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初めてできた彼女をNTRされた。その後普通に生きてただけなのにざまぁが成立した。  作者: 猫野 ジム


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第7話 いずれざまぁされる者達の誤算

 ミリーとライネスがキョウマの生存確認をするため置き去りにしたダンジョンへ戻ったが、キョウマの姿はおろか装備品の一つですら見つけられなかった。


「あーあ、こんなことになるのならキョウマに装備品ちょうだいって言えばよかったなぁー。絶対高く売れたのに」


「確かにな。あれはAランクの俺から見ても高級品だ。Cランクのあいつが装備するには分不相応だったな。それにしてもお前が言ったとして素直に従ったと思うのか?」


「思うわよ。当然じゃない」


「すげえ自信だな」



 それから二人は冒険者ギルドに行き若い受付嬢に何やら話し始めたが、どこか雲行きが怪しくライネスは興奮しているように見える。


「だから何度も説明してるじゃねえか!」


「で、ですから条件を満たしていませんので……」


 同じパーティーメンバーに万が一不幸なことがあった場合、ギルドからの見舞金が支給される。


 それはもしパーティーの主力がそういうことになってしまった場合などを想定して、他のメンバーへの負担が極力少なくなるようにとギルドが制定したもの。救済と言ってもいいだろう。


 しかしその側面で、その制度を悪用される恐れも十分に考えられる。それ故に当然ながらいくつかの条件があり、全てを満たしていないと支給されない。


 活動期間・活動内容・ギルドへの貢献度・依頼達成回数などの実績に加え、異常性や不審な点はないか等、実に様々な要素を総合して判断される。


 即席でパーティーを結成してすぐに、「仲間がやられました……」なんてことが通用するわけがないのだ。

 それに加えて『冒険者法』がそれを許さない。もちろん通常の法律でも罰せられるが、冒険者法ではそれを上回る厳罰が待っている。


「確かに俺とキョウマは出会って間もない。だがここにいるミリーは違う」


「そうなんです、私とキョウマは恋人同士だったの……。それにきちんとパーティー結成届を提出しています。調べてみてもらえませんか?」


「そうだったのですか……。お辛いでしょうけど、キョウマさんの冒険者カードのご提示をお願いできますでしょうか?」


「あの、実は……。ダンジョン内のとある部屋の様子を探るためキョウマだけが先に入ったんですけど、そこにいた魔物に襲われてしまったみたいで……。あまりに一瞬のことだったので私達はなす術もなかったんです。中は真っ暗で、私達が入った時にはキョウマの姿も持ち物ですら残っていませんでした」


「俺はキングスライムの仕業なんじゃないかと予想してる」


「心中お察しいたします……。確かにあのダンジョンでは何か異変が起きているかもしれません。ギルドとしても調査依頼を出していますので、冒険者さんのご協力にとても感謝しています。その一方で、やはりこういうお話を聞くのは辛いものです」


 ミリー達と比べ、そう話す受付嬢は浮かない顔をしている。


「しばらくお待ちください」


 受付嬢はそう言い残し、カウンターの奥へと消えた。


 それから五分ほど経過した頃。


「いつまで待たせやがる」


「まぁいいじゃない。さすがに証拠が無いと厳しいのは分かってたことなんだから」


「まあそうだな。だが証拠がなくても認められたケースもあるからな。元々見舞金はついでだと考えてたが装備品が何も無かった以上なんとしても貰わねえと」


 それからさらに数分後。先ほどの受付嬢が戻って来て二人に告げる。


「大変お待たせいたしました。ギルドマスターがお待ちなので、こちらへどうぞ」


 そう促され、受付嬢のあとに続く二人。通常なら冒険者は立ち入れないエリアだ。その途中で二人はひっそりと話す。


「ねぇライネス。なんだか話が大きくなってない?」


「こんなことは想定内だ。とにかく自然体でいろよ」


 たどり着いたのはごく普通のドアの前。


「それではお入りください」


 そこは執務室のような部屋で、壁にはたくさんの武器や盾が飾られ、インテリアとしてなのか全身鎧が置かれている。


 ドアの正面にはテーブルとソファーがあり、さらにその向こうには事務作業に適しているであろう机がある。

 そこには40代くらいのスキンヘッドの屈強な男性が座っている姿があった。真顔なのにどこか威圧感のようなものがある。


「職員から話は聞いている。とりあえずそこに座って詳しいことを聞かせてもらえないか。辛い質問もするかもしれないが、できるだけ答えてくれると助かる」


 その言葉を聞いた二人は横並びでソファーに腰掛け、ギルドマスターと対面する形になった。


「まずはあのダンジョンの調査に向かってくれたことに感謝する。そしてパーティーメンバーに不幸があったとのことで、ギルドとしてできる限りのことをしたい」


 そして二人はギルドマスターに対して、先ほど受付嬢にしたのと同じ説明をした。もちろんそれは真実ではない。


「なるほど……。唯一サーチスキルを使えるキョウマさん一人だけが先に部屋に入った、と。その時キョウマさんは何か言ってたりしていなかっただろうか? 魔物の名前や、あるいは悲鳴など」


「いえ、俺もミリーも何も聞いていません」


「キョウマさんが転移魔法を使った可能性は?」


「まさか。そんな超上級魔法、使える人はかなり限られますよ」


「そうですよ。一年満たないくらいの間でしたけど、私はキョウマとずっと二人で活動していました。だから知っているんです、私達と同じでキョウマに転移魔法は使えません」


「では次に、キョウマさんが中に入ってどのくらい経ってから二人は助けに行ったのだろうか?」


「俺達も気が動転してたので正確には覚えてませんが、割とすぐに異変を感じました」


「キョウマさんが魔物に襲われたと判断した根拠はなんだろうか?」


「それは俺の気配察知スキルで魔物がいることが分かっていたからです」


「ふむ。それならばキョウマさんだけを先に入らせた理由は?」


「いえ、俺達が入らせたのではなくキョウマ自ら先陣を切ってくれたんです」


「止める時間もあったのでは?」


「そうですね、それについては俺もミリーも後悔しています」


「キョウマさん自身はおろか装備品や持ち物ですら何も残っていなかったということだが、そうなると二人の目の前で忽然(こつぜん)と姿を消したことになるな」


「はい。俺はスライム系の魔物がいたんじゃないかと思ってます」


「なるほど、二人はどんな魔物がいたのか見ていないということだな。スライム系の魔物がいたかどうかは、これからの調査で明らかになっていくことだろう」


 それからも聞き取りは続いたが、二人の回答は終始当たり障りのないものばかりだった。そうなるのも当然だろう。真実を話していないのだから。


「聞かせてもらった話から総合的に判断するとギルドとしては、キョウマさんはまだ行方不明の段階だと結論づける。不確定要素が多いからな。だが二人の証言も尊重するつもりだ。なのでこの件については詳細な検証と調査をすることとする。時間はかかるがそれまで待ってほしい」


 ギルドマスターはそう言うと、一呼吸おいてから再び話し始める。


「これが最後の質問になるが、キョウマさんを探そうとは思っていないのだろうか?」


「えっ……?」


 ミリーがそんな声を漏らした。


「先ほども言ったが、キョウマさんはまだ行方不明という段階だ。それなのに見舞金の申請というのは早くないだろうか?」


「それはっ……! も、もちろん私もライネスもダンジョン内を必死に探しました! だけど見つからなかったんです!」


「ミリー落ち着け! ……確かにギルドマスターの言う通りです。俺達はなんて酷いことを……。すみません、やっぱり申請は取り消してもらえますか。もう少しキョウマを探してみようと思います」


「そうか、分かった。日頃の活動に感謝する」



 そして二人はギルドをあとにして宿へと戻って来た。


「ちょっとライネス、どうして私を止めたの! せっかく上手くいきそうだったのに!」


「いや、ギルドマスターは間違いなく俺達を疑っていた。あそこで話を無理に進めていたらマズイことになっていただろう」


「それじゃあ私たちはキョウマから何も得られないってこと……?」


「チッ……! せっかくリスクをおかしたってのによ! キョウマの装備品さえ残ってればこんなこと……!」


 あまりに身勝手な言い分だがこういう思考だからこそ、今この二人は行動を共にしているのだろう。

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