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第一章 最底辺の依頼


冒険者ギルドの掲示板の前で、

レインはしばらく立ち尽くしていた。


貼られている依頼は、

どれも同じような文字が並んでいる。


魔物討伐。

護衛。

採取。


その中で、

一番端に貼られた紙切れが、

彼の目を引いた。


――薬草採取。


報酬は銀貨一枚。

危険度、最低。


誰もが一度は通る、

冒険者の入口に過ぎない依頼だ。


「……これしか、ないか」


独り言は、

誰に届くこともなく消えた。


レインはその依頼書を剥がし、

受付へと向かう。


「薬草採取ですね。

 場所はロウグ平原」


職員のマルコは、

顔も上げずに言った。


「注意事項は?」


「特にありません。

 見たまま、抜いてください」


それだけだった。


ロウグ平原は、

風が止んだような土地だった。


草は伸びているのに、

どこか元気がない。


指定された薬草は、

すぐに見つかった。


ありふれた葉。

ありふれた色。


だが、その中に一本だけ、

異様なものが混じっていた。


瑞々しく、

土に深く根を張っている。


レインはしゃがみ込み、

その茎に指を伸ばす。


触れた瞬間、

胸の奥がきしんだ。


理由は分からない。


だが、

なぜか――


引き抜けなかった。


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