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災厄のオッドアイ  今世こそ聖眼の真価を取り戻します!  作者: 小采叶


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4.魔の森へ向けて出発

出発までの一週間は嵐のように過ぎた。

 相変わらず二人の姉王女たちは嫌がらせをしてきたが、出発の準備でいつもよりも人の出入りの多い宮では、嫌味をいうぐらいしかできなくなったので、気にもとめない。

 そして、今日いよいよオルフェ領へ向けて出発する。


「王女殿下。出発の準備が整いました。中央の門前に皆さま集まっておいでです」

「わかったわ」

 侍女の呼びかけに、たちあがって自室を出る。

 ーーもうここに戻ることはないんだわ。

 そう思うと寂しいどころか、胸がすくような思いになって自分でも意外だった。回帰前はここでなんとか生きていかなければと必死だったのに。


 謁見の間で私が発言したからか、前とはいろいろなことが変わっていった。

 回復薬やポーションだけではなく、様々な物資を陛下が用意してくれたのだ。しかも私財でだ。母を愛していた気持ちは本当なのだろう。少しは罪悪感を感じたのかもしれない。

 それだけではない、何よりも大きな変化は回帰前は辺境伯騎士団からの派遣された護衛騎士だけだったのに、四大公爵それぞれからも、護衛騎士がつくことだ。

 謁見の間での発言ひとつでこんなに変わるなんて、正直驚いている。王命とはいえ、各公爵から護衛騎士をだしてくれるとは嬉しい誤算だった。

 この国を支える四大公爵家は、国王に次ぐ実力を持ち、それぞれが王国の四方を治め守護する存在だ。

 基本の魔法には火・水・土・風の四つの属性があり、貴族であればどの属性の魔法も生活魔法をはじめ、ある程度の魔法は扱うことができる。そんななかでも高位貴族、特に四公爵家は、家門ごとに突出した属性を持ち魔力量も多い。その力は長い歴史のなかで領地の特色や家風にまで反映されているのだ。辺境伯家は基本の四属性とは異なる属性を持つらしいのだけど、回帰前の私が知ることはなかったのよね。

「王女殿下、こちらの馬車にお乗りください」

 門前では謁見の間に私を案内した王妃の密使である騎士が当たり前のように私を出迎えて声をかけてくる。

「あら、あなたは、どちらの家門の方かしら?」

 私はわざとらしく、首を傾げた。

「王女殿下を案じた王妃さまが私も護衛にと仰せつかっておりますので、私もご一緒に向かいます」

 笑顔で答えた騎士は私の手をとると同じ馬車に乗り込もうとする。

 ーーそうはいかないわ。

 その手を払いのけると私は周囲に聞こえるように言った。

「その必要はないわ。あなたも聞いているでしょう。陛下が四公爵家と辺境伯家からそれぞれ護衛をだしてくれたわ。そして侍女も使用人も最低限の人員でとのご命令よ。王妃様のお気持ちはありがたいけれど、陛下の命には逆らえないわ」

 私は精一杯申し訳なさそうな表情を作る。

「だから、お気持ちだけありがたく受け取っておきますと王妃様に伝えてくださるかしら。メアリ、あなたはこちらに乗って扉を閉めて頂戴」

 有無をいわさず、さっさと馬車に乗り込むと、同行する侍女に指示をする。

 まさか、断られると思わなかったのか、密使の騎士はぽかんとしているが、かまわず馬車をだした。

 ーー陛下に許可をとってまではついてこないでしょう。思い通りにいかなかった王妃の悔しがる顔が浮かぶ。

 とりあえず、第一関門は突破ね。胸をなでおろしながら、私はベールをとりだして身に着ける。そして向かいにいるメアリに声をかけた。

「メアリは辺境伯領から、王都まで私の同行のためにきてくれたのよね。わざわざありがとう」

「いいえ、とんでもございません。あの、そのベールは……」

「あぁ、これ?自分がなんて言われているかは知っているわ。ベール越しなら、私の瞳はみえないでしょう。これから一緒に長い時間過ごすことになるんだもの。なるべく負担はかけたくないわ」

 私は正直に自分の気持ちを伝えた。前回もメアリは辺境伯領から派遣されて私と一緒にオルフェ領へ向かってくれた。いくら王命といえど、護衛はともかく侍女や使用人が私と同行するのには並々ならない事情があるはずだ。何しろ、目を合わせたら不幸になる王女付きなのだ。進んで手を挙げる者はいないだろう。きっと何かしら事情があるはずだ。ワケありの人がほとんどなのだろう。

 回帰前の私はそんな事情を想像することもできず、ただただ、自分の寂しさや孤独でいっぱいだった。そのせいで……。

 私は顔をあげて努めて明るく言った。

「あらためて、よろしくね!メアリ」

 ーーもう私のせいで、誰も命を落としてほしくない。。。。

 メアリは小さな声で「こちらこそよろしくお願いします」と頭を下げた。


 ~~~~


「それじゃあ、今日は、ロゼリヌス公爵家、明後日はグレイアンヌ公爵家に立ち寄ってそれぞれの護衛騎士と合流するのね」

 隣に座るメアリが広げた地図を見ながら、私は確認する。

「はい。ルディス辺境伯領までの道のりで通過する2つの公爵領では王女殿下がお泊りになられるよう用意するとの連絡を受けております」

「そう。わかったわ。そういえば、バルクレア公爵家とストラム公爵家から派遣されている護衛騎士たちと顔合わせしていないのだけれど……」

「それは……。そうですよね。それぐらいはご説明しなくてはいけませんね。実はルディス辺境伯領で、あらためて護衛騎士全員の紹介がされるのです。それまでは暫定の騎士が交代で護衛をしているのです」

 ん?どういうことかしら。首を傾げた私にメアリは申し訳なさそうにしている。

「王命とはいえ、急なことだったため、護衛騎士の選定がまだのようなのです。もちろん、オルフェ領に入るときまでには決まっているはずですので、王女殿下が心配されることはありません」

 ーー回帰前は公爵家からの護衛はいなかったし、どうなるかはまったくの未知数だもの。焦っても仕方ないわね。

「わかったわ、メアリ。それじゃあ、ロゼリーヌ公爵家に行く前に、四大公爵家のことを教えてくれるかしら。私、公爵家のことは何も教えられていないの」

「はい、かしこまりました」

 途中休憩をはさみながら、メアリから四大公爵家についての基礎的なことを教わることにした。公爵家はエルディア王国よりも歴史が古い家門らしく、ある意味王家よりも力がある存在らしく、特に魔法に関しては王家に勝っているそうだ。

 四大公爵家は魔法属性の火・水・土・風のひとつに特化して長けていることから、属性名で呼ばれているようだ。


 火の公爵:レオニス・バルクレア(南方・バルクレア領)

 風の公爵:イグナーツ・ストラム(西方・ストラム領)

 水の公爵:セラフィナ・ロゼリヌス(東方・ロゼリヌス領)

 土の公爵:ロム・グレイアンヌ(北方・グレイアンヌ領)



 四大公爵家だけではなく、侯爵家や伯爵家といった高位貴族も公爵家同様特化した属性があるが、魔力量は公爵家には及ばない。とはいえ、魔物討伐にあたれるぐらいの実力はあるようで、時期や場所により、適切に討伐隊が組まれ、王国の維持にあたっているそうだ。


 地図を見ながらそれぞれの公爵領の特色を聞き終えるころには、ロゼリヌス領にはいっていた。水の公爵ことセラフィナ・ロゼリヌス公爵は四公爵家のなかで唯一の女性公爵と聞いて驚いた。謁見の間ではちらりと見ただけだったが、スラリとした長身は他の公爵と寸分たがわなかったし、銀青色の髪をひとつに束ね、顔の彫は深くないが、切れ長の目が鋭い顔立ちの美男子という印象だったな。男装というのは失礼だけれども、まったく女性とは思わなかったわ。言われてもまだ信じられないぐらいだ。一度ご挨拶したいけれど、私の立場では、会うことはないでしょうね。



 公爵家にたどり着くまで、子爵家のご令嬢と判明したメアリからここ数年の王国の情勢など、一般的な貴族家なら知っていて当たり前のようなことをいろいろと教えてもらう。

 放置されていて、王家としての教育はまったくなされてなかったことを知り、メアリは同情したのか、1日目にくらべるとだいぶ態度が柔らかくなった。

 今思えば、時間はかかったけれど、前回もメアリは優しかったわ。私が壁を作っていただけなのよね。回帰前のことをふと思い出すと、胸が苦しくなる。でもこうして二度目も出会えたんだから、悔やむことがないように接しよう。あらためて、隣で一生懸命説明してくれるメアリに心のなかで感謝した。

毎週金~日の3話更新目標で頑張ります。


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