1.穴から始まり
この世界はヴァルキリーによって生まれた9つのグランドダンジョンの攻略、ワールドクエストが課せられた。
ダンジョンに挑戦することができるのはスキルを所持した女性のみ、女性の中から選ばれし者にスキルが発現する。
そのスキルこそがダンジョンへの入場券である。
15才の成人のタイミングで教会でスキル発現の儀式をし発現者は学園と呼ばれる冒険者養成所に集められダンジョン攻略のイロハを学ぶ。
教会に住んでいた僕は儀式の間の掃除をマリアさんに任され像に触れたところ雷鳴のような眩い光が発しスキルを発現した。
僕は男ながらスキルを発現したため、学園へ半ば強制的に入学させられる。
ズサズサ
ダンジョンの壁に等間隔に着けられた魔石のランプが辺りを照らす中、僕は薬草を採取するためスキルの[穴掘り]を使用した。
「今日はこのくらいにして切り上げようかな」
根っこから土を落としながら薬草を腰につけている麻袋の中にしまいダンジョンの出口へ向かう。
「あら貴方は?」
そこには赤毛ロングヘアでレイピアを携えた少女がこれからモンスターを討伐に向かうのか入口の方からやってくる。
「アナスタシアさんお疲れ様です」
「ノーラさんだったかしら、貴方もダンジョン探索を?」
エレオノーラ学園に今年度首席で入学した同級生の才女がウェーブのかかった赤毛と胸を揺らしながら僕に尋ねてくる。
「今薬草の採取を終えて帰るところです、アナスタシアさんはこれからダンジョンに潜るんですか?」
「ええレベルアップと魔石集めを兼ねて5階層まで行こうかと」
このダンジョンは学園ダンジョンと言われ、5階層の初心者向けダンジョンである、学園に入学したての1年生が主に潜っている。
その最下層でレベル上げとはさすがアナスタシアさんと言うべきか、僕はと言えば一階層の入口近くの薬草採取が精々である。
入学したての頃はイレギュラー初の男性冒険者として期待をされていたが、[穴掘り]スキルではスライムを倒すのに精一杯でlvも1のままで周りの期待の目は今や見る影もない。
「貴方はまだ薬草集めをしていますの? 今月中に5階層に到達できなければ落第ですわよ」
「あはは…」
入学式からはや1週間、アナスタシアさんの言う通り、残り20日ほどでこの初心者ダンジョンを踏破しなければ落第、学園を去らなければならないだけど僕は1階層のスライムを倒すだけでも苦戦するため攻めあぐねていた。
「世界初の男性発現者のくせに情けないですわね、私がパーティーを組んであげましょうか?」
「それは願ってもないお誘いなんだけど、学園長にソロで攻略しなさいと言われてるから…」
「そうでしたか、精々頑張りなさいな」
そう言うと彼女はレイピアを抜き細い刀身に炎を纏わせる、彼女のスキル「火魔法」の能力で炎を自在に操ることができる、火水風土光闇の6属性からなる精霊魔法のうちの火の精霊魔法の使い手である、
僕の穴を掘るしかできないスキルとは大違いでとても羨ましい思いである。
「いつ見ても美しいね」
「美しい!?」
「うんとても美しい炎だね」
「間際らしい言い方はお止しなさい」
ブンとレイピアを振るい赤面をしていた、熱いからだろうか?
「危ないですよ!すみませんでした!」
「もう行きますわ」
彼女はプンプンと怒りながらダンジョンの奥へと進んでいってしまった。
何が彼女の気に障ってしまったのか分からないが、薬草を受付に納品するため僕は彼女とは逆に出口へ足を進めた。
「お疲れ様です! 薬草の納品ですね」
彼女は受付嬢のリノアさん、いつもお世話になっていて、今でも僕に優しく接してくれる数少ない人物だ。
「はい 鑑定をお願いします」
麻袋から薬草を取り出し机の上に並べていく。
「ヒールリーフが13本 ポイズンリーフが16本 マナリーフが7本ですね 根っこまで付いていて葉に傷が殆どありませんとても新鮮な状態です」
「ありがとうございます」
褒められて少し照れくさくてポリポリと後頭を手で掻く。
「ヒールリーフの買取が1300P ポイズンリーフ2400Pマナリーフが1400P合計で5100Pです」
Pとはポイントと言ってクエスト攻略やモンスター討伐、鉱石や薬草などダンジョン内の素材の買取の報酬に支払われる学園内の通貨である。
「かなりPが貯まったんじゃない?」
「はい! これで10000P以上貯まったので武器か防具を買いたいんですけど」
「私明日休みだから一緒に見て回らない?」
「是非お願いしますします、僕どこに行けばいいのか分からなくて」
「学園の生産科の鍛冶エリアを回るのがいいかな」
生産科鍛冶エリア 学生で鍛冶系統のスキルを発現した者が生産科に入学し、ダンジョンの宝箱から稀にが出たり、ボスモンスターがドロップした武器防具や鉱石等の素材を買い取り精製加工し販売をしている、安いものから手の届かない高価なものまで品物が豊富な印象で多くの人が集まるエリアの一つで僕は一度も行ったことがない。
「初めて行きます…明日楽しみにしてます」
「うん! 集合は生産科の建物の前でまた明日!」
「はいありがとうございますリノアさん!」
僕は自室に戻るべく学園ギルドを後にした。




