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災厄のオッドアイ  今世こそ聖眼の真価を取り戻します!  作者: 小采叶


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2.前世の記憶と回帰前の記憶

――最初の人生、地球という異世界はこのエルディア王国がある世界とはまったく違っていた。衣食住はもちろん、考え方も何も、とても進んだ文化を持つ星だった。今と変わらないのは自分の境遇だわね。ふっと自虐的に笑ってしまう。いわゆる、庶民どころか、かなり底辺の生活だったのだ。

最初は普通の家庭で両親と暮らしていたはずだけど、顔は覚えていない。

見えない何かを目で追い、喋れるようになってからは誰もいない空間を見て、話しかけたり、相槌を打つ私を両親は気味悪がり、私を育児放棄したらしい。数日分の食料とともに部屋に置き去りにされ、空腹と寒さに耐え切れず倒れていたところを保護されたのだと、中学生のころ施設の職員が話してくれた。

そんなわけで、ずっと孤児院暮らしだったけれど、そこでも、私にはほかの人に見えないナニカが見えていた。それはいわゆる幽霊と呼ばれるようなものや、不思議な光を放ちながらふわふわと漂うものだったり。そしてなぜかそういうものたちは、私にいつも話しかけてくるのだ。

いつも孤独で寂しかった私はそれらに応えていた。もちろん、関わっちゃいけないようなものもいたけれど、大半は害がなく、私のひとりごとにも相槌をうってくれたりした。

その習慣は学校に行くようになっても続いた。見えないナニカと話すことや見えることで、周囲からは距離をとられ、いつもひとりだった。

そんな私にも唯一孤児院の院長先生だけは優しかった。院長先生が大好きで、いつも一緒にいたくて、食事作りや掃除を一緒に手伝っていた。中学生になってからは、孤児院で働く人たちと同じぐらい、院の運営の即戦力だと、院長先生も頼ってくれていたけれども、もっと自分の時間を大事にしなさいとしょっちゅう言われていた。それでも他にやりたいこともなかった私に院長先生は自分がもっている本をたくさん貸してくれた。そこからは寝る前や学校の休み時間のほとんどを読書して過ごすようになった。本を読んでいる間は不思議と見えないナニカはやってこないし、話しかけても来ない。院長先生はもしかして何か知っていたのかもしれない。そうやって、だんだんと変な子から本ばかり読んでいるおとなしい子として周囲に認知され、高校生活がはじまると、人前では見えないナニカに反応しないという処世術を身に着けることができた。

それでも、もともと知っている周囲の子供たちや施設の通い人たちには気味悪がられていたけれども。

親しい友達はいなかったけれども、高校生活はそれなりに普通に過ごしていたと思う。学校が終わればアルバイトをいくつか掛け持ちしてひたすらお金をためていた。卒業後は施設をでて一人暮らしをする予定だったから。だけどアルバイトの帰りに事故にあってしまった。そのあたりがあいまいだけど、今さらどう亡くなったかはあまり興味がない。


ここまで思い出してみれば、一通りの家事も出来るし、そう悲観的な状況でもないかもしれない。

魔の森へ追いやられたとしても、私ができることは意外と多いはず。

まだ、思い出したばかりで色々と記憶が混乱しているけれども・・・・・・。


それにしても、一度目の人生は魂が誤って異世界に生まれ、リシェルとしては回帰して2度目の人生だなんて。荒唐無稽な話だ。まるで異世界で読んだ小説のようだ。とはいえ、少なくとも、これは小説やゲームの世界に転生、なんてものではないようだ。私が知る限り、災厄のオッドアイだなんて印象的な話はまったく覚えがない……


エルディア王国の第三王女として私は生まれた。 

けれども、私は今までも第三王女とは公式に呼ばれたことはない。王宮のみならず市井の民たちも「災厄の瞳をもつ王女」と忌まわしげに呼んでいるのだ。 

私は金と銀のオッドアイを生まれながらに持っている。古くからオッドアイは不吉の象徴とされ、忌み嫌われているそうだ。そしてそれを裏付けるかのように、神官の娘であった母が私を生んで命を落としてしまった。それからというもの、私の存在そのものが災厄扱いされるようになったのだ。


 神官の娘だった母リオネッタは神殿へ祈りを捧げにいった国王に見初められ、側室となったと聞く。国王はすでに側室を一人迎えていたが、若く神秘的な雰囲気を持つ母に夢中になった。そのせいで、今度こそ王子をと望んでいたマルグリッド王妃と国王は距離ができてしまったようだ。

そうしているうちに母は私を身ごもった。

 

 そして、母が命がけで生んだのにも関わらず、古くからの言い伝えの災厄の瞳と称されるオッドアイだったという理由で、私は存在を隠すようにすぐさま王宮のはずれの離宮に移された。ものごころがついたころには、最低限の世話をする侍女が通うだけの、名ばかりの王女だった。

そして『災厄の瞳』を理由に、王妃とその娘たちから日常的に虐げられてたのだ。

最初は訳が分からずにいたけれど、通いの侍女たちの話をつなぎ合わせて、幼い私でも自分をとりまく事情を理解するようになったのだ。


 王妃は二人の娘、第一王女セシリアと第二王女イザベルをもうけていたが、望んでいた王子を生むことはできなかった。 そのため、国王が夢中になった母リオネッタを目の敵にし、その忘れ形見である私も憎んだ。 もう一人の側室であるジュリスは第一王子ユリウスをもうけ、西の離宮で親子共々目立たぬように静かに暮らしている。 


ここまで書き留めたところで、一旦一区切りをつけることにする。

まずは、明日を乗り切らないと。明日は重要な分岐点であることに間違いない。


回帰前、魔の森へ向かう途中で私は聖眼の力を発現した。今思えば、無自覚に色々とやりすぎたのだろう。それにその力を使ったことで、周囲から認められたことが嬉しかったのだ。

特に目の敵にされていたはずのマルグリッド王妃が私の力を必要としてくれたことに私は舞い上がっていたのだ。もしかしたら、これを機に姉たちとも仲良くなれるかもしれない。仲良くとまではいかなくとも、もうひどい虐めを受けることなく、また王宮に戻れるかもしれない。そんな期待をもってしまったのだ。

そして、その気持ちを利用された……

聖眼の力で出来ることは多かった。マルグリッド王妃に言われるがまま、呼び出されれば何を差し置いても優先し力を使った。瘴気を払うことや魔物の討伐だけではない。宝庫に保管された呪物の解呪、治癒の力まで。

どうしてあのときは気づかなかったのだろう。

マルグリッド王妃に言いくるめられ、私はいつも深いフード付きのマントをまとい、リシェルということを隠して行動していた。八年間もだ。

王妃の依頼をこなすのに毎日必死だった。そして、魔の森を放置し、そこから魔物があふれだしたときに、責任を問われ、糾弾されたのだ。

災厄の王女のせいで王国は瘴気にあふれ、ここ数年の中でも魔物が頻出する国になった。王女を処刑すれば、王国は助かると、世論が傾いたのは当然のことだった。

捕らえられ、王宮の地下牢獄で何度もマルグリッド王妃に面会を申し出たが叶わなかった。


処刑の前夜、王妃の密使であった騎士はどうせ明日死ぬのだからと、王妃が私を利用したことを語ったのだ。それでも私は処刑される寸前までそのことを信じられなかった。そうでもしなければ、あまりの絶望に私の心はもたなかったのだと思う。

刑が執行されるときになってやっとこの孤独から解放されると安堵したのだ。それが、まさか回帰して二度目の人生を何も知らずにこの年まで生きていたなんてね・・・・・・


今度は、間違えたりしない。そのためにも、魔の森へ行く準備をしなくちゃ。


魔の森へ向かうように命じられてからは、実際に王宮を発つまでは確か三日、四日しかなかった。前の時は絶望で部屋に閉じこもっていただけだったな。

回帰前のことを思うと気持ちが落ちこんでくる。

ある程度自分の身の回りのことはできるとはいっても、まだ私は十歳で身を守るのは難しい。へたに能力をさらしてしまえば、また王妃に利用されてしまうだろう。

侍女と護衛は最低限だからいいとして、道中のあの出来事に対処するにはどうしたらいいかしら。。。

魔の森の手前にあるルディス辺境伯領までは五日かかる。ここでいったん物資を補給させてもらい、さらに四日かけて魔の森を通り、森の中央の結界地域のオルフェ城に向かうのだ。魔の森を含むオルフェ領の広大な敷地の中央にあり、その敷地内は神殿や庭園も有している。

何世代も前には王宮と同等に扱われていた地域のようだけれど、今は名ばかりの王領だ。朧げな記憶のなかでオルフェ城を思い浮かべた。本当に私があの場所を治められるのだろうか。。。

カルナリエ様の言葉を思い出す。

魔物があふれ出す前に森の瘴気を払うのが最優先よね。そして、領として機能させある程度発展させなければ神殿をもとにもどすのは難しいはず。

まだまだ課題はたくさんあるけれど、何せ身体はまだ十歳だ。考えることに疲れたので、もぞもぞとベッドに潜りこみ目を閉じることにした。


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