端と端会話できるのか?」

「無理じやね。怒鳴りあって話さなきゃ聞こえないだろう」

「じゃあ浩太と離れたら会話できないじゃん」

「離れなきゃいいんだよ」

「あっ、そっか」


大食堂から繋がる小部屋には何やら箱みたいなのがあった。


「浩太これ何かな?」


上にスライドして開けるようになっており、開けてみる正方形の穴が開いている。


「分かった!ここから滑り降りて逃げるんだよ」

「馬鹿」


浩太は壁についている二つのスイッチに気がついた。

上と下と書かれているスイッチ


「なんだこれ?」


上という部分を押すと、低い唸るよな音と共に底がせり上がってきた。


「何か分からないけど、すっごーい」


下から上へと運搬するリフトらしい。


「へ~おもしれー。みんなにも教えようぜ」


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